friends5:徐々に揺れ動いていく人間関係…
高萩は、メールを通じて徐々に潮見と仲良くなっていた。そんな時、高萩は風邪をひいた。高萩が寝込んでいると、千駄木から心の籠った温かいメールが届く。それによって、また千駄木と仲良くなる高萩。
風邪が治り、学校に登校した高萩は、神妙な顔をしていた成に、放課後に話があると言われた。
1月の下旬。 学校で行われた全国模試も終わり、あと少しで2月になりそうな時だった。
俺は、昼休みに潮見から来たメールに返信した。
高萩:
『どう、そっちは慣れたかい?』
2、3分ぐらいで返事が返ってきた。
潮見:
『うん、慣れたよ。 本当、こっちにいると安心するよ。』
年明けに、潮見は学校から別室登校が許可され、始業式からそっちに通いだした。 潮見を通じてスクールカウンセラーの方から、彼女とのコミュニケーションを依頼された。
こちらからは送らず、彼女の方からメールが来たら、なるべく早く返信する、という感じだ。
高萩の心の声:
「しかし、あのスクールカウンセラーの発言は大袈裟だよな。『あなたの存在が、今の潮見さんの精神安定剤なんです。』だと。 ちょっとプレッシャーだな。」
月日は過ぎ、2月。 俺は風邪をひいてしまい、学校を数日休んでいた。
高萩の心の声:
「あぁ…、暇だ。」
(ピロロラリリン…)
メールが入った。潮見からかと思ったが、しかし違ったようだ。
[from千駄木 萌:]
[Title:風邪、大丈夫?]
高萩の心の声:
「千駄木? 彼女からメール貰うのは、久しぶりだなぁ…。」
そんな事を思いつつも、メールの中身を確認する。
千駄木:
『熱、下がったぁ?(笑)高萩君が休んだ日の分のノートは、あとで私が見せてあげるから早く良くなってネ! それじゃ、バイ×2!』
高萩の心の声:
「あまり親しくないのに、何故に彼女はこんなに親切にしてくれるのだろうか…。」
不思議に思ったが、一応返信した。
高萩:
『ありがとう。 恩に着ます。』
そう打って返信した。
ようやく熱が下がり、俺は久しぶりに学校に登校した。 福本は、相変わらずウザかった。 福本の話に俺は適当に相槌をしていた。
ふと、成の方を見たのだが、いつもの爽やかさは無く、少し不機嫌な顔をしていた。 俺の視線に気がつくと、無言で近付いてきた。
成増:
「放課後、話がある。」
一方的に言葉を発して、成は自分の席へ戻った。 俺の頭の中は、クエッションマークで一杯だった。
取りあえず、放課後に成の話に付き合わなければならないのは解った。
そして、約束の放課後。
俺は成に連れられ、学校近くの駄菓子屋に行った。 駄菓子屋には、テーブルと椅子のセットが2箇所あり、学生の溜り場によく利用されている。 この日は珍しく、他の学生が居なかったのでテーブルが空いていた。 俺らは、互いに向かい合って着席した。
成は、一息ついてから口を開いた。
成増:
「お前に、聞きたい事がある。」
高萩:
「何だよ、改まって。」
成増:
「千駄木さんとお前は、一体どういう関係なんだ?」
高萩:
「…は?」
俺は正直、成が何を意図して言っているのかが解らなかった。
高萩:
「成、一体どうしたんだよ?」
そう言った瞬間だった…。
(バコッ!!)
俺は、よろけて倒れた。
成は右拳を戻して、肩をきらしていた。
口の中が苦く感じた…。 どうやら口の中が切れて血が流れたようだった。
高萩:
「な、何すんだよ?!」
成増:
「最低だな、この下衆野郎!!」
成は大声で俺を罵り、駄菓子屋から出ていった。
後ろ姿を茫然と見送る中で、何故いきなり彼は俺を殴ったのかを考えていた…。