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友達の存在...  作者: りす君
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friends47:旧友は時として、壁となる。

2回表。龍泉高校の4番として現れたのは、高萩の天才旧友だった…。

2回表、龍泉高校の攻撃。


次は4番バッターだが、ランナーが居ないのであまり考えていなかった。しかし、俺はウグイス嬢から名前を言われて、バッターボックスに立った男を見て、考えていなかった事を後悔する事となる。


「4番…センター、氷関(ひせき) 拓也(たくや)君。」

「久しぶりだね、荊太郎君。」

「?!」


俺は、フリーズした。


「荊太郎君、大丈夫かい?」

「ひ…氷関。何故、お前が…。」


氷関 拓也。俺の小学校時代の旧友。小4の頃に転校してきて、俺は奴と直ぐに仲良くなった。

それから一緒の野球のリトルリーグチームに入り、俺がピッチャー、氷関がキャッチャーでバッテリーを組んだ。氷関とのバッテリーで、リトルリーグ県大会を優勝し、全国でも一度ベスト8に入った。

しかし突然、氷関は中学に上がる前に北海道へ転校していった。それから彼とは、音信不通の状態だった。

久し振りの再会が、まさか敵という形になるとは…神様も残酷な方だ。


「荊太郎君。僕達は旧友だけど、今回ばかりは手加減無しで行かせて貰うよ。」

「くっ…。」


そう言った氷関の目は、冷たかった。


「プレイッ!」


リトルリーグ時、彼はチームのクリーンナップの一人だった。とにかくミート力があり、空振りが少なかったし、パワーも中々あった。


(ここは、外角のカーブだ。)


俺は、藤浦にサインした。藤浦が振り被った。


(ビュッ!)


絶妙な弧を描き、ミットに入ると思った。しかし、氷関は外し球を捉えた。


(カキーン!)


打球はライトポールを少しずれて、ファールになった。


(えっ…そんなバカな。)


俺は、ちゃんと外角に外させた。しかし、そんな球を軽々と外野に運ばれるとは思わなかった。


「うーん…タイミングを外したみたい。次は、絶対にアジャストさせるよ!」


そう言うと氷関は、2、3回素振りをした。バットが風を切る音が、とても凄まじかった。


(マジかよ…。)


俺は、変化球でカウントを稼ぐ事を止めて、内角高めのストレートのサインを出した。藤浦が振り被って、第二球目。


(ビュッ!)

(バシッ!)

「ットライークツー!」


さすがに、氷関でも手が出せなかったようだ。これで、氷関を追い込んだ。

俺が、内角低めのストレートを要求して藤浦が投げた第三球目。


(行ける!)


藤浦の投球が成功し、球はそのままホームベースは通過しようとした…その時。


(カキーン!)


何と氷関が、この打ちにくい球も打ったのだ。


「っ?!」


打球は、センター方向に飛んで行った。


「岩原先輩、捕って下さい!」


しかし岩原は動かず、レフトの犀潟が一回地面に落ちた打球を捕った。その隙に、氷関は二塁に到達していた。


「タイムお願いしますっ!」


俺は、岩原の所に向かった。


「何故、あのフライを捕らないッスか?!」


俺は声を荒げて岩原につっかかったが、岩原はサラリと言った。


「お前らが言ったよな?“何もしなくて、ただつっ立ってるだけで良い。”って。」

「あっ…クソッ!」


俺は口約束を思い出し、悔しく(ひざ)を叩いた。


「5番…ショート、(あずま) 浩樹(ひろき)君。」


現在、ノーアウトで氷関が二塁打で出塁。セオリーなら、バントで氷関を三塁に送るだろう。


(なら、ここは進めさせるか。)


俺はバントされやすい、ど真ん中のストレートを要求した。


(ビュッ!)

(コンッ!)


相手はセオリー通り、送りバントした。


「藤浦、ファーストっ!」

(ビュッ!)

(バシッ!)

「アウッ!」


何とか1アウトしたが、氷関が三塁に進塁して得点圏に入ってしまった。このまま犠牲フライを外野に飛ばし、タッチアップで確実に1点取られる。


「6番…キャッチャー、石橋(いしばし) 真司(しんじ)君。」


1点取られるのを覚悟で、打ちにくいコースでスライダーを投げさせた。


(ビュッ)

(カキーン!)


まるで前もって計画されてたかのように、打球は外野に飛んで行った。


「潮見っ、捕れ!」

「えっ?!」


潮見が走り出したが、打球まで相当の距離があった。


「えーいっ!捕れてぇ!」

(ザザー!)


驚いた事に、潮見が大胆なダイビングキャッチをした。


「アウッ!」

「ヨッシャ!って…やはり。」


潮見が捕った瞬間、三塁の氷関がタッチアップし、ホームベース(本塁)へ走り出した。


「高萩!ミット構えろ!」


いきなり、藤浦が叫んだ。


「えっ?!」

(シュボンッ!)

「…なっ!?」


キャッチャーミットを()めていた左手が一瞬にしてしびれた。


「痛ぅ…。」

「高萩、早くタッチアウトしろ!」

「氷関、早く戻れ!」

「…えっ?あっ!」

「…し、しまった!」


俺は我に返り、呆然としていて反応が遅れた氷関を追い掛けてミットを氷関の背中に当てた。


「アウッ!スリーアウト、チェンジ!」


俺は、氷関を刺せた事より誰があんな速くて重い球を投げたかの方を気にした。


「藤浦、お前が投げたのか?」


ベンチに戻る途中、俺は藤浦に聞いた。すると、藤浦はアゴでしゃくって一人の人物を指した。




指された方向を見ると…、あの剛球を投げたのは何と、センターの岩原だったのだ!

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