friends42:報復の再戦…
高萩と藤浦を招待したのは、有名企業の跡取り息子の高校生、茉山だった…。
「さっ、上がって。僕の部屋へ案内するよ。」
俺達を迎えたのは、俺達と同じ高校生で日本有名IT企業の5本の指に入る“プログレスグループ”の経営を任されてる時期社長、茉山 卓、18歳の高校3年生。
彼は、14歳でアメリカの大学を卒業した超切者であり、かつ個有の野球チームを持つ程の野球好きとも知られ、テレビで野球中継の解説者として出演している程。彼自身の実力も半端無いらしい。そんな彼が、何故俺達に会いたかったのかが解らなかった。
「…茉山さん、久しぶりですね。」
藤浦が、いきなり口を開いた。
「えっ?!藤浦、茉山さんと知り合いなのか?」
「相変わらず、へらず口は変わってないようだな藤浦。」
俺は、藤浦と茉山の関係が一体何なのか知りたかった。
「藤浦、何でお前が気楽にあの人と喋れるんだ?」
「昔、あの人が入った野球部と対決した事があったんだ。」
「えっ?!」
「ほう…よく覚えていたな、感心だ。」
茉山は、遠くを眺めるようにゆっくりと言った。
「さて、僕の部屋に着いた。遠慮はいらないから、そこに腰掛けてくれ。」
示されたのは、高級なソファーだった。
「いいです、遠慮します。」
とっさに藤浦が言ったので、俺は腰掛けなかった。
「フフッ、ホント性格は変わってないな。」
茉山は、鼻で笑った。
「…で、一体何の用でここに連れて来たんッスか?」
藤浦が、ムスッとした表情で言った。茉山は、溜め息を一つして話し始めた。
「短刀直入に言う。僕が入ったドリームチームと対決して欲しい。」
「な、何ですって?!」
俺は、すっとんきょうな声を上げた。
「藤浦がいた高校に負けてから、僕はずっと君を憎いと思ってた、潰そうとした。
だが、潰す前に君は栗桜を転校した。
僕は、悔やみ切れなくて君の行方を調べたよ。そしたら驚いたよ、全校生徒の80%が女子の芹沢に転入してたんだから。でもそれが、僕にとって嬉しかった。何故なら、君を潰せる絶好のチャンスだからね。」
藤浦が聞き返した。
「…どうして、高萩まで呼んだんですか?彼は関係無いと思いますが。」
茉山は言った。
「噂によればそこの彼は、あのドラフト候補リストに載られていた高速スライダーを武器にするピッチャー、武里君からヒットを放ち、強打者の永山君を三振に抑えたという話を聴いたんでね、君とも是非、手合わせしたくなってね。」
俺はかなり驚いた。あの二人がまさか、プロからドラフト候補に上げられているとは思わなかったからだ。
「もし断るつもりでいるなら良いよ。でも、君達の高校に僕から圧力を掛ける事も可能だからさ、断ったらどうなるか解るよね。」
茉山が妖艶な笑みをした。
「…解りました。勝負しましょう。」
「藤浦?!」
「高萩…ここは勝負するしかねぇだろ。学校にいる皆に迷惑を掛けちゃいけねぇし。」
「だ、だが…」
「ありがとう、藤浦。それじゃ、試合は5日の午後1時から。」
「い、5日って…」
藤浦は、ゆっくりと頷いた。
「野球部が遠征してる時だ。」
「そ…そんな…。」
「うん?どうしたのかな?」
「いえ、何でも無いッス。」
「それじゃ、御互いに健闘を祈るよ。」
「なぁ、藤浦。俺達、茉山さんのチームには勝てないと思う。」
学校への帰り道、俺は藤浦に言った。
「…勝てねぇな、俺ら2人じゃ。」
「えっ?!」
藤浦の意味深な言葉に、俺の足は止まった。
「何だよ、それ?」
藤浦は、一息置いてから言った。
「いいか?野球は、1人じゃ何も出来ない。9人揃って初めて成立するスポーツだ。」
「…藤浦。」
「さて、クラスの奴らに頼んでみるか?」
「あぁ!」
この時、俺と藤浦は軽く考えていた。しかし、この後…予想もしなかった壁に打ち当たる事となる。