表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達の存在...  作者: りす君
36/58

friends35:試合終了後のグラウンド。

試合が終わり、各自教室に戻っていく中、藤浦だけグラウンド内で立ち尽くしていた。

(平成…度 秋季高校野球関東大会 準々決勝戦)


「はぁ…はぁ…」

「踏ん張れ藤浦!あとストライク一つだぞ!」

(ビュン!)

「し、しまった!!」

(カキーン!!)


打球は、センターフェンスを越え、ホームラン。


「何と!最後の最後で、大月学園の7番バッター湍水(はやみ)が放った打球が逆転サヨナラホームランになりました! 栗桜の1年ピッチャー藤浦、まさかのサヨナラ弾を喫しました!!」

「そ、そんな…」




(試合終了後のベンチ裏)


「やはり、急造で大月学園は倒せなかったな。」

「済みませんでした、監督。最後の最後で…あんな無様な投球をしてしまって…。」

「いや藤浦、君は良くやったよ。栗桜での君の最後の大会に怪我した佐賀(さが)の代わりに、ピッチャーを引き受けてくれてありがとうな。」

「礼なんて、とんでもないです。佐賀先輩は、もう直ぐ復帰しますし…俺は失礼します。」

「藤浦、向こうでも野球するのか?」

「さぁ…まだ考え中です。それじゃ監督、お元気で。」

「藤浦も、達者でな。」


















「…い、藤浦!気付けよ藤浦!」

「…はっ!…幻か?」

「何言ってんだよ藤浦?さぁ、試合も終わったし、教室に戻るぞ。」

「あ…あぁ。」


俺は、ゆっくりと得点板を見た。3組との試合は、あれから瀬戸と犀潟が奇跡のシングルヒットで進塁し、最後は魚谷の2点タイムリーで、俺らが逆転勝ちした。しかし、1組との試合は0対8、7回コールドで俺らの完封負けだった。


「おい、藤浦。置いてくぜ!」

「先行ってろ、あとで行くから。」

「解った。」




…栗桜では、いろいろあった。

甲子園常連校であった栗桜高校に俺が入学した時は、学校は荒れていて、決して良い学校じゃなかった。学校中の窓ガラスは常にどこか割られていて、非常階段にはタバコの吸い殻が見つかる始末。不良の中に野球部員もいたから、野球に入部した時は先生やクラスメイトから白い目で見られていた。

それでも監督は、めげずに俺達を指導してくれた。だから、俺が1年夏の時に神奈川の強豪横浜綱領を破り、甲子園の切符を手に入れたのだ。結局、甲子園1回戦で敗れたが良い思い出だった。


夏の甲子園が終わって、9月の下旬。俺は秋季関東野球大会が開催される前に、父親から転勤の話をされた。4月に東京の駒宮(こまみや)市へ移住するという話だった。

俺は勿論、反発したが高校生の分際で、モノが言えるはずが無かった。


結局俺の家族は、高2の4月に駒宮市へ引越して来た。そして、ここの“私立芹沢(せりざわ)学園”に編入する事となった。
















(キーン…コーン…)


俺は、急いで教室に戻る事にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ