friends23:旧友の死-俺は、彼に何もしてやれなかった…。-
榮波は自殺して亡くなり、彼が埋葬されてから数ヶ月経った。
佐伯は、彼の遺書に書かれた“意思”を伝える為、彼の旧友である高萩を呼び出した。
高萩は、榮波が自殺したなど到底思わなかった…
(佐伯か…懐かしい。そういや、中学卒業からお互い会ってないな。元気にしてんのかな?)
そう思いながら、俺は待ち合わせした喫茶店で呑気に温かなミルクティーを煤っていた。
この後、自分の耳に残酷な通告が届くとも知らずに…
(高萩君…もう着いてるかな?)
私は、少し急ぎ足で待ち合わせ場所へ向かっていた。
榮波君が埋葬されて、私は彼のいない世界に苦悩した。でも…
どんなに落ち込んでも、もう榮波君は還ってこない。それが解ったから、私は前より強くなった気がした。
(榮波君、今からあなたの一番の親友に逢いに行くの…。あなたの遺書に書かれたあなたの重い意思…今、あの人へ伝えるから…)
私は、その思いを胸に抱きながら高萩君の待つ喫茶店のドアを開けた…。
「さ…佐伯かい?」
佐伯のあまりの変わり様に、俺は少し驚いた。
「ゴメンね…日曜にわざわざ呼び出ししてしまって。」
そう言って佐伯は軽く会釈してきた。
「いや…別に良いんだけど。佐伯、最後に会った時より随分と変わったな。」
彼女の瞳は、よどんでいてまるで今まで散々と汚れたモンを見てきた…そんな感じ。
「高萩君…話があるの。」
「あ、あぁどうぞ。」
彼女は少し戸惑っているのか口をモゴモゴさせていた。しかし…次の瞬間、彼女は口を開いた。
「榮波君…覚えてる?」
「蔵瀬?当たり前だ。佐伯、俺を馬鹿にしてんのか?俺と蔵瀬は…」
「榮波君ね…去年の11月に…」
「ん?」
…愚か者の俺は、佐伯が何故虚ろな瞳でいるのかが、次に彼女が言うまで理解する事が出来なかった…
「死んだの…」
「っ?!」
「…首を吊って自殺しちゃった。」
「う…嘘だろ…?」
俺は、一瞬で暗黒の闇へ叩き落とされた…。