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友達の存在...  作者: りす君
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friends19:彼の死…私の思い。(8)

夏休み、ずっと部屋に閉じ籠っていた佐伯に、突然榮波から携帯に電話が掛ってきた。佐伯がそれに出ると榮波は、“夜に公園で待ってる。”と言って一方的に電話を切ってしまった。

佐伯は、先日の出来事で榮波の事がもう嫌いになっていたのだが…

「今から水窪公園(みさくぼこうえん)に来い。」




私が電話に出ると、榮波君がこう言った。


「………。」


今まで彼が私に対して、命令口調をした事なんて一度も無かった…


「…聞いてんのか佐伯?」


彼が私を呼び捨てしたのも、これが初めてだった…。


「じゃ、午後7時に水窪公園な。遅れんなよ!」


こうして、榮波君から一方的に電話を切られた…。


















…正直言って、今の榮波君の元へなんて行きたくなかった。今の彼は、本当の彼じゃないから。




約束の時間はとっくに過ぎていた。時刻は午後9時を回っていた。

パパとママは外出していて遅くまで帰って来ない。私は、冷蔵庫に入ってたモノで早々と夕食を済ませていた。




(カチッ…カチッ…カチッ…)




時計の針の音だけが部屋中に木霊(こだま)する。


「………榮波君、まだ待ってるのかなぁ?」


ふと、自分の口から出た言葉に戸惑う私。


(もし、彼がまだ公園にいたなら…)


いつの間にか、私は無意識に玄関のドアを開けていた。
















「はっ…はっ…はっ…」


私は、公園に向かって一生懸命走っていた。


(今の彼と逢いたくないのに、何で私は彼の元へ向かっているんだろう…)


走ってる内に目から涙がとめどなく溢れて来た。


「…うっ…くっ…もう榮波君なんて嫌いになったのに…何で…何で、私はこんなに彼に逢いたくなるの?」


自問自答しても解らない…それが恋なのかもしれない。













「…遅い。一体、何やってたんだよ?」


私が公園に着くと彼は、ベンチに座っていた。もう彼の顔には、あの日の“優しい笑顔”は無かった…。

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