friends18:彼の死…私の思い。(7)
ついに、佐伯達は晴れて高校生になった。佐伯は、榮波と一緒のクラスになり、とても嬉しくて心から幸せだった。
しかし…その幸せの終わりが佐伯のすぐ側に迫っていたのは、彼女自身もまだ知るはずが無かった…。
ついに、榮波君との高校生活が始まった。同じクラスになって、とても嬉しかった。でも…不安な事があった。
その前兆が見られたのは、入学してからだいぶ経った7月の頃だった…。
私は、いつものように登校して榮波君に声を掛けた。
「さ〜かな〜み君っ!」
しかし、彼は振り向いてくれなかった。聞こえなかったのかと思い、もう一度声を掛けた。
「榮波君っ!おはよぉ〜。」
それでも彼は振り向いてくれなかった。
(いつも挨拶したら、“おはよう、佐伯さん。”って返してくれるのに…どうしたのかなぁ。)
と思い、少し不安になった。
「あのさ…佐伯さん。」
榮波君が、突然口を開いた。
「な、何、榮波君?」
私が返事をすると、榮波君は振り返って私の顔をまじまじと見た。…その顔は、明らかにいつもの榮波君の顔では無かった。
「…ウザい、死ねよ。」
「っ!!!」
榮波君の口から出た衝撃の言葉に、私は大きなショックを受けてしまい…苦しくて泣き出しそうになった…。
彼が言った言葉は、私を心から苦しめた。精神はボロボロになり、学校へ行きたくなくなった。
翌日から、私は時々学校を休むようになった。
学校を休んだ日は、1日中鍵を閉めて部屋に閉じ籠り、まるでナマケモノのように何もせずにただ、ジッとしていた。時々、目から雫が頬を伝って下へ溢れ落ちてゆく…。
「あぁ…あぁ…」
私は、苦しくて言葉が出なくなっていた。
ママは私を心配し続けて、かなり疲れていた。
結局、1学期の終業式の日も登校しなかった私は、夏休み中でも外出はしたくなかった。そんな8月のある日の事。
私は、いつものように何も考えずただジッとしていた。その時、私の携帯のランプが光った。また友達の誘いかと思ったが一応、携帯を取って見た。
“着信:榮波蔵瀬”
「え…」
突然、榮波君から電話が掛ってきたのだった…。