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友達の存在...  作者: りす君
16/58

friends15:彼の死…私の思い。(4)

この話から高萩と、もう一人…驚きの人物が出てきます。

佐伯と榮波のデート。そして、デート後の2人の思いはどうなったか…。どうぞ、ご覧下さい。

(デートの内容は詳しく書かれてません。)

約束の土曜日…榮波君とのデート当日。


今日1日、私は榮波君とデートだと思うと…何だかドキドキしてきたんだぁ。普段、オシャレなんて気にしない方なのに、今日の私は妙に張り切って自分なりにオシャレしていた。

肩まで伸びた髪を丁寧に櫛でとかして、この日に用意したリボンを付けた。服も、普段着ないスカートを着用。塗りたかったのか、何故かママのピンク色のグロスを借りた。これで準備は出来た。


約束の時間までまだあるけど、私は待ちきれなくて家を出た。

この時は、秋から冬に季節が移り変わる時期だった。首にマフラーをして、上着を一枚はおり寒さ対策はバッチリ。今日、私は好きなヒトとのデート…と考えると胸の鼓動が徐々に高まった。


待ち合わせ場所の喫茶店には、約束の30分前に到着した。店内に客がいたが、少数だった。私は、温かいミルクティーを注文して外の景色をボンヤリと眺めていた。



時計の針が10を差した時、

(カランカラン…)

と、音がした。私が後ろを振り返ると、そこには榮波君がいたのだ。




(さ…榮波君…。)




彼は、キャップを被っていて黒いジャンパーをはおり、下はジーンズというラフな格好だった。


「…あっ、佐伯さん。待たせてゴメン!」

と、彼が謝ってきたので私は首を横に振って、

「ううん、全然待ってないよっ!」

と、笑顔で答えた。




喫茶店を出た私達は、とりあえず駅に向かって歩きだした。デートなど初めてだったので、何を話していいか解らず、

「寒くなってきたけど…、風邪とかひいてない?」

など、変な質問しか彼に出来なかった。彼は、私の質問にちゃんと答えてくれた。けど…彼は時々、哀しそうな顔をしていた…。


駅の改札で偶然にもクラスの男子、高萩君を見掛けた。


「高萩くーんっ!」


私は、彼の後ろから声を掛けた。


「ん…あぁ、佐伯…それに、蔵瀬。どうした?」



“蔵瀬”は、榮波君の下の名前だ。中1に彼の名前を初めて知ったとき、私は“一風変わった名前だなぁ”と思った。


「高萩君こそ、どこか行くの?」

「あぁ…ちょっと。で、佐伯は蔵瀬と何してんの?」

「えっ?!」

(デートです…なんて恥ずかしくて言えない。)


私は、顔が熱く感じた。


「萩ちゃん、時間は平気なの?」


榮波君が、突然口を開いた。


「…あぁ、ヤバいな。んじゃ二人共、楽しいデートを。」

「なっ?!」


私が言う前に、彼は改札を抜けて行ってしまった。彼には、全てお見通しだったんだと思うと更に恥ずかしくなった。でも、お見通しされて逆に嬉しかった。


「さっ、行こうよ。佐伯さん。」


私が振り向くと、榮波君は笑顔でこっちを見ていた。


「あっ…」


その瞬間、更に彼の事が好きになってしまった。


「…大丈夫、佐伯さん?」


「…ふぇ?!あ…うんっ、大丈夫。榮波君、行こっ!」


そう言って私は、榮波君の手を握った…。




午後7時。私は、家に到着した。

榮波君との初デートは、とっても楽しかった。水族館やバッティングセンターに行き、そして…夕暮れの公園で二人きりで話した。

榮波君はデートしてる間、いろいろ私に気遣ってくれて嬉しかった。彼はホント優しかった。デート中、私はドキドキが止まらなかった…。

彼への好きな思いが私を苦しめていた。

私は自分の部屋に入って、ベッドに潜り込んだ。




「榮波君、好き…大好きだよ…。」




私は、小さな声で呟いた…。
























「はぁ…。」


佐伯さんとのデートの帰り道、僕は溜め息ばかりついていた。


(別に彼女とのデートが楽しくなかったワケじゃない。彼女は、優しくて性格も良いし、とても可愛い。。…でも)


僕は、心の中で葛藤していた。


(僕は、好きじゃない人とデートしたのだ…。佐伯さんに対して…悪いと思ってる。彼女は、素直に僕とデートしたかっただろうに…。)


その時、後ろから誰かに声を掛けられた。


「く・ら・せっ。」


僕はその声を聞いて、ハッとした。振り向くと、僕は驚いて目を大きく開いた。


「ま…麻衣…。」


僕の目には、微笑みを浮かべた無垢な少女の姿が映っていた。

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