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友達の存在...  作者: りす君
14/58

friends13:彼の死…私の思い。(2)

教室には佐伯と榮波…二人しかいない放課後。榮波は、隠された彼女の鞄を一緒に探すと言った。その榮波の優しい気持ちが佐伯は嬉しくて…。

「ほ、ホント…どこにあるのかなぁ?」




私は、榮波君の事が直視出来なかった。見ると見とれてしまいそうだったから。だから、いきなり鞄探しを再開しようとした。


「佐伯さん?」

「えっ?な、何?」


振り向くと彼は、そんな不自然な態度をとった私を見つめていた。


「僕も…探しても良いかな?佐伯さんの鞄。」

「えっ?」


彼からの思いがけない言葉に、私は驚く反面…彼の気持ちが嬉しくて…嬉しくて、しょうがなかった。


「二人で探した方が、早く見つけられる。」

「い、いや…でも…」


私は、彼の気遣いに対して申し訳ない気持ちで一杯だった。


「ご、ゴメン…。やっぱ、余計なお世話だよね…。」


彼は、申し訳なく謝ってきたので私は慌てて言った。


「あっ…ううん、余計なお世話じゃないよ。でも…。」

「でも?」


私はやはり、彼に迷惑を掛けたくなかった。


「こんなくだらない事に榮波君を手伝わすなんて…出来ないよ…。」


私は、彼のその優しさが嬉しかった。だって、私の事を考えてくれたヒトは家族以外に今までいなかったから。


でも、彼に迷惑を掛けたくなかった。これで私が彼に迷惑を掛けてしまい、もう二度と彼が私と話してくれないかと思うとイヤだし…怖かったから…。


「榮波君の気持ちは嬉しい…嬉しいよ。でも、これは私が探さないといけない気がするの。だから…」

「嫌だよ。」

「えっ?!」


彼の言葉に驚き私が振り返ると、彼は真面目な眼差(まなざ)しをしていた。


「嫌だ。今、目の前の人が困っているのに無視するなんて…僕には出来ない!」

「さ…榮波君…」


“嬉しい”

私が彼の気持ちに対して感じた事。


「ほら、早く探そうよ!暗くなる前に。」

「…うんっ!」




彼の全ての言葉に込められたホントの優しさ…。

私は嬉しくて…いつの間にか私の目から涙がとめどなく(あふ)れてた。榮波君がボヤけて見えていた。


「あ…あり…ありがとう…榮波君。」


私は泣きながら、必死で感謝の気持ちを伝えた。彼は、(ほお)を赤らめていた。


「い…いいよ、感謝しなくて…。」

「でも…」

「さ、さぁ、探そうよ!さて、どこだ…鞄。」


そう言って彼は、私の鞄を探し始めた。




私の為に一生懸命に鞄を探してくれている榮波君…。

そんな彼の優しい姿を見て、私は自分では気付かない内に、彼に聞こえない程の小さな声で一言呟いていた…。










「…あなたが好きです。」

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