friends9:心のこもった贈り物
潮見への誕生日プレゼントで悩む高萩に、千駄木が突如現れて…
高萩の心の声:
「さて、困ったよ…。 潮見が貰って嬉しいモンって、一体何だろうか。」
俺は潮見へ誕生日プレゼントの事で悩んでいた。
高萩の心の声:
「何をあげたら良いか、見当もつかない。 ホント、どうしようか…。」
???:
「あれぇ? どうしたの? そんな顔して。」
高萩:
「うわっ! 何だ、千駄木か。 びっくりさせんなよ。」
千駄木:
「フフッ。」
俺の近くにいる事に気付かなかったが、いつの間にか千駄木が横にいた。
千駄木:
「何か考え事?」
高萩:
「いや…今度さ、ある奴の誕生日会があってさ、何を買っていいか解らないんだ。」
すると、いきなり千駄木が顔を近付けてきた。
高萩:
「うわっ! なっ、何だよ?」
千駄木:
「フムフム…。 さては、女の子だね? 当たりでしょ? でしょ?」
簡単に見破られるとは俺も成長してないな。
千駄木:
「女の子なら、手作りのモノをあげたら悦ぶと思うよ。」
高萩:
「手作りか…、俺には無理だな。 手先が不器用だし。」
千駄木:
「そう? じゃあ…、グロスとか。」
高萩:
「千駄木。」
千駄木:
「ん、なぁに?」
高萩:
「あ、ありがとな。」
俺は、照れながら千駄木へ御礼を言った。
千駄木:
「いいんだよ、私がお節介をやいてるから。高萩クンから、御礼を言わなくていいんだよ!」
高萩:
「そうかい?」
千駄木:
「うん!」
そう言って千駄木は、俺にとびっきりの笑顔を見せてくれた。
千駄木:
「…で、そのコってカワイイの?」
高萩:
「えっ?!」
突然の千駄木の言葉に、俺は驚いた。
高萩:
「たっ、多分…第三者から見たら可愛いと思うよ。」
千駄木:
「へぇ…。」
千駄木は、したり顔をしながら頷いていた。 そして、衝撃の一言を言った。
千駄木:
「ふーん、じゃあ…高萩君。 そのコと付き合いたいと思ってる?」
高萩:
「なっ?!」
千駄木:
「だって、カワイイ人なんでしょ? どうして、付き合いたいと思わないの?」
高萩:
「そ、それは…。」
俺は、言葉に詰まった。
高萩:
「俺さ…、恋愛って正直興味無いんだ。 ソイツに恋愛感情なんて持ってないよ。 それに、今は人を真っ向から好きになる事が出来ないんだよ。」
俺の言った事に、千駄木は目を瞬きながら、
千駄木:
「えっ? 何それ? じゃあ…、高萩クンってゲイなの?!」
高萩:
「…はぁ?! 何で、そちらの方の考えに持っていくかな、君は!」
千駄木:
「だってさぁ、そうならない? 高萩君は、異性に恋をする事が出来ないんでしょ? 同性愛者って事でしょ? 違う?」
そう言って千駄木は責め寄ってきたので、俺は少したじろぎながら答えた。
高萩:
「俺が同性愛者なら、恋愛感情があるはずだし。てか、同性愛者じゃないし!」
千駄木:
「あっ、そうかぁ! その通りだよね、ごめんなさい…。」
高萩:
「ったく…。」
俺がそう言うと、千駄木はニコリと微笑んだ。
千駄木:
「じゃあ、また後でね!」
そう言って、千駄木は僕の席から立ち去った。 俺と千駄木の様子を後ろで、成がずっと見ていたのは気がつかなかったが。
高萩:
「はぁ…、どうしようか。」
俺は、ますます悩んでしまった。そこに鶴の一声のように、近くにいた蒲原のいる女子グループの話が聞こえてきた。
蒲原:
「心のこもった手紙って良くない?」
高萩の心の声:
「手紙…、それだっ!」
俺は、潮見へお祝いの手紙を書く事にした。
高萩の心の声:
「潮見へ手紙って、一体何を書けば…。」
悩む。 取りあえず、一言だけ綴る。
『誕生日おめでとう、潮見。』
我ながら、ベタすぎる恥ずかしい書き出し文に、思わず噴き出した。本当に、こんなので悦ぶのか?
不安が益々募る、潮見の誕生日2日前の午後。