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戦闘によって身体が骨化する病を患ったので、できるだけ戦わないで勝ちます  作者: 紡雪


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第8話 古代の剣

(私がやるべき事...わかったよ!!ユウさん!!!)

今思えば朝の練習の結果が答えだった。


ナノオシと芽衣は一斉にそれぞれの敵へ向かう。


「今度こそ仕留める...」

夜冠は重い一撃を芽衣に打ち込む。かろうじて剣で受けたが、芽衣は遠くへ吹き飛ばされる。

「芽衣!!」

ナノオシは叫ぶが、雨徒達相手に手が離せない。


吹き飛ばされた芽衣は、空中で回転して、木の枝に上手く着地する。その後すぐに木の枝を蹴り、飛ぶ。

芽衣は空中で剣術の型の姿勢を取る。

「朝凪一閃...」


「来るな...あの技が」

夜冠は直感でそう感じていた。

(彼女の技は速さこそあっても威力が足りないだから、私には届かない。)

剣を構える夜冠。だがすぐに異変に気づく。


(ユウさんの言ったことが正しかった...でも私はすぐに相手を殺す気でやれと言われてそれを実行する覚悟はまだ無い。)


けれど─────今できる”最適解”を!!!


夜冠は感じていた、彼女の圧を...殺気を。

夜冠の汗が地面にポツンと落ちる。その瞬間!!

(来る.........)


数コンマ前には視界にいなかったはずの芽衣は気づけば夜冠の目の前に立っていた。


そして───”既に斬っていた”


斬り終えた芽衣が後ろを向くと、夜冠の顔が顕になっていた。フードが先程の風圧で飛ばされたことで見えた顔は、右目は黒で、左目は綺麗な白を纏った銀色の金髪の女性だった。

その顔は驚いていて、口が開けっ放しになっていた。

(なんだ?斬られてない?痛みもない?)


そして気づく。斬られたのは───


「武器破壊か!!!」

夜冠の剣はパリッパリンッとヒビを増やしていきやがて真っ二つに斬れる。

(決して剣の強度は、弱くもない...なんなら普通よりは強度がある......それが折れるほどの...先程まで無かった威力!!)


「これで貴方の負けよ...」

芽衣は剣を夜冠に向ける。


「あっちはいいのか?」

夜冠はニヤリと笑う

痩せ我慢をしていたナノオシだったが、先の戦いと夜冠の一撃による疲労がついに現れる、雨徒に追い詰められていた。


「ナノさん!!」


「ガハッ...」

そこで目を離した瞬間...芽衣は夜冠にお腹を殴られ、そのまま絶え間なく、蹴りを入れられ、雨徒達の方に吹き飛ばされる。


「剣は折られたが......終わりだ。早く殺して村に向かう。」


諦めず、ゆっくりと芽衣とナノオシは立ち上がる。その様子を見た夜冠は手を広げて、

「おいおい、”数十対二”でどうやって勝つんだよ?」

周りの雨徒達を見る。そして──────違和感に気づいた。


雨徒が全員、膝を着いている。

(...体力切れ!?)そう考える夜冠。そんな中、一人の声が静かになった森に響く。



「......いや、”三対一”だ。」


ゾワッ!!

(とんでもない...殺気!!)

そちらを向くと、ただの青年が立っていた。

(こいつが?この殺気を?)


「ああ...俺は怒ってるんだな...」

骸は拳を強く握る。

(仲間を傷つけられて)


「骸...紫暮さんは?」

芽衣の問いに笑顔で答える。

「無事届けたよ…」

そして、骸はナノオシの方に向き直し

「ナノさんも無事で良かったよ...」

「ああ、なんとかな」


最後に夜冠の方を向く。

(やはり、夜冠となると今までのは通用しないか?)

否───

剣には手をつけず、

「...来いよ」と静かに言う。


(...言われなくても)

夜冠は足を踏み出そうとした。

(足が動かない!?)

一歩が重く感じる夜冠。

「どういう手品だ?」

「さぁ?」

骸はとぼける。


「骸のあの力ってなんなんだ?」

ナノオシが芽衣に聞くと、芽衣も不思議そうにこう言う。

「それが、私も分からないの」


(既に完璧な間合いは取れてる...このままいけば......)

そこまで考えていたところで─────


夜冠は躊躇なく、折れた剣を自分の足に刺す。

「イカれてるな...」骸は思わず呟く。

「これで私の動きを封じたつもりか?」


夜冠は骸の方に向かう。

骸は相手の呼吸、動きを観察する。

夜冠が狙うところを予想して、夜冠の移動先と自分の最適な間合いに、ぬるっと横に移動する。

それは、夜冠からすると────

(完璧に動きを読まれた?)


何十回この攻防を繰り返しただろう?

いくら連続で、骸に蹴りや右フックなどを繰り返すが、骸には当たらない。


段々と夜冠の息が上がる。

(なぜ当たらない???)

速度をあげても、フェイントを組み込んでも、完璧に動きを読まれ、気づけば相手は同じような位置に移動している。


「逃げてばかりか?攻撃しないと勝てないぞ?」

煽る夜冠に骸はふっと笑う。


「攻撃はもう俺の専売特許(せんばいとっきょ)じゃないんでね。」


(そこだ!!)

骸は仕掛ける。

一定のリズムで避けていた骸は変則的な動きをとる。すると、先程までの動きに慣れてしまっていた夜冠は骸のその変則的な動きに反応できず、転ぶ。


(こんなもので!!!)

そう思うがすぐに歯を食いしばる。


動けない......!!


(体力切れだと?私が?)


間合い管理にも型がある。

先程大人数に使ったのは”集団型”

今使っているのが”耐久型”

耐久型は相手の体力をごっそり削る。他にも型があるがこれが今の最適。



「”攻撃”しないとは言ってないぞ?」

その骸の言葉に夜冠はガバッと顔をあげる。だがもう遅い────


「...朝凪一閃!」

芽依は力を振り絞って剣術を打ち込む。


「ガハッ!!!」

それをまともに食らってしまった夜冠は森の奥に吹き飛ばされる。


「なんということだ...夜冠様が負けるなんて...」

そう絶望する雨徒達もいたが、一部数人はもっと焦っていた。


「いけません!夜冠様!!”あれ”を使っては!!!」

(あれ?)

骸がその雨徒の方を向いた時


「メオダ...」


という声が微かに骸の耳に届く。その直後だった。


ドドォォォン!!!

轟音が鳴り響き、地面が揺れる。



私を含めた四人の夜冠は、”古代の剣”を持つ資格を黒雨王から得る。


古代の剣はその名の通り、古代の力を発揮する剣。それは絶大の力を秘めている伝説の剣。


そして、夜冠は目の前に落ちてきた剣を手に取る。


私こと、静森(しずもり)紫雨(しう)には

”メオダ─冥王代(めいおうだい)の古代の剣”を与えられた。


そして今──”本気”を出す。


冥王代は、頻繁な隕石衝突により、衝突の熱と、放射性元素の崩壊熱が伴ったことにより、地球表層はマグマの海に覆われていたという。


紫雨は持ち上げたメオダを上に向ける。その途端──マグマの柱が立ち上がる。

マグマは容赦なく、森を焼き付くし間もなく地獄絵図となった。



「何...?あれ.........」

ありえない事象を目撃した芽依は絶望する。隣ではナノオシが黙って見ている。

「あれが...夜冠の本気.........」そう呟いた骸は考える。


マグマという事象に間合いなんて関係ない。

芽依もナノさんも限界を超えている。


骸は紫雨がゆっくりと骸達の方にに向かってきている足音と自分の心臓の音が交互に耳に響く。


(あんなこと言ったけど......)

骸は町の門で不戦勝した後のことを思い出す。

でも───これは無理だ。

骸は手を無意識に動かす。その先にあったのは自分の剣。

5年前から一度も使っていない剣だった。


骸が剣の鞘を持った瞬間──────

(!!?)

「骸!それだけはダメよ!!」

芽依に手を掴まれて止められた。


「悪い...」


剣以外で守るのにも限界はある────


その芽依の手を振りほどいて骸は”左手”で剣を鞘から出そうとした。


「私の名前は紫雨だ。お前、名前は?」

先の見えない森からそういった言葉が聞こえてくる。

「...骸だ」

と答えると、目の前の木が倒れる。


「お前を認めよう骸。でもこれで終わりだ!!」

やがて姿を表した紫雨は剣を振る。

それに対応しようと骸は剣術の姿勢を取る。


「ダメ!!!!!!!」

芽依の叫び声が響き、その直後骸の剣術が発動する。


此岸(しがん)

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