第3話 依頼の街
二人は依頼を受ける場所まで来ると、多くの人が集まっていた。
(見知った顔もいるな...)と思いながら芽衣の背中を着いて行っていたが、骸はあるポスターに目が止まる。
「とりあえず最初は簡単な依頼を...」
そこまで芽衣が言うと、言葉が途切れる。なぜなら骸が急に腕を掴んだから
「どうしたの!?」
芽衣は腕を急に掴まれて少し頬を赤らめる。
「あれなんかどうだ?」
驚く芽衣が骸の方を向くと、骸は一つのポスターを指さしていた。
護衛緊急依頼
内容
ある者の隣国までの護衛
日数:3日間
報酬金額:3万ノクス
条件
1.”輸送対象には決して触れてはいけない”
2.”輸送対象の近くで抜刀してはいけない”
「護衛依頼で3万ノクス......太っ腹ね!」
「だろ?」
芽衣と骸が話していると、周りの人達が声を掛けてくる。
「その依頼はやめときな」
「そんな条件は無茶だよ!!」
骸は顎に手を置いてしばらく考え込む。やがて芽衣の方を向いてアイコンタクトをする。芽衣は小さく頷き、そして────
「この依頼を受けます」と骸は宣言するのであった。
受付の人は
「本当に受けますか?」と聞いてきたので「「はい!」」と返す。
裏から書類を持ってくる受付の人。
「今日の午後1時にこの街の時計台に向かってください。」
と場所を教えてもらった。
「さっきの依頼不満だったか?正直に教えてくれ。」
受付を終えてから骸はふと、芽衣に聞く。
「別に大丈夫だよ?けど、一つ思っていることは……」
「私、旅に出てからまだ剣を振れてないなって……」
今にも剣を振りたそうな感じを出している芽衣を見て骸は(戦闘狂は昔から治ってないな...)と苦笑いをした。
「じゃあ、1時まで暇だし、模擬戦ができる場所に行こうぜ。」
と骸が提案すると、芽衣は「うん!」と即答した。
模擬戦のできる場所を確認して、そこへ向かうと勝ち抜き戦が行われていた。
「私、参加してきていい?」
ウキウキな表情で詰め寄ってくる芽衣に骸は
「いってら」とだけ言う。すると、芽衣はすぐに勝ち抜き戦の列に並びに行った。
(依頼の件...俺の力があれば抜刀をしなくても護衛者に触れなくても守ることができる。問題は敵の強さだな......あの報酬金額だと相当の手練が......)
と骸が考えていると、ざわめきが聞こえてくる。
「きゅっ、九人目!!!」
「あの子何者?」
骸が目を向けると───
芽衣はたった今相手の攻撃をカウンターして九人目を倒したところだった。
「おい!あいつ!?」
そこで普通の剣士とは少し違う雰囲気の大男が現れる。
「あいつ!”オルニカ”という大都市最強の称号を持つ”ナノオシ”じゃないか?」
「名をナノオシと言う。手合わせ願いたい。」
(ナノオシさん...只者じゃない。)
芽衣は直感でナノオシの強さを感じていた。だが、それは恐怖や怖気ではなく──
(相手にとって不足なし!)
喜びだった。
「よろしくお願いします。」
(あの人強いな...)
骸もそう感じていた。
二人はお互い見合って剣を構える。
「はじめ!!」
審判のその合図で二人は同時に動き出す。
最初にしかけたのはナノオシだった。
剣を上から振り下ろす、それを芽衣はサイドステップで横に避けた。だが、大男なだけあって、力はとてつもなく強いため、振り下ろした重い剣を難なく素早く持ち替え、横に振る。
(早い...)
芽衣は反応して剣が向かってくる所に合わせて自分の剣でガードする。
カキンッという甲高い音が鳴る。
(それに重い......!)
受けると共に芽衣はその剣の重さに耐えきれないと即座に判断して剣を下に受け流す。
その様子は一般人から見ると一瞬の出来事だった。けれども、今までと比べ物にならないほど高レベルな戦いだということは理解しており、うぉぉぉ!!!!と、観客は盛り上がる。
受け流してから、すぐに剣を違う型に構え直す芽衣。
(強いけど...芽衣がその剣術を使うなら、芽衣の相手じゃないな。)様子を見ていた骸はそう思う。
「朝凪一閃」
あの子がそう呟いた瞬間、俺は風の音も、観客のざわめきも全てが聞こえなくなり、”完全な静けさ”を感じていた。
まるで時間が止まったように────
勝負は既についていた
気づけばナノオシの首元には既に剣が突きつけられていた。
「ま、参った...」
ナノオシはただそう答えることしか許されなかった。
改めて芽衣の剣術を見た骸はこう思う。
(あと時こそ、俺は最強だったが、あのまま最強のままだったとしてもいずれは芽衣に..........)
「うぉぉぉ!十連勝だぞ!?誰があの子を止められるんだ!!?」
芽衣は剣を鞘にしまい、ナノオシにお辞儀をした。それに合わせてナノオシもお辞儀をする。
そしてすぐにナノオシは「君強いな!俺とパーティ組まないか?」と芽衣を誘う。
「ごめんなさい。あいにく、私はもうあの子とパーティを組んでいるので」
骸の方を指差しながら丁重に誘いを断り、ペコッと頭を軽く下げる。
「そうか...」
ナノオシは骸の方に歩いていき
「少年!俺を君たちのパーティに入れてくれ!!」と頼むのだった。
それを聞いた周囲の人は当然ざわめく。
「え!?」
急なことで芽衣も素っ頓狂な声を上げる。
(護衛依頼には人手が必要だしな...)そう考えた骸はそれを考えた上で芽衣と話し合う。
「わかりました。けど、思っていたパーティとは違う可能性もあります。」
「とりあえず、今から俺達が受けに行く依頼に一緒に行くのはどうですか?そこで改めてパーティに入るのを決めてください。」
リアリティショックという、パーティに入ったはいいが、思っていたパーティとは違うと感じ、ナノオシさんが居心地が悪いと感じることもあるかもしれない。それを考えた上で、ひとまずそういった結論になったのだ。
「ありがたい...」
「俺は骸です。改めてよろしくお願いします。」
「私は芽衣です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ」
骸とナノオシが握手を交わす。
「それと、敬語はやめてくれ。名前も好きなように呼んでくれ。」
「じゃあ...ナノさんで!!」
こうして三人は時計台向かう。




