第21話 攻撃特化型部隊
防衛軍に戻ってきた。
芽衣とナノオシはハヤテが応急処置をしてくれたが、重症で、戻ってすぐに医療部隊に連れてかれた。コツメは二人のそばに寄り添っていた。
そして、骸とハヤテは創隊長に目的の鉱石を渡しに向かっていた。
「まさか夜冠と接敵するなんて...ごめんよ。完全に僕の責任だ。」
そう言って創隊長は頭を深く下げる。
「いえ、大丈夫です。それに、創隊長の通信機があってからこその生存です。」
「でも、そもそも僕が行かせなかったら」
「今回の俺たちみたいに、創隊長や技術研究部隊の技術で、助かる人がいるなら、今回の洞窟探索は必要でした。」
「それに、運が悪かっただけですよ。絶対に創隊長の責任じゃないです。」
「そうですよ!!」
骸の言葉にハヤテは共感する。
「そう言ってくれるとありがたいよ」
間があって、骸は再び話し出す。
「ハヤテは医療部隊には移らないのか?」
「...やっぱりこの部隊が落ち着くというか」
「少し"頼まれ事"もあるので、とりあえずはここにいますよ。」
「そうか...」
「では、一度医療部隊に戻りますので、」
骸は部屋から出て、医療部隊の建物へと向かった。
そこで、建物の上から言葉が聞こえた。
「お前たちはよく夜冠と接敵するな。」
「とんだ災難ですよ。それに、俺が弱いせいで芽衣とナノさんは重症。」
骸は見上げて、"三條"にそう言い返す。けれど、黒目は地面を向いていた。
「でも全員生きている。すごいよお前。」
そうして、建物から降りてきた三條は、骸にこう言う。
「明日俺のところに来い」
そう伝えて、こう考えながら歩いていく。
あいつはすごいよ。本当にそう思う。
そして、誰にも聞こえないような声で三條は呟く。
「だって、俺は"守りきれなかったから"」
今まで一時もあの日を忘れたことはない。
次の日─────芽衣達はまだ安静にしていなきゃいけなく、コツメもまた、芽衣達のそばにいたいらしく、骸は一人で三條の元に向かった。
「改めて攻撃特化型部隊を紹介する。」
「今更ですか?」
「すまん...時間が無くてな。後の二人は起きてたらまた紹介するから、とりあえずお前だけ先にな」
三條が先導して、廊下を歩き出す。
「まず、この部隊の中でも序列がある。」
無層
隊長
比較:夜冠と同等かそれ以上
深層
副隊長、管理長、精鋭部隊責任者など極小数人
比較:夜冠の足止めができる程度。滴位は苦戦なく倒せる。
断層
一般隊員の中でも少数人
比較:一部秒単位での夜冠の足止め可能。滴位と同等かそれ以下。
堆積
一般隊員のほとんど
比較:雨徒と同等
「ちなみに、ナノオシと芽衣は断層だな。」
「俺はどうなんですか?」
「お前は、検討中だ。」
「検討中?」
不思議がる骸を置いて、三條は昨日の会議のことを思い出す。
「技術研究部隊のハヤテの証言によると、たった一人で夜冠と互角にやり合っていた.....」
そう真剣な顔付きで説明するのは、攻撃特化型部隊管理長の桝谷不流。
「けれど、まだ防衛軍に入って間も無い。だから、位は断層ということで───」
「待ってください。」
「どうした、楓雅?」
その結論を止めたのは精鋭部隊第一責任者、真野楓雅だった。
「意見失礼します。実力があるなら、俺は深層でもいいと思います。」
「私も楓雅に賛成です。」
賛同したのは、精鋭部隊第二責任者、奏弓華
「待て、桝谷さんの言う通り、防衛軍に入って間も無いのに、上の位に入られたら下の位の奴らは気を悪くするだろう。」
三條がそう言うと、皆は黙る。
「.....とりあえず、骸については一旦保留で──────」
「本題に入ろう。」
「なぜ、ノクスレインが急に動き出したのかについて───────」
「隊......隊長!!」
「あ?ああ、」
そこで、三條は骸の方を向く。
「この人が、管理長の桝谷さんだ。」
「桝谷不流だ。よろしく」
「よろしくお願いします。」
「今回、骸は─────」
そこで、近くの休憩室でわいわいと騒ぎ声が聞こえた。
「次期副隊長は、真野さんだ!!」
「いいや!奏さんだね!!!」
隊員達がそんな言い合いをしていた。 そこに、目を向けると──────
「副隊長になるのは私よ!!!!」
その混じり合う声の中から、聞きなれた声が聞こえてきた。その声に気づいた骸はすぐにそこに向かった。
「なんで怪我人の芽衣がここにいるんだよ?」
「あ!隊長!!私を副隊長に推薦してください!!」
骸の質問にはガン無視だったので、(無視かよ...)と骸は心の中で呟く。
「副隊長はもう作らないぞ?」
そんな芽衣に、三條はその一言を発した。
その言葉を聞いて、隊員達と芽衣は目が点になる。
「元々作る気はなかったんだけどな────」
三條の頭の中に、ユウとある人物が浮かぶ。その直後、目を瞑る。
「とにかく芽衣は医療部隊に戻って安静にしてろ!!」
骸に注意されて、泣く泣く医療部隊の建物に戻っていく。
────のではなく、芽衣は技術研究部隊に向かっていた。
「創隊長!お願いします!」
芽衣は創に最敬礼をして、ある頼み事をしている。
「悪いが、無理だ。今は忙しい。」
「そんな...そこをなんとか!」
そこでちょうど傍にいたハヤテが口を開ける。
「なら、僕がそれを受けつけます。」
「いいの?」
「はい!一緒に解明しましょう。"骨化の病について"」




