第16話 生きた洞窟
三人とコツメは帰って早々、技術研究部隊の隊長に呼び出されていた。
「やぁ、待ってたよ〜えーと、これをどうぞ〜」
そして、三人は、”ある物を渡される”
(これは!!)
骸はそれを見て驚く。
「通信機だよ。やっと完成したんだ〜使い方は、このマニュアル読んどいて。」
紙を渡しながら隊長は言う。
「ありがとうございます。えっと───」
そして、隣にいた芽衣は研究をしながらそんな作業をする白服を来た小柄な男性にこう聞く。
「あのーなぜ隊長直々に?」
仮にもただの隊員、滅多に体調なんかと会えるものでないはずだ。
その返答は直ぐに帰ってきた。
「え?いやいや、攻撃特化型部隊の隊長が何か困ったことがあったら君たちを頼れって言ってたから─────」
「聞いてなかったのかい?」
あはは、と身体全体で笑うその技術研究部門隊長。
「じゃあ、僕の名前も聞いてないんだね。それなら自己紹介からだ。」
「僕は、技術研究部門隊長の”柚平創”だよ。よろしく〜」
そんな、軽い感じで、優しそうな隊長。
「よろしくお願いします。それで、君たちを呼んだ理由は、頼みがあるんだ。」
「頼み?」
芽衣が聞くと、
「ある洞窟で、取ってきて欲しい鉱石があるんだ。そこは、”生きた洞窟”と呼ばれていてね...興味深くて研究者としては、是非とも立ち寄りたい場所だけど、とても危険なんだ...」
そこで骸は納得する。
「だから、攻撃特化型部隊を頼ったということですね?」
創は頷いて、
「でも、研究したいからね。こちらの部隊からも一人同行する。」
「その人を守るのも依頼ってことですか?」
ナノオシが聞くと、創は首を横に振った。
「この子はちゃんと”逃げ足が早い”から大丈夫。」
「入ってきていいよ」
すると、見たところ武器を持っていない、同い年ぐらいのメガネをかけた男性が部屋に入ってくる。
「村木ハヤテです。」
三人の前でペコッとお辞儀をする。
「彼は、三條隊長と同等の速さで有名なんだ」
(三條隊長と同等!?)
芽衣は心で叫ぶ。
「話は聞いてます。骸さん、芽衣さん、ナノオシさん、コツメさん、早速洞窟に向かいましょう!」
そうして着いてこいと言わんばかりに、部屋を出ていく。
(礼儀正しいけど──すごく早口だな......)
骸はそう思いながら、コツメはナノオシの頭に乗って、三人はハヤテについて行く。
「行ってらっしゃい〜」
手を振って送り出す創の後ろに、急に人が現れて、言葉を告げる。
それに創は頷いて────
「僕も”次は”、”転送装置”を完成させなきゃ─────」
既に部屋に一人残された創はそう呟いた。
─────生きた洞窟の入口前。
「ほぇ〜普通の洞窟みたいだけど......」
と芽衣が呟くと、隣でナノオシは「でも少し不気味さがある...」と言う。
「生きた洞窟では、絶対に衝撃を与えたり、叫んだりしては行けませんよ!」
芽衣はコツメに
「静かによ?」
と人差し指を口元に持ってきて伝える。
「キュ!!!」
そうして洞窟に入っていく。
洞窟内は以外にも、明るくてかなり遠くまで視認できる程だった。
「なんでこんなに明るいんだ?」
「それは、光る鉱石が沢山あるからですね。」
骸の疑問にハヤテは間髪入れずに答える。
(返答も速い!!)
「どうして技術研究部隊に行ったんだ?そんなに速いなら、攻撃特化型部隊に来ても良かったんじゃないか?」
ナノオシの質問に、ハヤテは急に話す速さがゆっくりになる。
「無理だったんです───僕、武器はからっきしで、三條さんに技術研究部隊に行けって言われて─────」
「戦わない医療部隊とかで、治療も学びましたが、疲れてしまい、1日で逃げました。」
「す、すまん...」
ナノオシはすぐに謝る。
「あの隊長にギャフンと言っておくわよ!」
そう怒っている芽衣。
「いいんですよ...今はこの部隊が好きですから」
そしてハヤテは突如その場に止まる。
「この鉱石...!!!」
急にハヤテが叫んだ。
「「「しー!!」」」
三人はハヤテに注意した。
コツメも首を横に振って、まるで「ダメだよ」と言っているようだった。
「すいません...でも、」
ハヤテはしゃがみこんで、ある鉱石を持っていた虫眼鏡で覗く。
「見たことの無い鉱石です......」
その鉱石は、色はなく、明らかにボロボロだった。
ハヤテが人差し指でちょんっと触ると、鉱石はボロボロの所が侵食していき、やがて粉々になる。
「少し、周りを探索していてください...」
そう言ってから、鉱石に目を戻す。
「衝撃を与えると、崩れる...」
興味深そうにハヤテはどこからか出したノートにメモし始める。
粉々になったものを全て丁寧にバンドルに詰める。
「ナノさん、この鉱石見てみて」
「なんだ?」
ナノオシがその鉱石を除くと、
「好きな食べ物が鉱石に映し出されるらしいんだ〜」
それを聞いた、ナノオシはとっさに離れる───が、もう遅い。
鉱石に映し出されたのは、干し柿だった。
「ほぇ〜渋いねー」
ナノオシが恥ずかしがっている中、骸がそれを見てそんな事を言うと、ナノオシは骸を無理やり、鉱石の前に連れていく。
映し出されたのは、オムライスだった。
「案外お子ちゃまじゃないか?」
骸は洞窟の端で顔を隠して体育座りで座り込む。
そんな骸をコツメが肩をちょんちょん、と叩いていた。
そんな感じで骸とナノオシが周りを見ている間、芽衣だけは、その作業と鉱石をじっくり見ていた。
「お待たせしました。」
ハヤテと共に立ち上がった芽衣は骸たちの方を向くと驚く。
「──って、何があったの?」
そんなこんなで、洞窟の探索を続行した。




