第11話 代償
今までの経路、骸の強さの秘密の説明を終えた後、丁度汽車は到着し、馬車に切り替える。馬車に乗ったあと、
「それにしても、今の骸の強さの秘密が間合い管理が凄いだけじゃ納得いかないというか.....原理が難しいというか(小声)」
芽依はブツブツ言っている。
ナノオシは感動して涙を流していた。
「俺は最強だった頃のお前と戦ってみたいな」
と────三條は言う。
「あはは..」
そう笑う骸の心では
(この人とは絶対に戦いたくねー)
と感じていた。
「今でも骸は一番強いですよ!!」
と芽依は三條に叫ぶ。
「いや、芽依の方が強い。」と冷静に答える骸に。
「三條さんならわかるけど、なんで骸が否定するのよ!」
「だって、あの場で情報を整理して的確に指示するのは凄いことだ。」
──ユウさんの死体をみたい後で、冷静に考え、的確な俺への馬車の指示。
骸は心の中でそう思う。
その後は、どちらがすごいかの言い合いが始まり、本部に着くまでその言い合いは終わらなかった。
呆れてみている三條だったが、静かに二人を見守るナノオシは微笑んでいた。
世界境界防衛軍本部
「ここが本部.....」
「そうだ、お前たちは戦力になるし、攻撃特化型部隊に入隊することになる。」
本部の正面門には剣の入った防衛軍のマークが堂々と飾ってあった。
「医療部門に向かうぞ.....」
黙々と三條は歩いていく。その三條の進行方向にいた者たちは、
「三條隊長。お疲れ様です!!」
と挨拶をしている。そして、その様子を後ろから見ながら三人はついて歩く。
門をくぐると、多くの巨大な建物があった。
「こっちだ。」
さらに三條についていくとある建物の前で止まる。
「ここが医療部門だ。」
すると、丁度建物から”ショートスタイルの茶髪”の女性が出てきた。
「.....三條隊長。ユウ副隊長の遺体は送られてきました.....。その.....惜しい人を亡くしましたね。」
死亡通達の契約を応用した技術研究部門の通信技術が完成していれば────と目を瞑るその女性。
「いい、もう過ぎたことだ────」
「.....その方々達は?」
「こいつの身体検査をして欲しいんだ。」
と三條は骸を指さす。
「骸です。よろしくお願いします。」
丁寧な挨拶をする骸に
「あらあら、医療部門隊長の星空です。では、こちらへ.....」
と、ついてきてと訴えるように建物の中へ案内する。
「検査している時間は防衛軍内を自由に見ていいぞ?」
三條が芽依とナノオシにそう言う。
「いや、大丈夫です。」
「そうか....検査が終わったら攻撃特化型部隊の建物に来い。」
そう言って三條は建物出口に歩いていく。
「お疲れ様です!」
若手の隊員が三條に挨拶をしている。
「ナノさん.....」
木の椅子に座りながら芽依がナノオシに話しかける。
「どうかしたか?」
「改めて聞きたいんだけど、骸の骨化の病の治療法とか聞いたことない?」
そう真顔で聞く。
「.....すまないが、聞いたことない。」
「そっか、急にごめんね。ありがとう。」
その数分後────
星空と骸が戻ってくる。
「あんまり、骨化に支障はなかったなー」
そう言った骸に星空は睨みつける。
「はい....左手は動かなくなりました。」
骸は星空の圧に諦めて白状する。
「補足すると、足の指も複数骨化していて、次に剣を使ったら、おそらくもうほぼ完全に骨化します。」
「.....そう..ですか。」
声が小さくなりながら、下を向く芽依。
「この病について、できる限りの捜査をするから諦めないでください。」
下を向いた芽依に星空は声をかける。
「何せ私は”治療部隊隊長”患者者は絶対に治します。」
えっへんと明るく言い、希望を見せようと振る舞う星空。
「とにかく、こちらは任せてください。あなた達にはやることがあるのでしょう?」
「.....ありがとうございます。」
芽依はお礼をいい、骸に─
「そういえば、三條さんが、戦闘特化型部隊に来いだって〜」
「おお、じゃあ行くか。」
骸は星空の応急処置のお陰と、多少の対策により、普通に歩けるようになった。
「応急処置ありがとうございました。」
「応急処置はあくまで応急処置なので、あまり過信しないでくださいね。」
「わかりました。では───」
芽依とナノオシもお辞儀をして建物から出る。
攻撃特化部隊
「三人には”ムムシカ”に行ってもらう。」
三條は高い椅子から見下ろして命令するように言う。
(あ、圧倒的上から目線.....)とナノオシ、(子供みたい)と骸が思う。
「高い所が好きなんて子供みたいですね〜」
骸が思っていても口に出さなかったことを芽依は発言する。
「.....お前らは攻撃特化型部隊に登録したから、一応俺は隊長だぞ?」
(俺と骸は別に発言してないけどな..)と目を瞑りながら考えるナノオシ。
「信頼してるので、少し気が緩んでしまっているだけです。」
そう言う芽依に「.....まぁ..いい。」と満更でも無い顔をする三條。
(((あ、この人ちょろいかも)))
それを見た三人は同時に思った。
「それで、どうしてムムシカという所に?防衛軍としての仕事ですか?」
逸れた話を戻す骸に三條は答える。
「いいや、仮にも条件の為に多少無理やり防衛軍に入ってもらったに過ぎない。だから三人には、防衛軍の仕事は命令としてやってもらうことはあまり無いな。」
「では何を?」
「お前達三人には、宝玉を剣にするために、ある鍛冶師の元に行ってもらう。」
「だが、気をつけろ?確実にノクスレインは古代の剣を狙ってくる。」
攻撃特化型部隊の建物を出て、三人は門へと歩いていた。
「.....ナノさん?」
歩いていた骸と芽衣が足を止める。
「あの依頼を受ける前にチームの居心地の話しただろ?」
「...このチームの居心地はとてもいいし、楽しい。けれど、俺は─────このチームの邪魔だと感じたんだ。」
「邪魔なんかじゃないよ!?」
「だって───俺がいたら二人きりの時間が減るぞ?」
真面目にそう答えるナノオシの言葉に、骸と芽衣は顔を赤くする。
「そんなの別に考えなくていいから!!」
「私たちただの幼なじみだし!!」
「それに───ナノさんがいた方が、このチームはもっと楽しいと思うな。」
「だから、ナノさんが良かったらチームに居てくれないかな?」
ナノオシはふっと笑い──
「よろしく頼む」と言った。
「できるだけ二人の邪魔はしないようにするから」
「「しないくていい!!!」」
骸と芽衣は同時にツッコミを入れた。




