第10話 彼女の覚悟
村に着くと紫暮が走って向かってきた。
「良かった!三人とも無事ね.....」
泣きながら三人の無事を喜んだ。
「....でも、ユウさんが。」芽依が下を向いた言う。
「ユウはどこだ?」
三條は単刀直入に聞く。
「あなたは?」
「ユウの上司です。」
真剣な眼差しを受け取った紫暮は一言、
「....着いてきてください。」
とだけ言って歩いていく。紫暮が連れてきたのは村の病院のような場所だった。
ユウさんの死体が見えるとすぐに三條はベッドに骸を下ろしてから確認しに行く。
「ユウさんの死体少しおかしいのよ..」
「おかしい?」
紫暮の言葉に芽依が聞き返すと、
「やはりか....紫暮さんとやら、それ以上は喋らなくていい。」
三條は紫暮を止める。
「こいつらにとってはあまりに酷な話だ。」
(大体理解した....ユウ)
三條は頭の中で情報を整理する。
まず間違いなく、ユウの死亡要因は”自殺”
理由は────死なせたくなかったんだろう。
世界境界防衛軍に入ると、ある契約が結ばれる。その契約は自身の心臓が止まった場合に、即座に本部に情報が行くこと。
本部にその情報が来た場合、必ず死亡した隊員の位より”数段上の者”を派遣すること。
まず前提としておかしい思っていた。なぜ、ただの何の変哲もない”護衛任務の補助”として向かったユウが───副隊長のユウが死んだのか。
夜冠を見て自分では勝てないと察した。
だから────自害して”俺を呼んだ”
(そんなにこいつらを死なせたくなかったのか?)
そう考えながら三條は悲しそうにユウを、見つめる三人を見る。
「...ところで、宝玉はどこに?」
紫暮に三條が聞くと、
「後で門の前に置きますけど、ここに....」
と宝玉を取り出す。
「その宝玉は、古代の剣になりうる前の存在なんだ。できれば、我々世界境界防衛軍がそれを引き取りたい。」
「古代の剣?」
「使い方次第で人を助けるし、人を殺す。特別な力を待った危険な剣だ。」
それを聞いた紫暮は納得する。
「そう───この村にあっても意味は無いのね。」
「そうだ。」と三條は率直に言う。
「でも、この宝玉の持ち主は私よ?」
「紫暮さん。これは防衛軍の人に渡した方が.....」
話して聞いていた芽依が紫暮を説得しようとするが、
「いいえ、私はこの宝玉は防衛軍の人には渡しません。」
と認めない。
「どうしてそんなに?」
「これは....芽依に使って欲しいの。」
「芽依なら正しい方、人を助けることに使うから安心してあげられる。」
そして、三條の方を向いて
「それしか認めません。」
と言い切り、芽依の手のひらに宝玉を乗せる。
「えっと.....」
気まずそうに芽依は三條の方をむくと───
はぁ〜と深いため息をしていた。
「条件だ、防衛軍の組織に入ってもらう。異論は認めない。」
「私が持っていてもいいんですか?」
「.....特別だ。」
(ユウが信じたこいつらになら、預けてもいいのかもしれない。)
その場の5人はユウに手を合わせてから、後、死体処理班という人がユウを丁重に扱い連れていく。その後.....
「とりあえず、この後は一度防衛軍に着いてきてもらう。」
三條の指示で三人は村から出る準備をする。
「強くなってね芽依。」
紫暮は芽依にその言葉をかけて見送った。
三人と紫暮は手を振り合う。
「ここからは長旅だ。」
「俺のマントに掴まれ」
さっきまでのような優しそうな口調はどこへ行ったのか、三條の言葉は少し厳格になっていた。
三條は黒いマントを指さす。三人は首を傾げながらマントを掴む。そして───物凄い速さで移動する。
(は、速い!!)
数分移動すると、汽車の止まる駅に到着した。
「これに乗るぞ。」
「あの──行きは走ったきたんですか?」
冗談で聞いた芽依。だが、その答えは。
「そうだ。流石に三人を連れて走るのは疲れるから、汽車で帰る。」
はは、と苦笑いをする三人。
「この人バケモノじゃね?(小声)」
骸が小声で言うと
「あんたも十分バケモノよ(小声)」
「そうだな(小声)」
芽依の言葉にナノオシも共感する。
「ていうかあの人急に性格が変わりすぎじゃない?(小声)」
「あれだろ?一般人を相手にする時だけは優しい感じを見せる的なやつだろ?(小声)」
「聞こえてるぞ!!」
と言う三條に三人はギクッと身体を震わす。
そんな会話をしながら四人は汽車に乗った。
「それにしても、報酬を多く貰ってよかったのかな?」
汽車の席に座り、芽依は報酬金額4万ノクスの入った袋を見せる。依頼書では3万ノクスだったので、1万ノクス多かったのだ。
「そんなに多く貰ってたのか?」
ナノオシが目を見開く。
「───そんなことより防衛軍の説明を簡単にするからな」
足を組んで座る三條が話し始める。
世界境界防衛軍。改めてこの組織は、世界の均衡のバランスを取るための組織。今は対ノクスレインを中心に行動していること。
組織には、
1.戦闘特化部隊
2.技術研究部隊
3.治安維持部隊
4.医療部隊
その四つの部隊があって、隊長はそれぞれにいること。隊長によっては副隊長を作るが、基本は作らないこと。
「ちなみに、何部隊の隊長なんですか?」
芽依の質問に三條は答える。
「俺は”戦闘特化部隊隊長”だ。」
(((だろうな───)))三人が同時に思う。
「とにかく!戻ったら医療部隊の奴に、骸の検査をしてもらう。いいな?」
「俺は別に大丈夫ですよ。」
骸はそう答えるが、横から芽依が顔を出して
「お願いします」と答える。
骸は我慢する癖があるから絶対に何かを隠している。芽依には、そんな直感があったのだ。
「基地に着くまで自由時間だ。聞きがたいことがあったら今のうちに聞いておけ。」
「改めて、夜冠が持っていたあの剣はなんなんですか?」
骸の質問に三條は答える。
(”夜冠..ね”)三條は心の中でそう思う。
「ノクスレインの位については知っているか?」
それに骸は頷く。
「夜冠の人数は”四名”ということ、そしてその四名は全員古代の剣を持っているということが調査でわかっている。」
「まず、古代の剣は、世界に数本しかない剣で、元はただの宝玉。剣には、古代の環境そのものの力を秘めているという。」
その説明に芽依は宝玉に目を向け、「じゃあ、これにも古代の力が.....」とつぶやく。
「他にあるか?」
「じゃあ───」
三條の言葉にナノオシが手を挙げる。
「骸、さっきいた通り、色々事情を聞かせてくれ。」
(俺への質問じゃないのね..)と心の中で思う三條を置いて、骸と芽依からの説明が始まる。




