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大学生の男の子に誘われてしまった、どうしよう

ついに大学生の男の子に誘われてしまう主人公。主人公の大人の対応が期待されるが・・・。

 突然だが、わたしとわたしの夫は、わたしの夫の一目惚れから始まった。というのが、わたしの勝手な認識だった。夫とは初めて会った日から、目がものすごくよく合った。それから、夫は食い入るようにわたしの目を見つめ、嬉しそうに笑った。しかし、夫はそれを否定している。だけどもわたしは、本当に夫の一目惚れだと思っている。ある日、メールで知り合ったわたしたちは、休日に会う約束をし、一緒に昼食をとった。その時に入ったのがオムレツ屋さんだったということまで、夫は覚えている。当時の私は20代半ばだった。20代半ばの数年間を恋人を作らずに一人ですごしたわたしだったが、このままではいけないという不安を抱えていた。結婚に対する思いは切実すぎるくらい切実だったが、いかんせん、恋ができなくなっていた。当時のわたしは誰かに「好きだ」と言われたら、恋がはじまると思っていたが、20代半ばの時に20歳の大学生と付き合ったことが、大きな傷として残っていた。好きだと言ってきたのは向こうだった。しかし、実際に付き合いだすと、「責任を取りたくない」「早く結婚相手を見つけろよ」という言葉はまだまだ序の口で、「妊娠しても認知しないから」というとびっきり強烈なひどい言葉を連発した。それでいて、「今度はいつ会えるの?」「また遊びに来てよ」「セックスしたい」としつこく次の約束を取り交わそうとするのだった。デートなんて、本当に1回しかしなかった。メールで知り合った彼だったけど、そもそも実際に会う前から「好き」と言ってくること自体がおかしかったことにもっとはやく気が付くべきだった。もう! 大学時代の「させてほしい」だけじゃ、まだまだ事足らず、「妊娠しても認知しない」という言葉を投げつける男を、なぜ神はわたしに出会わせようとしたのか。もし本当に神というものがいたとしたら、心の底から呪ってやろうと思った。夫と出会った初めての日、「わたしの恋は報われないんだよ。こんなに頑張っているのに全部だめなほうにしか動かないんだよ。だからもう、恋なんてしたくないって思うのにさ。わたしバカだからすぐに忘れてまた恋がしたいなんて思っちゃうんだよ。本当に学習能力ないよね! またきっと傷つくだけなのにさ」と言いながら、眼がしらに滲んだ涙をぬぐおうとした。20代後半のわたしは、客観的に見て崖っぷち。彼氏も作らずに結婚もせずにいったい何をしているのだろうと揶揄される存在だった。そんなわたしに、夫は、今自分のほかに誰とも会っていないなら、全土日を全部自分のために開けてほしいと言った。その日から、高速で1時間以上かかるのにも関わらず、毎週土日になると、毎回夫はわたしの家に迎えに来た。そして、その3か月後に好きだと言われた。「付き合ってください」と言われ「はいそうしましょうか」と答えた時の夫の喜び方は、こちらからしたらひどく新鮮で、かわいらしかった。結婚したのはその3年後。そして子どもを授かったのはさらに3年後だった。臨月の時、わたしは、自分の脈がひどく乱れていることに不安を覚えた。出かける際に車に乗るとぱんぱんに張り出したお腹がひどく張って苦しかった。わたしは夫の子どもを産むために、自分の命を落としても構わないくらいに思っていた。そして、いよいよ息子が生まれる日、わたしはひどい陣痛に苦しんだ。予定日を1週間過ぎても生まれないから不安で電車に乗っていたのだが、電車の揺れがつらく、おなかの張りがひどくなった。病院に到着すると、「全然生まれる兆しはありません」と言われ、錠剤のホルモン剤を手渡された。手渡されたそれをたったの1粒飲んでから、強烈な陣痛が定期的に襲い掛かってきた。なんだこれは、リアルに死ぬやつじゃん。20代後半にして初めて味わうこの強烈な痛みに、わたしは実に12時間苦しめられた。あとで実母に聞くと、陣痛室はわたしの血ですごいことになっていたらしい。息子が生まれる1時間前に仕事を早く切り上げて息を切らせてやってきた夫は、痛みのあまり叫び声をあげているわたしを心配し「こいついつからこんな風なんですか?」と助産師に質問した。助産師は「11時間前ですよ」「でも、こんなのまだまだおとなしいほうですよ」と答えた。出産を終えて、わたしは無言のままだった。夫と実母が心配してそばに来てくれた。その日は昼から一切飲まず食わずだった。助産師に言われて夫はおむすびとお茶をコンビニエンスストアで買ってきてわたしに与えた。1週間が経ち退院すると、わたしは1か月とちょっとの間、息子を連れて実家の離れで過ごした。週末には夫が来た。母乳やミルクの事でいつもあたまがいっぱいで、夫のことどころじゃなくなっていた。夜中に息子が泣いてあやすのが大変なので、昼間は友達が遊びに来ても気が付かないくらいぐっすりと眠っていた。子どもがいない時に、夫は何度かわたしと性交渉を持とうと試みたが、わたしのほうが、陣痛の苦しむから心が回復していなかった。夫に抱かれそうになると、怖くて固まってしまうのだ。出産を経験したせいで、こうすることによってこうなったというのが強く頭に刻み付けられてしまった。簡単に言えば、次に妊娠して同じ思いをするのが怖くてセックスが、できなくなっていた。夫は優しいので「無理しなくていいよ」と言い、わたしはその言葉に安堵した。これがこの夫でなく、別の男だったら、こうはいかなかったかも知れない。


 それからというもの、自宅に帰ってからも、以前のような性交渉がないまま夫と息子とわたしとの生活が続いた。そして、育児の大変さから、セックスがないということに関して何も不思議に感じないまま、ゆうに15年もの月日が過ぎていった。わたしは自分自身が女だったから、特にそれに関して不便さも感じなかった。ただ、夫のほうは不満を見せていた。裸だけでも見せてほしいと懇願されたこともあったし、わたしと似た感じののAV女優を見つけてそれで我慢していると言ってこられたこともあった。わたしのほうは、夫の事を好きとか好きじゃないとかそういう以前に、特にセックスがなくてもつらいとも何とも思っていなかった。


 ほぼ毎日バイト先から駅までの距離を、大学生と一緒に歩いた。過去の恋愛の話や、夫の話もした。大学生は自分の事は何も話さず、ただこちらの話をひたすら聞いていた。ひとの話を聞かされるなんて本当はつまんないんじゃないかと思ってこちらが沈黙すると、「それなりの恋愛をしてきた人なんですね」とわたしの話を簡単にまとめた効果的な返しをしてきた。でも、なんで性愛の話をしてしまったんだろう。わたしは大学生に自分が話した内容について、話したこと事態を後悔し始めた。余計なことは何も話さず、謎の人で通しておけばよかったのかもしれないとも思った。そして、大学生が自分の事をどういう風に思っているのか、母親みたいに思っているのか、それとも、バイト先の仲間として親睦を深めたいのだろうか、世代差による恋や愛や性愛に関する考え方の違いに興味を示し始めているのだろうか。大学生はわたしの話をさえぎらなかった。ああ、やばい。わたしは自分にとって不利にしかならない話を自分から延々としてしまったのだろうか。そう考えると同時に、大学生に対してすごく好意を持つようになってきた自分に驚いた。話を聞いてもらえることにわたしはこんなにも飢えていたんだ。自分のすべてをそのまま受け入れてもらえる安堵感に、わたしはびっくりしていた。なんだろう、こんなにも若い男の子に、いい年をしたわたしは、ドキドキしている。こんな気持ちを持っていると大学生に知られたら、気持ち悪く感じるのだろうか。たぶん、彼くらいの年の女の子が知ったら、ものすごい勢いでおばさんの癖に、更年期の癖にと、笑いものにすることだろう。しかし、わたしは大学生の彼に、友達同士という関係であろうと、女として扱われている。この事実に胸がときめいた。労わられ、大切にされている。まるで自分が大学生に戻ったみたいだ、と思った。そしていつもだったらそこで別れるはずの駅前広場にたどり着くと、「駅の近くに僕のアパートがあるんですよ。コーヒーくらい飲んでってくれますよね」と、彼が誘った。


大学生の男の子に誘われるなんてすごくうらやましいです。(笑)実際は結婚していると、こんな妄想で我慢するしかないんだよ(笑)。

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