表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

この年で出会いなんて!

40代の女性が、いまはやりのマッチングアプリで恋の相手を募集するって、いったいどんな感じなんだろう。


 子どもが大きくなって自分の事を気にするような時間が手に入ると、肌の手入れだの、洋服の着こなしだのに、再び興味がわくようになった。ときどき、すっかり見ることが少なくなってきた鏡をのぞき込んで、周りから見て自分がいったい何歳くらいに思われるのかを気にするようになってきた。出産するまでは、自分もまだまだ若く、友達は合コンに行ったり、デパートでたくさん服を買ったり、その話を聞いたりする日常だったのに、いまの自分は浦島太郎のようだ。目の前にいる自分の息子のお世話にとにかく必死になっている最中に、いったいどこまであるいてきたのだろうか。夫との行為はかれこれ15年はないまま過ごしている。仕事から疲れて帰ってきた夫を見ても、もはや何の反応もない自分が当たり前になっている。息子が生まれる前は、一緒に食卓を囲い、職場の事やニュースの事で話の花を開かせていたというのに、いまでは完全に冷え切った空気が流れている。『離婚』の2文字が頭をよぎることだって何度もあった。出会ったばかりの頃は、夫から言われなくても、自分が愛されていることがわかった。家は反対方向なのにわざわざ車で家まで送ってくれた。わたしの顔を嬉しそうに眺めてはひとりでニヤニヤしている姿もあった。だから、告白されたことも想定外ではなかった。二人で会った帰り道、「好きだ」と言われ、「はい。いいですよ」と答えた時、夫が「やった」と心の底から嬉しそうにしていたのを見て、なんだかかわいらしいなと思った。そんなころの気持ちもなにもかもすべてが、いまはもう過去のことのように感じた。


 45歳。わたしの年は、ほんとうに微妙だ。しかし、そうだ。思い出してみたら、大学時代の男友達に、いまのちょうどわたしくらいの年の女性と付き合っている子がいたっけ。お相手は子持ちのバツイチで、再婚する予定はない。しかし、男友達からしてみたら、そのくらいの年の女性ほど一緒にいて落ち着ける相手はないと言っていた。お母さんのような、宗教のような存在。らしい。宗教って言われてもなあ。わたしの場合はどうだろう。もしかしたらサイババのほうが近いかもしれない。髪の毛だって振り乱したままボサボサだ。しかし、年齢は手入れをすればあるていどはごまかすことができる。わたしは、今の自分がどれくらい男性から受け入れられるのか少し試してみたいと思った。夫に内緒で出会い系アプリをスマホにダウンロードしてみて、45歳たか子というプロフィールで登録してみた。


 一週間ほどで、20代男性からメールが来た。

「こんにちは。たかこさん。45歳の女性はエロいって本当ですか? 早いうちに会いたいです。返事はなる早でお願いします!!!」

 文末の!!!が、男のがっつき具合を強く表現していた。エロいって本当ですか? って聞かれて、はい本当にエロいですなんて答えたら、わたしはすぐにでも食われるのだろうか。なんだかやばいな(笑)と思いながらも、あまりにもの仕事の忙しさに返事をすっかり忘れていた。しばらくするとおなじ男から「早く返事をよこせこのババア」とメールが届いた。あなたはわたしに考える時間すら与えるつもりはないのですね? 返事がすぐじゃなかったらババアなんでしょうか? と返事をしたいのを必死に抑えながら、男から届いたメールを全削除した。だいたい、20代男性で、45歳女性に興味あるなんて、変だ。同年齢の女性を相手にするには自信がないが、母親くらいの年の女には強く当たることができるんだ! と少しくらいはやさぐれたい気持ちにもなってきている自分がいて驚いた。 次に、50代男性からメールが来た。「大人の友達になってください」だそうだ。大人の友達って、わかりやすく、セフレってやつですか? ああ、そうですか! わかりました! ただやりたいだけなんですね! 返信メールの内容から、男たちの目的が丸わかりになるところが逆に興味深く感じた。


 20代後半の頃に、恋人募集の掲示版に書き込みをしたことがある。その時はたったの1週間で138通のメールが届いた。そのころは、誰かもわからない男の人と出会ったりするのが怖くて、結局誰にも返事をせずに終わった。40代半ばになったわたしは、子どももいるのにいったい誰に何を求めているのだろう。自分がどうしたいのかもわからない上に、男性からの返信のあまりにもの少なさに膝から崩れ落ちそうだった。あーあ、これでも20代の頃は、街を歩いていて普通に男の子から声をかけられたのよ。ついていくこともなかったけどね。そうため息をつきながらも、もはや自分が選べる立場でもないことを悟った。こんなわたしが、夫以外の誰かと愛のあるセックスをするだなんて、宝くじに当選するような確率なのだ。そしてその確率をつかんだ末に、離婚だの慰謝料だのと言う問題が浮上するようでは本当にやってらんない。こんな風に、利己的に愛欲について考えた。ああ、ほんとうに利己的。自己中心的。自分の事だけ考えた末に、体だけを誰かもわからない男に求められたんじゃ本当にもうどうしょうもない。体から入る男女の関係なんて、絶対自分のためになんてならない。だからと言って、自分の中の性欲を我慢し続けるのはいかがなものだろうか。


40代女性が独身と偽って? マッチングアプリに登録しても、やっぱり?? 体目当ての男とか、熟女が好みの変な男しかつれないんだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ