愉快な人たち
【獣の国入りを祝ってー】
【おい、テキトー。何か芸をしろ】
【私よりもお前の方が適任ではないのか。】
【ああ、界磁の舞のことか?もう二度とやる気はおこらんな】
なんか二人でめっちゃ盛り上がってはるわー・・・。
【おお、主役のお目見えだ。】
【息災でなにより。今度はどうした?】
二人ともえらくテンション高いね。酔っ払い?
【脳内麻薬では酔うことができぬ。】
【これから人間共をのしてやれるかと思うといてもたってもおれずにな。】
二人とも怖ーい。
てか、これからの事を聞きにきたんですけれど何かこう便利な予知能力とか持ってない?
【そんなものこの世界には存在しない。】
【いや、テキトーよ。そうとは言い切れない。私たちが眠っている間に事は随分進んでいたではないか、進化の果てに何があるかは私たちにも分からぬ。】
と言う事はお二人は予知能力を持っていないと。
【そうだな。】
【できぬものはできぬ。】
やくにた・・・そうか、ありがとう。
【ふむ、役に立たないと言われては一肌脱がねばなるまいに。】
こらこら、言うのをやめた台詞まで読まないでよ。
いくらなんでもそれは酷いと思って自重したのに。
【自重しきれていなかった感は否めないがな。私はなんと言われようと殲滅にしか手を貸さんぞ】
いや、ほんと貴方には期待していない。
お喋りしてくれるだけで十分です、ハイ。
【・・・体を貸せ。その辺の人間を殺してきてやろう。】
いや、ほんと良いですから。深窓意識の奥で埋もれててください。
向こうついても大人しくしててよ、ほんとーに。
【役に立たないとまで言われて、黙っているのはこのラサティの性に合わん。よし、お前が寝静まったのを見計らってだな。】
テキトー。きっとテキトーしかできないことよ、これは。もう黙って役に立つ方法なんて考えなくってもいいの。
これから貴方は私の中でちょっと役に立たないお兄さんから全身全霊をかけて信頼できるステキなお兄さんに早変わり。
【随分勿体つけるな。分かっている、言わずとも分かっている。】
【な!テキトー!離せ!離さんか!】
【では、用事があれば呼ぶが良い。これは私が抑えておこう】
大変助かります。
ありがとう。
自分の体は見えないけれど、二人が遠ざかっていく方向に向かってそっと両手を合わせた。
邪神よ、闇に帰りたまえー。