第七話:完全復活! 巨デブの誇り、再び
登場人物
•夏目 圭介:巨デブ専門の飼育員(26歳)
•大井川 狸吉:同僚の飼育員(30歳)
•神田 ヘキサ:ペットショップの店長(40歳)
•巨デブ:人語を解する珍獣
ペットショップ 裏の飼育スペース
(朝日が差し込む中、巨デブは得意げな顔でケージの中に鎮座している)
巨デブ 「ぶひぃ♡ みてみてぇ…ぼくのぉ…ぼくのぉ…きんたまぁ♡ でっかくなったよぉ♡」
(夏目と狸吉は呆れ顔で腕を組んでいる)
夏目 圭介 「……おい、これデカすぎないか?」
大井川 狸吉 「そうだな……もとの1.5倍はあるぞ……」
(ケージの柵にぶよぶよの腕をかけながら、巨デブは幸せそうに尻尾をふる)
巨デブ 「ぶひぃ♡ すごいでしょぉ♡ こんどこそぉ…りっぱなぁ…きんたまもちだよぉ♡」
(神田店長がやれやれとため息をつく)
神田 ヘキサ 「……まぁ、こうなるともう売るって話じゃないな」
夏目 圭介 「もうとっくに”商品”じゃなくなってましたけどね」
大井川 狸吉 「看板動物として完全に定着しましたね。子供たちの人気もすごいし……まぁ、“ある意味”可愛いってことなんでしょうね」
(ケージの前には「おさわりOK 巨デブくん」と書かれた看板がある。すでに常連の子供たちが、巨デブのもちもちボディをむにむにしに来るようになっていた)
巨デブ 「ぶひぃ♡ もっとぉ、むにむにしてぇ♡」
(夏目、頭を抱える)
夏目 圭介 「……本当にこれでいいのか……?」
大井川 狸吉 「まあ、店の看板動物ってことで、店長も資金援助してくれてるし、巨デブの維持費もなんとかなってるし……」
神田 ヘキサ 「“売れ残り”だったのが、今や店の”顔”になったんだから、むしろ大成功だろ」
(巨デブ、誇らしげに胸を張る)
巨デブ 「ぶひぃ♡ ぼくぅ…えらいぃ♡?」
夏目 圭介 「……まあな。少なくとも、どこかに売られていくよりは、ここにいたほうが幸せそうだな」
大井川 狸吉 「だな。ここならちゃんと世話もできるし、巨デブのためにも良かったと思うわ」
(巨デブ、満面の笑みで店員たちを見上げる)
巨デブ 「えへへぇ♡ これからもぉ…いっぱいむにむにしてねぇ♡」
(夏目と狸吉は肩をすくめ、神田店長は深くため息をついた――)
(こうして、“去勢済み売れ残り”だった巨デブは、立派な”看板巨デブ”として、ペットショップでの新たな人生(デブ生?)を歩むことになったのであった)