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第六話:奇跡の瞬間! きんたま再生計画、最終段階

登場人物

•夏目 圭介:巨デブ専門の飼育員(26歳)

•大井川 狸吉:同僚の飼育員(30歳)

•神田 ヘキサ:ペットショップの店長(40歳)

•巨デブ:人語を解する珍獣

ペットショップ 裏の飼育スペース


(朝日が差し込む中、巨デブは豪華な朝食を目の前にうっとりしている)


巨デブ「ぶひぃぃ!! ごはんぁぁぁ!!!(歓喜)」


(しかし、よく見ると思ったより素朴で困惑)


巨デブ 「ぶひぃ……これがぁ……きんたまのぉ……ためのごはんなのぉ……?」


夏目 圭介 「そうだ。今日は特製・高タンパク低脂肪の”きんたま再生スペシャルメニュー”だ」


大井川 狸吉 「豆腐ハンバーグに、サーモンのホイル焼き、そして温野菜。スーパーフードのアサイー入りスムージーもあるぞ」


巨デブ 「ぶひぃ……おいしそうぉ……でもぉ……」


(巨デブ、じっと料理を見つめる)


巨デブ 「あまいのはぁ……?けーきとかぁ…」


夏目 圭介 「ない」


(巨デブ、震える)


巨デブ 「ぶひぃぃ……つらいよぉ……」


神田 ヘキサ 「お前、食事制限始めてから3週間くらい経つのに、未だに言うのか」


大井川 狸吉 「でも、効果出てきてますよ。前より肌ツヤがよくなってるし、贅肉の張りもいい感じです」


夏目 圭介 「……たしかに。これまでの脂汗と違って、なんかこう……健康的なテカりになった気がするな」


神田 ヘキサ 「健康的なテカりってなんだ」


(巨デブ、褒められて嬉しそうに体を揺らす)


巨デブ 「ぶひぃ♡ すごいでしょぉ? ぼくぅ、がんばったのぉ♡」


———


(その後、昼休憩。バックヤードにある特設巨デブスペースにて、今日も巨デブの健康管理が行われる)


夏目 圭介「はい、巨デブ、今日もお風呂な」


大井川 狸吉「運動はムリだから、せめて清潔維持だけは徹底しないとな」


(大きな浴槽には、すでにぬるめのお湯が張られている。)


巨デブ「ぶひぃぃ……おふろぉ……きもちぃぃ……♡」


(店員2人がかりで、巨デブの贅肉の間までしっかり洗う)


夏目 圭介「今日も脂汗すげぇな……」


大井川 狸吉「蒸れないようにドライヤーもしっかりな」


(ゴォォォォォ……!! 巨大な業務用ドライヤーで乾燥)


———


(数日後――)


(巨デブが日課の日光浴をしていたその時、事件は起きた)


巨デブ「ぶひぃぃ……ぽかぽかぁ……♡」


(その時、下腹部に違和感が走る)


「ぶひ?ぶひぃ…なんかぁ、おまたがぁ……」


夏目 圭介「ん?どうしたんだ、巨デブ。また腹でも減ったのか」


(その時、巨デブが小さく震えた)


巨デブ 「あ……あれぇ……?」


(夏目と狸吉が顔を見合わせる)


夏目 圭介 「……おい、今の震え方、なんか違くなかったか?」


大井川 狸吉 「まさか……」


(巨デブ、驚いた顔で股のあたりを見つめる)


巨デブ 「ぶひぃ……な、なにかぁ……あったかいのがぁ……でてるぅ……」


(全員、固まる)


神田 ヘキサ 「まさか……」


(夏目、恐る恐る巨デブの下腹部を確認する)


夏目 圭介 「…………」


大井川 狸吉 「……どう?」


夏目 圭介 「…………」


(ごくりと唾を飲み込む夏目)


夏目 圭介 「……あった」


(一同、沈黙)


神田 ヘキサ 「…………」


大井川 狸吉 「……マジで?」


(夏目、震える手で巨デブの股を指差す)


(そこには、ほんのわずかに、ぷにっとした新しい”膨らみ”が生まれていた)


夏目 圭介 「……小さいけど、確かにある……!」


(巨デブ、驚きのあまり脂汗をかきながら叫ぶ)


巨デブ 「ぶひぃぃぃぃぃ!? ぼくのぉ!? ぼくのぉ!? きんたまぁ!? もどってきたのぉ!? ぶひぃぃぃ!!!!」


(巨デブ、歓喜のあまりケージの中で跳ね回る)


巨デブ 「ぶひっ♡ ぶひぃっ♡ みてぇ! みてぇ! ぼくのぉ! かわいいきんたまぁぁ♡」


神田 ヘキサ 「おい、暴れるな!!」


(しかし巨デブの興奮は止まらない)


巨デブ 「ぶひぃ♡ すごいよぉ♡ ぼくのぉ♡ ぼくのぉ♡ かわいいきんたまぁ♡ もどってきたのぉ♡♡♡」


大井川 狸吉 「……すげぇ……本当に再生するもんなんだな……」


夏目 圭介 「俺も半信半疑だったけど、マジで生えるんだな……」


神田 ヘキサ 「……まぁ、これで”去勢済み巨デブ”っていう売れないレッテルは剥がれるな」


(巨デブ、満面の笑みでケージの柵にしがみつく)


巨デブ 「みんなぁ! ありがとぉ♡ ぼくぅ、またぁ! きんたまもちのぉ! りっぱなおとこのこにぃ! なれたよぉ♡♡♡ ぶひぃぃぃ!!!!」


(夏目、ため息をつきながら苦笑い)


夏目 圭介 「……で、これからどうすんだ?」


(全員、ふと我に返る)


大井川 狸吉 「……あれ? これで売るって話だったのに……」


神田 ヘキサ 「……なんかもう、完全に店の”看板動物”みたいになってないか?」


(巨デブ、ニコニコしながら店員たちを見つめる)


巨デブ 「えへへぇ♡ これからもぉ♡ いっぱいむにむにしてねぇ♡」


(一同、再び沈黙)


夏目 圭介 「…………」


大井川 狸吉 「……これ、もう手放せなくね?」


神田 ヘキサ 「……まぁ、ここまで世話したしな」


(こうして、巨デブは正式にペットショップの”看板巨デブ”となるのであった――)

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