第九話:巨デブのきんたまケア大作戦
登場人物
•夏目 圭介:巨デブ専門の飼育員(26歳)
•大井川 狸吉:同僚の飼育員(30歳)
•神田 ヘキサ:ペットショップの店長(40歳)
•巨デブ:人語を解する珍獣
ペットショップ 裏の飼育スペース
(ある朝、巨デブがケージの中で妙にそわそわしている)
巨デブ 「ぶひぃ…なんかぁ…きんたまがぁ…むずむずするよぉ…」
(夏目と狸吉が様子を見にくる)
夏目 圭介 「おい、どうしたんだよ。朝から落ち着きねぇな」
大井川 狸吉 「ん? お前…これ、きんたまが…ちょっと赤くね?」
(二人が巨デブの下腹部を覗き込む。確かにきんたまがいつもよりピンクっぽい)
巨デブ 「ぶひぃぃ! さわらないでぇ! くすぐったいよぉ!」
(騒ぎを聞きつけた店長が様子を見にくる)
神田 ヘキサ 「お前ら、何騒いでんだ。…おい、マジか。こいつ、きんたまが生え変わる時期なのかもな」
(店長の適当な一言で、「きんたまの成長期」説が浮上)
夏目 圭介 「生え変わるって何すか。鳥の羽じゃないんですよ」
大井川 狸吉 「いや、でもさ、珍獣だし…あるかもな。それなら栄養管理とか大事だろ!」
———
(狸吉、ネットで調べた「きんたまに良い食材」を持ってくる。アボカド、サーモン、ナッツ…謎のラインナップ)
巨デブ 「ぶひぃ? おいしそうぉ…でもぉ…けーきがいいよぉ…」
夏目 圭介 「お前、ケーキはダメだ! これ食え、健康的なテカりを取り戻せ!」
(次に巨デブ専門書に載っていたきんたまケア、「適度なマッサージ」を試みるが…)
大井川 狸吉 「ほら、こうやって…優しく揉むんだぞ」
(狸吉、巨デブのきんたまをモミモミ。巨デブがくすぐったがって大暴れ)
巨デブ 「ぶひぃぃぃ! やめてぇぇ! くすぐったいよぉぉ! ぶひぃぃぃ!」
(ケージが揺れ、2人は脂汗まみれ)
夏目 圭介 「おいおい、何だこのカオス! 誰だ揉むとか言い出した奴は!」
神田 ヘキサ 「…お前らが勝手に始めたんだろ。俺は知らんぞ」
———
(最後は「日光浴」。巨デブを店の前に出して太陽に当てるが…)
子供A 「わぁ! 巨デブくん、きんたまキラキラしてる!」
子供B 「すげぇ! 虹色っぽいよ!」
巨デブ 「ぶひぃ♡ きれいでしょぉ、ぼくのぉ…きんたまぁ…すごいでしょぉ♡」
(きんたまが光りすぎて、通行人が立ち止まり、店がちょっとした観光スポットに)
夏目 圭介 「…何だこの展開。きんたま育てすぎたか?」
大井川 狸吉 「いや、これでいいだろ! 集客効果バッチリじゃん!」
(巨デブ、満足げに尻尾を振って得意な顔)
(しかし——)
夏目 圭介 「で、生え変わるって話は?」
(巨デブのきんたまが生え変わる気配はなく、いつのまにか赤みも引いている)
大井川 狸吉 「………さぁ?」
夏目 圭介 「さぁ、じゃねぇよ! 俺たちの労力は何だったんだ!」
(巨デブ、明らかに気まずそうに目を逸らす。店員たちの視線が一斉に巨デブに集中する)
神田 ヘキサ 「おい、巨デブ。何か隠してんな? 正直に言え」
巨デブ 「ぶひぃ…? えへへぇ…なんでもないよぉ…?」
夏目 圭介 「その顔、絶対何かあるだろ! ほら、さっきから尻尾ピクピクしてるぞ!」
大井川 狸吉 「だな。怪しすぎる。お前、まさか…何かやらかしたのか?」
(巨デブ、追い詰められて脂汗を滲ませながら、ついに白状する)
巨デブ 「ぶひぃぃ…ごめんなさいぃ…ぼくぅ…ヒーローのまねっこしてただけなのぉ…」
夏目 圭介 「…ヒーロー?」
巨デブ 「うんぅ…きのうぉ…こどもたちがぁ…『きんたまぼんばぁ!』ってぇ…あそんでてぇ…かっこいいからぁ…ぼくもぉ…やってみたのぉ…」
(巨デブ、恥ずかしそうにケージの隅で縮こまる)
大井川 狸吉 「…きんたまボンバーって何だよ?」
巨デブ 「ぶひぃ…おしりでぇ…きんたまぁ…ぽーんってぇ…たたいたらぁ…ちょっとぉ…あかくなっちゃってぇ…」
(一同、絶句。巨デブが自分で「きんたまボンバー」を試して打撲してただけだったことが判明)
夏目 圭介 「…お前、まじかよ。アボカド食わせたり揉んだりした俺らの苦労は?」
大井川 狸吉 「日光浴までしたのに…ただの自爆だったのかよ…」
神田 ヘキサ 「…ったく、バカバカしい。子供のマネする前に考えろよ、巨デブ」
巨デブ 「ぶひぃぃ…ごめんなさいぃ…でもぉ…ちょっとぉ…かっこよかったよぉ…?」
(巨デブ、申し訳なさそうにしながらも目をキラキラさせて「きんたまボンバー」の思い出に浸る)
夏目 圭介 「かっこいいわけねぇだろ! お前、それで痛めてただけじゃねぇか!」
大井川 狸吉 「いや…でもさ、きんたまキラキラして集客できたし…結果オーライじゃね?」
(夏目と店長が呆れた顔で狸吉を睨む。)
神田 ヘキサ 「お前、それで納得すんな。次やったらマジでケージ没収な」
巨デブ 「ぶひぃぃ!? やだぁぁ! ごめんなさいぃぃ!」
(結局、きんたまの「成長期」はただの勘違いだったが、巨デブの天然っぷりと店員たちの振り回されっぷりは、ペットショップに新たな笑いを生み出したのであった——)