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なろうラジオ大賞4の投稿シリーズ

友達で終わる天才!?

「最近、仲良いよね。」

「啓吾くん?いい人だと思う。

 けどやっぱ友達、かなぁ。」

「あーね。わかる。」


 へ?俺の話?


 西日の差す廊下で漏れ聞こえた会話に思わず息を殺す。

 声の主は最近何かとちょっかい出してる莉緒ちゃんと数人の友達。


 また友達ポジかー!

 これで何連敗だ?

 友達もなぜ「わかる」と?

 なら教えて下さい。俺に足りない何かを!


「面白いし優しいし。」

 うんうん。


「スポーツも出来るよね。勉強もいい方だし。」

 あざっす!


「割と揃ってんのに友達ポジってうけるー。」

 泣けるー…


「裏表ないしさ、ひたすら良い人だよね。」

 それは褒め言葉に聞こえないんですけど?


「安心感はある!」

 キュンはないんか!


 悲しみを抱いて廊下を戻る。くすん。

 部室を覗くと幼なじみの渉と凛が長机に腰掛け、いつもの調子で俺を待っていた。


 お前らさぁ!

 忘れ物したフリして折角二人きりにしたのに変化無しかよっ。


 ってか何かと空回りな俺。

「お待たせ!帰ろ!」

 ま、いつもの一日だ。

 ひろがる夕焼けを背に三人で歩く。

 あ。カレーの匂い。腹減ったー。




 翌朝5:00、いつも通り自主練にロードを走る。

 今日は身体が重い。昨日の事をウジウジと考えるからか。いつだって走る時は下らない事しか考えてねぇのにな。

 何かを振り切る様に頭を振る。

 と。


「おはよー。啓吾くん。」

「ッあぁ!びっくりした!お、おはよ、莉緒ちゃん。何で居るの?」

「この時間にこの辺を走ってるのは知ってたよ。待ってたんだよ、伝えたい事あってさ。」

「え。」

「昨日の放課後、聞いてたでしょ。好き勝手に言ってごめんね。」

「いや…」

「でも私が友達ポジって言うのはホントは違う理由なの。

 …啓吾くんさ、好きな子いるでしょ。

 本当の好きな子。」


 あ…


 自分でも持て余してる気持ちがある。

『幼なじみ』を維持する為に蓋をして、無かった事にしてる恋心。

 渉と凜の両想いに気付いたのも、残念ながらこの気持ちのお陰だ。


「近寄ってくるくせに本気じゃないでしょ?ガードが固いから友達ポジなんだよ。」


 めっちゃ見抜かれてる。


「で、本題。私とちゃんと友達になろ。相性いいと思うよー?私、毒舌だけど。ふふ。」


 しっかり目を見てニッと笑う莉緒ちゃんに、急な体温の上昇を感じる。


 あ、あれ?何だ、この感覚。

 友達ポジには変わりない。

 でも…


「じゃ、また学校でね!」


 走り出す彼女を見送り、俺もまた走り出す。

 ははっ。身体が軽くなってて笑える。

 朝日が眩しい。

 頭上でヒヨドリがピィッと鳴いた。

莉緒ちゃんが啓吾の気持ちに気付いたのもまた、同じ理由な訳で。



良ければ他のなろラジ大賞4への応募作品にもお立ち寄り下さい。本文のタイトル上部『なろうラジオ大賞4の投稿シリーズ』をタップして頂けるとリンクがあり、それぞれ短編ですがどこかに繋がりがあります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ランドセルのお話では、卒業写真で年下のいとこと仲良く写真を撮る莉緒ちゃんの高校生活を垣間見て、実はあざとい? 洞察力、聞かれていることをわかっていて話し続ける、友達協定、なかなかやりますね…
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