第一章 七話
「さてと、一体カプパの奴は一体何処にいるんだ?」
またもや村を歩き回っていると…ある男と出会った
「あれ?ラックルじゃん!」
あのノリが軽そうな声は…
「ケマッコネか!久しぶりだな‼︎」
このチャラそうな男はケマッコネ。コイツとは年も近いこともあり、昔から付き合いがある。俺が村を出ることを知っているもう一人の親友だ
「おっす!元気してたか〜‼︎ラックル‼あっ!て言うかさ!カプパのこと聞いた⁉︎」
相変わらず話が急だな……
「おう。魔獣に襲われたらしいな」
「お〜!情報が早いな〜!そうなんだよ‼︎鹿の魔獣に襲われたんだって‼︎」
「あぁ、何でも命からがら逃げ延びたらしいぜ」
「ヤベェよな!カプパって前から少し弱気なとこあったけどさ、それでも実力はあったもんな〜。そのカプパが無理なら俺なら一瞬でやられるね!」
「おいおい、そんなんで明日大丈夫かよ」
「へ?明日?明日なんかあんの?」
「あー、聞いてなかったか?明日村の奴等であの魔獣を討伐しに行くらしいぜ?」
俺がそう言うとケマッコネは顔を青くしながら、問いかけて来た
「えっ…マジ……?」
「マジ」
「ウェー‼︎マジかよ‼︎どうしよう!俺明日死んじゃうよ‼︎だってさ、噂じゃ三メートルあるんだろ⁉︎」
「あぁ、それデマだぜ」
「えっ‼︎本当に⁉︎」
ケマッコネが僅かな希望を見出した様な顔でこちらを見てきた
「実際は四メートル越えらしい」
ケマッコネが僅かな希望を砕かれた様な顔でこちらを見てきた
「死んだわ……絶対俺死んだわ」
「大丈夫だっての…別にお前だけで討伐する訳じゃないんだからよ」
「ラックルは強いからそんな事が言えんの!!俺は弱いんだよ!!村の中でもトップクラスに弱いんだよ!!」
「何言ってんだ…お前村の中で一番狩りが得意だろうが」
そう…悔しいがケマッコネは村で一番狩りがうまく、特に罠の設置に関しては俺なんかよりも遥かに上だ
「いやいやいや‼︎違うから!動物と魔獣は違うから!!強さが全然違うから‼︎!」
ただ村の中でも特にビビリなんだよなぁ……いや、ビビリだからこそ上手いのか?
「はいはい、ところでよ?最近全然見かけなかったけどやっぱり森に罠を仕掛けてたのか?」
「ん?あっ、あぁ。今回は北の森の方に仕掛けて来たんだ。ほら?最近魔獣が増えたろ?だから村長に頼まれてさ!」
「ほ〜?やっぱり罠は毒か?」
「あぁ、今回は食う為じゃ無くて数を減らす為だからさ、かなり強めの毒を塗っておいたんだ。これならどんな魔獣だろうが効くだろうさ‼︎なんたって俺特製の毒だからな!!」
強めの毒か…コイツが言うなら本当に強いんだろうな
「なるほどな。お前も大変だな?親父にこき使われてよ?」
「いや〜そんな事ないって‼︎俺弓とかは全然だからさ!こーゆー時に役に立たないといけないじゃん?」
確かに弓とか腕っぷしは全然だが罠で獲物を狩るのがコイツより上手い奴を俺は知らない
「俺からしたらお前は普段からかなり役に立ってるとも思うけどな」
「えっ!マジ⁉︎じゃあ明日は俺の分も戦っておいてくれない?俺は村で応援しとくからさ!!」
「ふざけんな」
俺はコイツの頭めがけて強めのチョップを喰らわせた
「痛い‼︎何するんだよー!別にいいじゃんか!ラックル強いんだし俺一人分くらい余裕だろ?」
ケマッコネは軽く涙目になりながら文句を垂れて来た
「そーゆー問題じゃねぇっての」
「くぅ〜!駄目かー‼︎何とか明日呼ばれない様にしたかったのに!!」
ケマッコネが馬鹿な事を言いながら落ち込んでいる
「はいはい、…あぁ、そう言えば聞き忘れてた。カプパ今何処に居るか知ってるか?」
「へ?カプパ?カプパなら村の北の方にいるんじゃない?俺がカプパに魔獣の話を聞いたのはそこら辺だったからさ」
これは有力な情報だ。やっとカプパに会えそうだな
「村の北か。サンキュー!じゃっカプパのとこ行ってくるとするか」
「おー!また今度飯でも食おうなー‼︎」
ケマッコネと飯の約束すると、俺は村の北に歩き始めた




