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第一章 四話

朝と言って良いのか、まだ太陽も登っていないうちに俺は起きた。「ふわーぁ」と一つ欠伸をしてから眠気覚ましに顔を洗った後、早速武器の手入れを始めようとした


……ここで「ようとした」と過去形を使ったのは手入れを始める前に来訪者が来たからだ


「ラックル兄‼︎おはよう!」


「はいはい、おはよう」


約束通り昨日は早めに寝たみたいだな。朝にもかかわらずこの煩さだ


「それじゃ、早速武器の手入れを始めるか」


「うん!!まずは何をするの⁉︎」


うるせぇ………朝なのに何でこんな元気なんだよ。てか耳元で大きな声出すな


「んじゃあ、まずは弓の手入れからするか…」


「わかりました‼︎先生‼︎」


先生って何だよ?


「まぁ、弓の手入れってあんまやることないんだけどな」


「そうなの?」


「あぁ、確かに湿気とかには気をつけなきゃならねぇが、それ以外は弦を張り替えたり持ち手の握り皮を変えるぐらいだな。どっちもたまーにやるぐらいで良いんだ」


「へぇー‼︎そうなんだ!!」


ここら辺の作業は慣れたものでちゃっちゃと終わらせた


「おー‼︎流石ラックル兄‼︎あっという間に終わっちゃった!」


「フッまぁ俺はスゲーからな。もっと褒めて良いんだぜ?」


やっぱり褒められると気分がいいな。改めて自分の優秀さに気づいちまうぜ


「ねっ次は?次は何するの?」


スルーされた……ちょっとだけ悲しい


「…あっ…あぁそうだな、次はコレだ。まぁ棍棒だな」


そう言いながら俺は材料を用意し始めた


「あっそれ知ってる!!制裁棒でしょ!ラックル兄が村長にそれで殴られかけてるの見た事ある‼︎」


「あぁ正解だ。でもあの時確かに殴られかけたが、俺は悪くねぇ。村の奴らがはやとちりしただけだ」


昔、じーさんの家に弓の事で聞きたいことがあったから家に入ったら居なくて家から出た時ちょうど鉢合わせになったんだ。そんでマジで泥棒だと勘違いされて、親父に足の腱切られかけた


あの時は本当にやばかった。レターチが「ラックル兄は何も盗ってなかったよ」って言わなかったらあのまま足の腱切られてたと思う


つーか、あの時俺が何言おうが無視されてたのに何でレターチが言ったら皆んな一発で信じるんだよ?俺とレターチにいったい何の差があったって言うんだ?


「ふふん‼︎あの時わたしが居なかったらラックル兄大変なことになってたよ?」


「分かってるっての。アレに関してはマジで感謝してる。……っと、ちっとばかし話がズレたな。そう制裁棒だ。て言っても今回は手入れじゃなくて作るんだけどな」


「作るの!?どうやって!?」


「焦るなって、作り方なんて簡単だまず紐とコブと棒を用意するだろ?んで棒にコブをくっ付ける、完成だ」


「えっどうやったの!?なんかいつの間にか出来上がってたんだけど⁉︎」


「まぁ俺ってばスゲーからな。コレぐらい余裕なんだよ」


「そっか!!やっぱりラックル兄は……んっ?」


「よし!じゃっ次行くか!!」


説明がめんどくさかったから、結構過程飛ばしたがまぁ大丈夫だろ。そう言って次の武器に移った


「次は何作るの?」


「いや次は普通に刀の手入れだな」


「おー!!刀!珍しいよね!村でも刀使ってるのって村長とラックル兄くらいじゃない?」


「まぁ森で狩りするだけなら刀なんて要らないからな。弓矢だけで十分だ」


「ふーん?じゃっラックル兄も刀なんて要らないんじゃない?この村で狩り以外に武器を使うことなんてないだろうし!」


「……………そうかもな」


「でしょー!!あっでもラックル兄はいつか村長になるんだし、あの村に伝わる宝刀?を持つ時が来るんだよね‼︎それだったら今のうちに刀になれといた方がいいね!!」


「………そう…だな」


レターチにも俺がこの村を出て行くことを伝えていない。伝えたらどうせ泣くに決まってるからな。もしそんな事になったらめんどくさい事この上ない


まぁ俺が出て行った後少しは泣くだろうが、すぐに俺が居ない事にも慣れるだろう


「刀の手入れはどんなことするの?」


「…うん?あぁ、刀の手入れはな、まず刀についてる油を拭くんだ。そんで打粉をかける。もう一回刀を拭いて、もう一回打粉をかける。んで、最後に油を塗る。油は均等に綺麗に塗らなくちゃならねぇんだ。錆とかの原因になるからな。っと、コレで終わりだ」


最後に刃の部分を鞘に戻しながら俺は自分の手入れのうまさに内心にやけていた


「へぇー!!なんか凄いね!やっぱりラックル兄がやるとあっという間に終わっちゃったね!」


「まぁな、ガキの時から武器の手入れはして来たからな。流石になれたぜ」


本当にな、あの「御伽話」の主人公も刀を使ってたから一時期は夢中になって刀について調べたぜ。そのおかげもあって刀に関してははこの村で一番の自信がある。………まぁ俺と親父以外ほとんど持ってねぇし、親父が刀を抜いてるのも見た事ねぇから自分の実力がよくわかんねぇけどな


「よしっ!次が最後だが、コレは手入れっつーか準備だな」


「何やるの!?……あっ!分かったっ!!矢でしょ‼︎

矢に塗る毒の準備‼︎」


「おう、正解だな。では今からこのトリカブトを使って毒を作りたいと思う。まぁ毒の作り方はお前も知ってるだろうけどな」


「うんっ!まずはトリカブトを乾燥させるんだよね!あれっ?でも今から作るんだったら一カ月かかっちゃうよ?」


「その通りだな、本当だったらトリカブトの根を一ヶ月、火棚の上で乾燥させなくちゃならねぇ。けどそこは天才の俺!!既に乾燥させた奴を用意しているぜ‼︎」


流石の優秀さに俺自身ビックリするぜ


「お〜!!用意周到‼︎準備万端‼︎」


「フッフッフ、そう褒めるな、…いやもっと褒めろ」


「流石ラックル兄!天才‼︎イケメン!!!村一番の問題児‼︎‼︎」


「フッハッハッハーその通り‼︎俺こそ村一番の………あれ?今、最後罵倒した?」


「褒め言葉だよ!!」


「そっそうか…褒め言葉か、ならば良し‼︎」


一瞬スゲー馬鹿にされた気がしたが褒め言葉か、なら問題ねぇな


「そんじゃあ、さっそくこのトリカブトと他の材料を石臼を使って砕いていく」


「それ疲れるよね〜」


「まぁな、でもこうしねぇと水と混ざらねぇからな。仕方がねぇ」


「それもそうだけどね、そういえば何でラックル兄は毒を作ってるの?この前作ったばっかじゃなかったっけ?」


俺は石臼を回しながら答える


「ちょっとばかし使いすぎてな、もう残りすくねぇんだよ」


嘘だけどな。実際は全然使っていないが、外の世界に出た時この毒は役に立つだろうから今のうちに作れるだけ作っておきたいんだよ


「そうなんだ?まぁラックル兄は狩りによく出掛けるもんね。確かこの間は熊も仕留めてたっけ?」


「美味かったろ?俺が仕留めた熊」


「うん。美味しかった!また食べたいなぁ」


「任せろ!次は噂の魔獣を食わせてやるぜ」


「え〜まだ諦めてなかったの?危ないからやめようよ〜」


「絶対諦めねぇ。あの魔獣を仕留めて親父に俺のことを認めさせてやるんだからな」


親父がビビってるあの魔獣を俺が仕留められれば、いくらあの親父でも俺を認めざるを得ないだろう。その上で堂々とこの村を出てやるぜ


「ラックル兄が強いのは知ってるけどやっぱり危ないよ。噂じゃ身長が三メートルもあるらしいよ?せめてシカリプさん達と一緒に狩りに行けばいいのに…」


「それじゃあ意味がねぇんだよ。シカリプのおっさんと一緒にやっても親父は認めねぇ」


「も〜ラックル兄がケガしても知らないからね?」


「ハッ‼︎俺が怪我するわけねぇだろ?俺は村でも一番強いんだからな!!…………………多分…」


そんな会話をしているうちに十分砕けたみたいだ


「よしっ!こんだけ砕けたら水に溶けんだろ」


石臼の中に水を垂らして毒をペースト状にする。これは既に猛毒になっているはずだから最新の注意をしながらな


「お〜!完成したね!じゃあどうやって試す?ラックル兄の小指と薬指に垂らす?」


「そんな馬鹿な方法するわけねーだろーが!普通にメクラグモに試すんだよ」


このクソガキはめちゃくちゃ危険な方法を提案してあるが俺は昔に親父から教わったメクラグモを使ったやり方をやるつもりだ


事前に捕まえていたメクラグモに毒を塗りつける


「『メクラグモの口に塗りつける。毒が強烈なら、もうすぐ脚がもげ落ちる』ってやつ?」


「あぁ、ほら見てみろ。さっき毒を塗ったメクラグモが暴れてる」


「お〜毒はちゃんとできてるみたいだね!こんなに暴れてるし、あっ!脚がもげ落ちた‼︎」


「よし、ちゃんとできてるな。んじゃ危ないからクモに触んなよ?」


そう言いながら俺は出来立ての毒を丁寧に仕舞った後クモを地面に埋め、周りを片付け始めた

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