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第一章 二話

村に帰ると門の所で欠伸をしているかなり大柄なおっさんを見つけた


「うん?お〜帰ってきたのか」


「おう、今日は魔兎を四匹も仕留めたぜ」


「シカリプさん!ただいま‼︎」


このおっさんは「シカリプ」村に一人しかいない冒険者だ。まぁ冒険者なんて肩書きだけど冒険している所なんて見たこと無いけどな。昔は村の外に出て色んなところを回っていたらしいが、今ではただの腹が出てる四十過ぎのおっさんだ


「シカリプさん聞いて!!ラックル兄がね?村長がダメって言ってた森の奥の方まで行ったんだよ!わたしは帰ろうって言ったのに‼︎」


「ハアッ⁉︎おまっ‼︎!チクんなよ‼︎」


「痛い!!髪の毛引っ張らないで!シカリプさん、見て‼︎ラックル兄がいじめてくる!」


「おいおいラックル、未来の嫁さんを虐めるなって、もうすぐ十五になるんだからいつまでもガキくさいことしてんなよ」


「ガキくさいことなんてしてねーよ‼︎!」


「今現在進行形でしてるだろうが、ほらレターチこっちきな?」


その声を聞いて、すぐに俺の手を弾いたと思ったらおっさんの後ろに逃げやがった。このクソガキが、おっさんの影に隠れた途端こっちを煽ってきやがる


「つーかラックル、ダメだろ?森の奥は今大型の魔獣が居るかもしれねぇんだからよ。親父さんからも言われてだだろ?あまり奥で狩りはするなって」


「ハッ、親父のいつものビビリだろ。あんな大層な剣持ってる癖に。あれじゃ宝の持ち腐れだぜ」


親父がいつも持っている剣、名前は知らねぇが多分すげぇ剣だと思う。何となくだけど。前に親父に隠れて触ろうとしたら触る前に見つかってめちゃくちゃぶん殴られたっけ?思い出したらムカついてきな………別に触るぐらい良いだろうが


「俺があの剣を持ったらそれこそ噂の魔獣なんて一撃だぜ!!」


「あーあの剣なぁ、なんて名前だっけな?ク、ク、クトネ?クトネ何とかだったっけか。まぁこの村に伝わる伝家の宝刀って奴だな」


「おっさん名前覚えてねぇのかよ?この村に伝わってねぇじゃねぇか」


「しょうがねぇだろ、最近はこの村も平和であの剣を使う機会なんて無いんだからよ。昔の森はもっと荒れててあの剣が活躍してたらしいが、まっ使わないに越したことはないだろ」


「それだったら今こそ使うべきだろうがよ?大型の魔獣が出たって噂なんだからよ!」


「んーそう言われてみればそうだな?まーあの人にもあの人なりの考えがあるんだろ。少なくとも俺よりは考えんてんだろうしな」


「チッ…どうせビビッてるだけだろ……」


「お前ももうすぐ大人になるんだから、そろそろ反抗期も辞めにしたらどうだ? 親父さんと仲直りしてさぁ?」


「俺は反抗期とかそんなんじゃねぇっての!!」


「その反応がもう反抗期だろ」


「ラックル兄は反抗期だよ」


レターチがおっさんの後ろから煽ってきやがった


「このクソガキが、もう一回髪の毛引っ張られたいみてぇだな?」


「助けて‼︎シカリプさん!ラックル兄がいじめようとしてくる‼︎三才も年下の、しかも女の子をいじめようとしてくる!!大人気ないにも程があるよ!!」


「ホントだぞーラックル、大人気ねーぞ?」


「うっせーよ!俺は老若男女問わず平等に売られた喧嘩は買う様にしてんだよ!!」


「そう言うところがガキっぽいんだよ」


「ラックル兄はガキっぽいよ」


クソガキがおっさんの後ろから煽ってきやがった


「絶対に泣かす」


「来ないで!また髪の毛引っ張るんでしょ!!助けて!シカリプさん‼︎」


そう言いながら俺たちはおっさんの周りをグルグル回り始めた


「あーもう、ほらっ二人とも帰るぞー。もう日も暮れ始めたんだから親御さんが心配するだろ〜」


「うん!!わかった‼︎」


「あっお前っ逃げんな!!」


俺とクソガキの仁義なき争いはクソガキを肩車したおっさんによって終結させられた


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