番外編
ーーー1年程前
その日、王妃の部屋では、フランツが定例の報告をしていた。
「……そう 。二人ともまだまだね。いいわね、若いって、羨ましいわ」
「何年も進展ないですからね。せっかく恋愛マスターが従者なんだから学んでほしいですよ」
「恋愛マスターね……おかしなこと言うのね」
「至って正気です」
「そうね……野心家の男爵が、娘を養子にしたって言っていたわね。ふふっ」
「……ちょうど良いですね。でもその令嬢、ヴィオラ様を蹴落として婚約者の座につけると勘違いしませんかね……あぁ、それも狙ってるんですね」
「ふふっ。察しが良いわ、さすがね。あの男爵ちょっとやりすぎてるのよね」
「なるほど。……では、あとはフローラ嬢でしょうか」
「えぇ、フローラ嬢を呼んでちょうだい。あの子、私に似てるから好きなのよ。ふふっ。親に続いて子の恋愛も面倒みれるなんて嬉しいわ」
「あぁ、アナベル夫人もそうでしたね」
「そうよ。私にも楽しみがなかったら王妃なんてやってられないわ」
この王妃様のおかげでこの国も平和だからな、陛下も何も言わないんだろう
「では、フローラ嬢に伝えに行って参ります」
「お願いね」
フランツは頭を下げ、振り返り部屋をあとにしようとした
「あ、この件が終わったら次はあなたね」
王妃は、にこっと微笑んだ。
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