お線香
夜。有理子は、親戚の家にいた。
わたしは、父に用事があり、部屋に入る。
父は部屋で、ひとり本を読んでいる。
有理子「お父さん。今いい?」
父「大丈夫だ。」
有理子「菊の花を買ったよ。」
父「ありがとう。」
有理子は、首を横に振る。
有理子「お父さん、話したいことがあるの。」
父「何だ?」
有理子「実は、ユイの弟が、亡くなったの。」
父は、驚く。
父「いつだ?」
有理子「わたし達が、引越したあと。海で溺れて亡くなったの。」
父「そうか……。知らなかった。」
父は、実くんの死を、知らなかった様子だった。
有理子「そう……。邪魔したね。」
わたしは、部屋を出る。偶然、兄と鉢合わせする。
有理子「お兄ちゃん。」
蓮「有理子。このあと、話したいことがある。いいか?」
有理子「いいよ。」
蓮「わたしは、実くんと仲良かったのか?」
有理子「そうだよ。よく、遊んでいたよ。特に、お兄ちゃんと実は、兄弟のようだった。」
蓮「そうか……。早く、記憶を取り戻したい。」
翌日。有理子は、家族と一緒にお墓参りをする。
墓碑には、水野家とある。
ここで、亡き母、水野華が眠っている。
わたし達は、持ってきた菊の花を供え、お線香を焚き、手を合わせる。
父は、お墓に向かって、優しく話す。
父「母さん。ただいま。蓮が、戻ってきたよ。」
蓮「……。」
父は、わたし達に話かける。
父「さぁ、行こうか。」
わたしと兄は、頷く。
帰り道。有理子は、ユイの家族と鉢合わせする。
有理子「こんにちは。」
ユイの家族「こんにちは。」
ユイの父「水野さんも、お墓参りですか?」
有理子の父「はい。そうです。」
ユイの父「そうですか。」
父は、ユイの両親に話す。
有理子の父「早見さん、申し訳ない。」
ユイの父「どうしましたか?」
有理子の父「息子さんのことを昨夜、娘からきいた。お葬式に参加できなくて申し訳ない。」
有理子の父は、ユイの家族に頭を下げる。
ユイの父「頭を上げてください。」
わたしの父は、頭を上げる。
ユイの父「蓮くんと華さんの事もあり、私は、敢えて、連絡を控えました。」
有理子の父「そうですか……。」
ユイの父「今度、久しぶりに家族合同で、食事しませんか?」
有理子の父「ありがとうございます。」
ユイの父「では、後日、ユイを通して、連絡します。私達は、先を急いでますので。」
ユイの家族と別れる。
有理子達は、親戚の家に到着した。
父「ただいま、戻りました。」
おばさん「おかえりなさい。食事の用意ができているわよ。」
父「ありがとうございます。」
わたし達は、家の中に入る。
夜。有理子は、ユイの連絡がきた。
わたしは、父に連絡の内容を伝える。
有理子「お父さん。早見さんから連絡がきたよ。早見さんの家で、明日の午後1時、バーベキューはどうですか。だって。」
父「大丈夫だよ。」
わたしは、ユイに、了承の返事をした。
翌日。午後1時。
わたしと父と兄は、早見さんの家にいた。
有理子の父「お招き、ありがとうございます。ご笑納ください。」
わたしの父は、手提げ袋をユイの母に渡す。
ユイの母「わざわざ、ありがとうございます。どうぞ、庭へ。」
わたし達は、庭に案内された。
ユイの父が、トングを使って、お肉を焼いている。ユイは、皿の用意をしている。
ユイの父「お待ちしてました。」
ユイ「さぁ、食べて。」
テーブルには、お肉。野菜。おにぎり。サラダ。飲み物などがある。
6人で、バーベキューをする。
有理子の父「この牛肉、美味しいですね。」
ユイの父は、笑顔で話す。
ユイの父「ありがとうございます。それは、親戚が、飼育した畜産牛です。」
有理子の父「そうですか。」
ユイの父は、焼いた肉をトングで、有理子の父の皿に、載っける。
ユイの父「この肉は、地元産の豚のロースを使ってます。こちらもどうぞ。」
有理子の父「あっ。どうも。」
ユイの父は、わたしと兄にも、お肉を皿に載っける。
蓮「美味しい。」
有理子「美味しいね。」
6人で、楽しく食べながら、会話をする。
ユイの母「今年の花火祭りは、行きますか?」
ユイの父「明後日、私達は、家に帰る予定です。祭り当日は、行けれません。」
ユイの母「そうなんですか。残念です。」
ユイは、残念そうに話す。
ユイ「残念だね。折角、有理子と蓮さんと三人で、花火を見ようと思ったのに。」
有理子「ごめんね。また、来年、三人で行こうよ。」
ユイは、笑顔になる。
ユイ「わかった。」
午後3時。
私達は、ユイの家族に、礼を伝えて、その場を去った。
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