花束
有理子達は、ユイの実家に到着。
ユイの両親は、快く、二人を家に招待された。
有理子達は、座敷に通される。
有理子「失礼します。」
ユイの父「足を崩しても、構いません。さっさ、座って。」
有理子「はい。」
私達は、座布団に座る。
ユイの父「ユイを迎えていただきありがとう。」
有理子「あっ。はい。」
蓮「とんでもないです。」
ユイの父「蓮くんが、無事に、帰って来て良かった。」
蓮「ありがとうございます。」
ユイの母「蓮くん。実のこと、覚えてますか?」
蓮「ごめんなさい。昔のことは、覚えてないです。」
ユイ「お母さん。蓮さんは、記憶喪失なの。」
ユイの両親は驚く。
ユイの父「初見だぞ。ユイ。」
ユイ「ごめんなさい。伝えるの。忘れてたの。」
ユイは、ご両親に、わたしの兄の事情を、説明してくれた。
ユイの母「蓮くん。大変ですね。記憶喪失が、戻ると、いいね。」
ユイの父「そうだな。」
ユイの母「話を戻します。有理子さん。実のことを覚えてますか。」
有理子「確か、ユイの弟さんですよね?」
ユイの母「そう。息子の実は、いつも、ユイのあとをついて行って、有理子さんと4人で、遊んでたわね。」
有理子「はい。懐かしいですね。」
ユイの父「実は、小学生になる前に、亡くなった。」
有理子「えっ。」
わたしは、暫く、言葉がでなかった。
ユイ「有理子達が、引越したあと、実は、海で溺れて亡くなったの。」
有理子「ユイと、一緒にいて、気づかなかった。ごめんなさい。」
ユイ「謝んないで。今まで黙っていて、ごめんね。言う機会が、無かったの。」
兄は、口を開く。
蓮「すいません。実くんの写真、ありますか?」
ユイの母「ええ。」
ユイの母は、座敷を出る。
しばし、4人は、会話する。
ユイの母が、座敷に入り、わたしの兄に写真を渡す。
ユイの母「どうぞ。」
兄とわたしは、写真を見る。
お祭りの屋台の前で、4人の集合写真。
わたしとユイと実くん。そして、兄。
有理子「この少年は、お兄ちゃんよ。そして、この隣の子が、実くん。」
蓮「……。活発そうな子ですね。」
ユイの母「ええ。」
ユイの母は、涙を流し、ハンカチで、涙を拭く。
ユイの母「ごめんなさい。」
ユイの母は、その場を去る。
ユイの父「家内が、申し訳ない。」
蓮「ごめんなさい。」
ユイの父「いいえ。」
有理子「すいません。わたし達は、おいとまさせて頂きます。」
ユイの父「嗚呼。わかった。」
蓮「お邪魔しました。」
わたしと兄は、ユイの家を出る。
ユイ「また、連絡してね。」
有理子「うん。」
ユイ「蓮さん、また、お会いしましょうね。」
蓮「はい。」
有理子達は、ユイと別れた。
帰る道中で、有理子の父から、頼まれた物を買いに行く。
わたしと兄は、花屋による。兄は、花を見ている。
わたしは、男の店員に声をかける。
有理子「あの~。すいません。」
店員「いらっしゃいませ。うん…?有理子か?」
有理子「あれ?桐真くん?」
桐真「やっぱり有理子か!!」
わたしと桐真くんは、小学生のクラスメイトで、引越して以来会ってない。
桐真「いつ、戻ってきた?」
有理子「昨日だよ。」
桐真「そうか。それで、何を探している?」
有理子「あっ、はい。菊は、ありますか?」
桐真「あるよ。待ってろ。」
桐真は、手際よく、菊の花束をつくる。
有理子「桐真くん。実家を継いだの?」
桐真「嗚呼。」
有理子「すごいね。」
桐真は、有理子に菊の花束を渡す。
桐真「できたぞ。」
有理子「ありがとう。」
有理子は、代金を支払った。
桐真「まいどあり。これ、お釣りだ。」
有理子「うん。ありがとう。」
桐真「なあ。」
有理子「何?」
桐真は、私の兄を見て話す。
桐真「あの男性は誰だ?」
有理子「私の兄よ。」
桐真「えっ!?」
有理子「帰ってきたの。」
桐真「……。良かったな。」
有理子は、頷く。
わたしは、兄に近寄る。兄は、蓮の花を見ている。
有理子「お兄ちゃん。」
兄は、振り向く。
蓮「有理子。買い物は、終わったか?それ、持つよ。」
有理子「うん。」
兄は、私が持っている花束を受け取る。
有理子は、蓮の花を見て話す。
有理子「この香り。蓮の花?」
桐真「嗚呼。」
桐真は、続けて話す。
桐真「蓮の花を、買う客がいるから、置いている。」
有理子「そうなんだ。」
蓮「さぁ、帰ろうか。」
有理子「はい。じゃぁね、桐真くん。」
桐真「嗚呼。じゃあな。」
わたしと兄は、お店をあとにした。
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