出会う。
フィクションです。
恋愛&ファンタジー小説です。
お昼の正午。雨が降る。
水野有理子は、借用しているアパートにいる。
有理子は、実家に帰省する為、荷物の準備を丁度、終える。
スマホから、電話の音がなる。
電話の着信先は、幼馴染の早見ユイ。
幼馴染といっても、小学生のとき、私の家庭の事情で、引っ越した。わたしとユイは、別れを惜しんだ。
偶然、今通っている大学の授業で、二人は、受講が重なった。
今でも、ユイとわたしの交友関係は、続いている。
わたしは、電話にでる。
ユイ「もしもし。有理子。」
有理子「ユウ。どうしたの?」
ユイ「今、有理子のアパート近くにいる。寄ってもいい?」
有理子「ごめん。これから、実家に帰るの。」
ユイ「そう。突然でごめんね。何時の電車に乗るの?」
有理子「午後1時20分発の電車に乗る予定よ。」
ユイ「駅まで一緒にいていい?」
有理子「いいの?」
ユイ「見送りたいから。」
有理子「ありがとう。」
ユイ「いいよ。今、玄関の前にいる。」
わたしは、電話を閉じ、玄関を開ける。雨の匂いが部屋に入る。有理子は、ユイを部屋に通す。
ユイは、有理子の顔を見て、口に出す。
ユイ「また、メイクしてないじゃん。」
有理子「わたし、化粧が苦手なの。」
ユイ「そんなんじゃ、モテないよ。」
そう言って、ユイは、バックからポーチを取り出す。
ユイは、ウォータープルーフの化粧を使い、有理子にメイクを施す。
有理子「ありがとう。」
ユイ「いいよ。さぁ、駅まで行こう。」
有理子達は、荷物を持ち、玄関を出る。傘をさして、駅に向かう。
駅まで、片道20分かかる距離。余裕を持って、二人は、会話しながら、徒歩で移動する。
駅に向かうの途中で、大きな公園と池がある。
ユイは、変わった匂いがすると言って、足を止める。
わたしは鼻で息を吸う。今まで嗅いだことのない匂いがする。
ユイは、池をみて何かに気づき、わたしに、声をかける。
ユイ「ねぇ。」
有理子「何?」
わたしは、足を止まる。続けてユイは、話し出す。
ユイ「池をみて!」
わたしは、池を見る。池の水は、薄い白の光が放つ。
池から、一人の男性が、現れ。池から出る。
男性は、かばんを背負ってフラフラになりがらも歩く。
有理子とユイは、足がすくむ。男性は、二人の前で、膝をつく。
わたしは、一歩前へと、男性の前に進む。ユイは、わたしの腕を引っ張る。わたしは、勇気を振り絞り、男性に声をかける。
有理子「大丈夫ですか。」
男性「…。わからない。」
わたしは、男性の言っている意味がわからず、首を傾げる。
男性は、話し続ける。
男性「自分が誰かわからない。」
ユイは、口を開く。
ユイ「その人、記憶喪失かもしれない。」
有理子は、ユイと目を合わせる。ユイは、男性に質問する。
ユイ「歩けますか。」
男性「はい。なんとか。」
ユイ「交番まで一緒に行きましょう。」
三人は、駅前の交番に向かう。
一同は、交番前に到着。
わたしは、腕時計の時刻を見て、焦る。
次の電車に乗られなければ、予約した高速バスに、乗車できなくなる。
わたしは、ユイに事情を説明する。
ユイ「わかった。あとは、私一人で行う。有理子は、早く電車に乗って。」
有理子「わかった。あとは、お願いね。」
有理子は、男性に会釈をして、ユイに向けて手を振り、その場を去る。
夕方。雨が止んだ。
有理子が乗車している高速バスが停車。
有理子は、バスを降りる。バスの外で、有理子の父が待機していた。
バスの運転手は、荷物の収納スペースから、わたしの荷物を外にだす。父は、その荷物を持つ。
父「おかえり。」
有理子「ただいま。」
高速バスは、発進し、その場を去る。
父「そっちは、暑かっただろう。」
有理子「大丈夫。ここは涼しいね。」
二人は、階段を降りる。父は、車のロックを解除し、荷物をいれ、運転席に座る。わたしは、助手席に搭乗する。
二人は、シートベルトを着用。車で、自宅に向かう。
自宅に到着。
わたしは、仏壇に、お線香をたき、写真に向かって、一礼する。
わたしの家族は、父しかいない。
昔、私が小学生の頃に、兄が失踪。
母は、兄を捜索している時に、足を滑らせ、頭を打った。母は、病院に搬送されたが、意識を取り戻さなかった。
有理子は、スマホが切れていたことを思い出す。
私は、荷物から、充電器と取り出し、コンセントに差し込み、スマホを充電する。
父は、台所に立ち、乾燥そうめんを茹でる。父は、包丁で細ネギをきざみ、茹でたそうめんをザルにいれ、水切りをする。
二人は、早めの夕食をする。
父「大学は、楽しいか。」
有理子「うん。ユイと一緒で楽しいよ。」
父「嗚呼。早見さんの娘か。」
有理子「そうだよ。」
父「向こうで、何か変わった事があったか。」
有理子「特にないよ。そう言いえば、私とユイが、駅に向かう途中で、男の人が池から出てきたの。」
父「何だそれ。」
有理子「そうでしょ。」
父「その後、男は、どうした?」
有理子「その人は、記憶喪失みたいだったの。だから、私とユイは、交番前まで、その人を連れたの。その後、わたしは、高速バスの予約もあり、そこで二人と別れたの。あとは、ユイが、男の人を交番に届けたと思う。」
父「思う?連絡しなかったのか?」
有理子「スマホのバッテリーが無くなったの。今、充電している。」
父「そうか。」
突然、自宅の電話機が、鳴る。父は、席を立ち、受話器をとる。
父は、誰かと会話をしている。父は、慌てて、電話を切り、出かけると言って、急いで外に出る。
わたしは、テレビをつけ、一人で食事を続ける。
有理子は、食器を洗い終わった。
わたしは、充電し終わったスマホをとり、ソファに座る。スマホの電源をつける。
ユイから、何件も連絡がきている。わたしは、内容を確認しようとする。突然、チャイムが鳴る。
わたしは、スマホを机に置き、玄関の方に向かう。
玄関の扉を開けると、一人の男が、レジ袋を持っていた。
男は、隣に住んでいる、眞だった。
眞は、私と同い年で、祖父母と両親の五人で暮らしている。
眞「有理子、帰っていたのか。」
有理子「うん。今日、到着したの。」
眞「そう。有理子の父さんに、此れを渡してくれ。」
有理子「ありがとう。」
眞は、わたしに、野菜の入った袋を渡し、その場を去る。
わたしは、扉を閉め、テーブルの上に、袋を置く。
わたしは、ソファに腰掛け、ユイの連絡の内容を一読する。内容が、あまりの事で、自分の目を疑う。
内容は、あの男性は、昔、失踪した私の兄だったとのこと。
何故、わかったかというと、男性の私物に名前が、明記されていたとのこと。
ユイは、同姓同名だと思った。
警察官は、行方不明届を照らし合わせた。その結果、一件、該当した。何という偶然か、有理子の兄とわかった。
わたしは、スマホを置いて、呆然とする。
暫くして、わたしは、父に電話をかけようと考えるが、テーブルの上に父のスマホが、置いてある。
わたしは、テレビをみて、父の帰りを待つ。
夜。父が帰ってきた。父がリビングに入る。
続けて、男性がはいる。池から現れたの男性だった。
父から話を切り出す。
父「有理子。ただいま。お兄ちゃんが帰ってきた。」
わたしは、あまりの出来事で固まってしまう。
父「蓮。妹の有理子だよ。」
読んでいただきありがとうございます。
この小説を少しでも楽しんでいただければ幸いです。