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第一話 出会いは突然に

時刻は午前0時を少し過ぎた頃。柊木優斗は小腹を空かせ、歩き慣れた自宅から近所のコンビニへの道を歩いていた。

「いや、ほんと人気なさすぎだろこの辺…。」

優斗が呟いた直後、数少ない街灯が壊れたようにばらばらに点滅した。一瞬の暗闇の中、優斗の眼には人が2人いるように見えたが、街灯が元に戻ると、すぐにそこにはいつもの虫の気配すら無い空間が広がっていた。

「寝不足かな…?さっさと買ってかーえろ。」

優斗は小走りにコンビニへと急いだ。


♦︎


「おっはよー!ユウト!今日も眠そうだなー」

朝の寝ぼけた頭によく効くハイトーンボイスが優斗に後ろから降り注いだ。後ろから肩までの色素の薄い茶色の髪を揺らし駆け寄ってきたのは、大学では唯一の話し相手といってもいい幼馴染みの原田リノだ。小さい頃から腐れ縁で常に一緒だ。

「お前は相変わらず朝から元気だなあ」

「まーね!」

「てかさ、昨日妙なことがあったんだよな。コンビニ行く途中にいきなり街灯がチカチカしだして、一瞬人が見えた気がしたんだよ。気のせいだとは思うけど、なんか気になるんだよな…」

ほんの僅かだけ、リノの顔が強張ったような気がした。リノはこの手のオカルト系の話が苦手だからだろう。

「ふーん、映画の見過ぎだよ。暫くはそこ通んない方がいいんじゃない?そんなに気になるなら、リノさん特製の御守りもう一個あげよっかあ??」

「いや、いらねーわ。てか何も効果ないだろこれ」

「いやいや、日本全国の御守り付けるより、これには効果あるんだからね!」

「はいはい。そういう事にしときますー」

優斗は、いつかは忘れたが昔にもらった左腕にかかる銀色の細い銀の鎖のブレスレットをチラッと見た。

いつもなら退屈で寝ている講義だったが、今日は珍しく大学の男子全員の目の保養と言っては過言ではないぐらいの美女である雪城初音が講義に出席しているので、優斗も例にもれなく眺めていた。雪城はどこか西洋人とハーフなのであろうか、溶けそうな白い肌、長い綺麗な金髪に碧眼のアーモンド型の瞳、さらにはバランスのとれた体躯をもち、まるで2次元から飛び出してきたような容姿の持ち主だった。

(雪城さん…どっかで会ったような気がするんだよな…)


♦︎


講義を全て終え帰宅しベッドに飛び込んだ瞬間、優斗は睡魔に襲われ眠りについた。目覚めた時には午前0時になろうとする頃であった。両親は海外出張中で起こしてくれる人がいないため、一眠りすると夜中になってしまうことは日常茶飯事である。

「腹減ったあ〜。」

リノに帰りの別れ際に、昨日のことがあったんだから今日は大人しく家にいなさいって言われたなあと思いつつも、やはり食欲には勝てない。

外に出ると、6月にしては少々肌寒い風を感じた。普段と同様に静まり返った道を急ぎ足で歩いていると、突然また街灯が点滅し始めた。

「まじかよ…」

さらに歩みを早めようと思い、優斗が足を前にだすと視界が一瞬歪み、瞬きをし目を開いた瞬間、足元に赤色の光を放つ複雑な図形や文字が浮かびあがった。いわゆる漫画やアニメで見たことのある魔法陣のようなものだ。

「…我に祝福の契約を!!!」

頭上から降り注ぐ大声と共に優斗の手足に赤の鎖が巻きつき、鎖は瞬時に解けたが右腕にのみうっすらと光る鎖が残った。

優斗が声の持ち主を探すため頭上をみあげると、鮮やかな長い赤髪に白い衣服を纏った女の子がそこにいた。女の子はゆっくり目を開くと、次の瞬間絶叫した。

「きゃーーー!!なんでヒ、、、ヒトがそこにいるのよー!!!」

「いやいや、叫びたいのは俺だわ!!これ何なんだよ…!

つーか、お前は何者なんだよ…!」

反射的に、優斗も今まで驚きと戸惑いで抑えられてた声が一気に溢れ出た。

「あー!もう、どうしよう!!でも今行かないと逃げられるし…ちょっと、そこの人間!付いてきなさい!話はあとよ」

「ちょっと勝手すぎん?!この人!ってぇ、うわぉぉ」

赤髪の女の子が動いた瞬間、うっすらと残っていた鎖に引かれて優斗は宙に浮き引きづられた。

「気配が消えた…また逃げられたわ…今日という今日はぶっ飛ばせると思ったのにい…!」

「女の子がそんな物騒なこと言うもんじゃないぜ。てか降ろしてくれ」

優斗の言葉に我に帰った彼女は、空中で急停止すると意志の強そうな緋色の瞳を向けて言った。

「あら、ご機嫌よう。自己紹介がまだだったわね。私の名は

クリスティーナ・キャベンディッシュ…クリスでいいわ!」

この唐突な出会いが優斗とクリスの初めての出会いとなった。


♦︎


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