侵略者
細かい描写とかできなくてすみませんっ。
雑ですが読んでってください!
男の罵声というのは怖い。
「男は殺せ!子供も殺せ!女だけ連れてこい!」
「親分。女でも大人は強いっす。もっと丈夫な縄ないっすかね。」
「構わん殺せ!獣耳ロリ巨乳がこれだけ入れば、一生遊べる金が手に入るだろうよ。」
人間が獣人を虐殺していく。
捕らえられた幼子達は、泣くことを忘れ、絶望するしかなかった。縄を噛まされ叫ぶことも許されない。目の前で村が、両親が、友達が殺されていく。彼女らの心情は歪んだ瞳が物語っている。
50年前であれば強靭な筋肉で獣人が戦わずして勝つことができていた。
だが今は違う。文明に差ができた。
腕力vs武器 ex.槍 弓 てつはう
後者が勝つのは一目瞭然。
「家屋に火をかけろ!残党をあぶりだせ!」
油の入った瓶と火矢が空を舞い一面が一気に火の海と化す。
親分と呼ばれる男は口角を持ち上げ、鼻の穴を大きくした。それを見ていた幼子らは上空に気配を察知した。
次の瞬間、振動が地面に響き、土煙が舞う。男の2つの鼻腔の距離が徐々に離れていく。最終的に身体が左右に真っ二つに別れた。
何事かと仲間が振り向き警戒態勢に入った。
土煙が晴れ、元凶が姿を現す。その背丈には似合わぬ太刀を手にした幼い少年。見事に左右対称に分かれた死体。剣からは真新しい血が滴り落ちている。
異様な光景に男達は時が止まってしまったかのように動かない。
「おいっ。何があった。」
村の奥の方から戻って来た仲間の声で彼らは正気を取り戻した。
彼らは状況を理解し、あっという間にハクを包囲した。5対1なら大丈夫であろうという油断が彼らの胸中にあった。
ハクは燃える炎をチラッと見て、彼らの持つ武器に視線をやる。木の棒に研いだ金属をつけただけの槍やてつはう。ここの獣人といい、こいつらといい、世界と言うか時代錯誤にもほどがある。
「お前らもか…まあいいだろう…」と呟く。
「ブツブツ っるっせぇぞ!」
ハクの後方の男が突っ込む。突き出される槍。ハクは軽く跳ね、槍先に立つ。男を軽蔑の眼差しで見下ろす。束の間に四方から槍を突かれる。太刀を目の前の引きつった顔に投げ刺す。同時に跳躍し、空中で二本の槍を掴みそのまま加速させる。向かい合っていた男2人の胸に互いの槍が刺さる。3人が倒れ、2人がこちらを見上げるのを確認し、右の男の額に力学的エネルギーを鞘を媒体として伝える。骨の砕ける音を空気及び鞘から聞く。
着地した後、すぐさま最後の1人を押し倒し、首根っこを掴む。
ウグッと呻く男。抵抗しようと細い腕を握りしめる。
「君たちは、平穏という掛け替えの無いモノを壊した。俺の勝手な判断で君らの自由を奪いたい。」
小さな手が皮に喰い込み、肉を抉る。腕を握っていた手から力が抜けていき、だらりと垂れてしまった。
ハクは手を離し起き上がる。周りには6個の死体と獣人の女子が10数人。彼女らの表情も先程に比べれば幾分マシだ。ハクは彼女らを解放する。
一人目の縄を解いたところで、
「一人足りない!」
「えっ。」
直後、風を切る音と共に頭に衝撃が走る。右側頭に手を伸ばすと指先に矢羽根が触れた。右側を見ると黒い菱形が見え、視界が赤く滲む。3メートル程後退する。だが間に合わず、てつはうが眼前で炸裂。距離を置いてあった為、彼女たちには被害が出なかった。
「このクソ餓鬼が。ーだが感謝するぜ、これで、俺の独り占めだ。ヒッヒッw。思う存分可愛がってあげるぜ。」
彼女たちは恐怖の表情を浮かべる。
「イイねぇその表情〜。背徳感がたまらないねぇ〜。」
イヤらしく手を動かし近づく男。吐息が耳にかかる。
「ヒッ。」
怯えて震える肩に手が伸びる。
「この下衆が。」
封印が解かれた魔物のような声。
男は驚き。手を止める。気づけば腹から剣先が生えている。そのまま持ち上げられ、ハクの頭上を通過し、地面に叩きつけられ絶命した。
「お前らは、早く縄を解いて生存者を探してくると良い。」
「う、うんっ。」
先に解いた、1人が1人の縄を解き、2人で2人の縄を解きと、彼女らは全員の縄を解き終わると、ハクに一礼し、家族の名前を呼びながら、家屋の方へ駆けて行った。
ハクは、死体から剣を抜き、血を払う。すると、太刀は光を放つ。
「う〜ん。よく寝たぁ〜。」
あの白い空間で聞いた声。
目の前に、ほぼ同じ身長の少女が立っていた。
勿論、「まな板」だった。