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山小屋に舞い込んだ少女  作者: らすく
11/12

少女との別れ

 少女は、老人の言葉に対して、沈黙した。

 それは彼の台詞への、肯定とも否定のどちらとも、判別のつかないモノであった。

 それでも舞山は彼女に促すように言った。

 「少なくとも、もう日が暮れているからね。

 どのみち、この山は気温が極度に下がってしまう。

 今夜はアンタは、ここで寝なさい・・・。

 急いで、結論を出す必要は無いと思うよ・・・・。」

 老人はゆっくりと、呟くような感じで少女に自分の意思を伝えた。

 「・・・・・・・分かりました。

 確かに、貴方のおっしゃる通りです。

 今夜もお世話にならせて、いただきます。」

 意外にも、彼女は極めて素直に舞山の助言通りにする事を表明した。

 どうやら、彼の押しつけがましくない物言いが、功を奏したと言えるのかも知れない。

 そして、そのやりとりの通りに老人と少女は、山小屋で就寝に至ったのであった。

 しかし・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!?


 刻は、まだ未明・・・・。 

 眠りについていた老人の耳に、普段では聞き慣れない鋭い音が響いた。

 それは今までの一連の流れから・・・・、彼の推測では銃声ではないのかと言うことになった。

 最悪の事態を予測した舞山は、大急ぎで山小屋の玄関に出た。

 そして老人の予感は、不幸にも現実となっていた。


 ・・・・・・・少女は、山小屋の玄関の傍で倒れていた。

 しかも、山小屋に舞い込んできた日と同じく、彼女は血まみれだった。

 ただ・・・、最大の相違点があった。

 少女の体についている血液は、返り血ではなかった。

 老人は認めたくはなかったのだが・・・・


 山小屋に舞い込んだ少女、自身の血だった。


 舞山は瞬時に、この状況を把握した。

 追っ手は、もうここに来てしまったのだ。

 やはり先ほどの鋭い音は、少女と追っ手の銃声だったのだ。

 そして、その追っ手は山小屋からいくらか離れた処に倒れており、頭に銃撃を受けて絶命していた。

 やはり・・・、彼女は暗殺者であったのだ。

 それでも、老人の彼女に対する感情は、少しも揺るぎは無かった。

 舞山は早急に少女を手当をしようと、彼女を抱きかかえた。


 「もう、わたしは助かりません。

 今まで、わたしは命令とはいえ、多くの人々を殺めてきました。

 その報いを、わたしは受けなければいけないのです。」

 実は老人も、もう少女は助かる見込みがない事をわかっていた。

 「最後に、お願いがあります・・・。」

 彼女は最後の力を振り絞るように、舞山に語りかけた。

 「なんだい・・・・。」

 彼も、少女の最後の願いには応えたいと思っていた。


 「私と、追っ手の死体は、このままの状態で放置していただきたいのです。

 翌日まで貴方には、この山小屋の中で、ずっといて欲しいのです。

 明日の朝には、私たちの死体は処理されています。

 これで、貴方には一切の危険は及びません・・・・。

 どうか、お願いします。」

 老人は迷ったが、素直にコクリとうなずいた。


 「最後に・・・・おじさんにとても優しくしていただいて、よかったです・・・・・」

 少女は力尽き、絶命した。

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