山小屋に舞い込んだ少女
もう彼がここに来て、十年・・・いや二十年になるであろうか・・・・・・。
ここは豪雪地帯である。
そしてこの季節は、特に雪と寒さが最高潮に達するのであった。
勿論こんな厳しい環境下で、訪れてくる客人は極めて少ない。
それでもこの山小屋の主人は、毎日必ず訪問者が訪れても対応できる準備をしているのである。
なぜ、彼はこんな事をしているのか?
ハッキリ言ってこんな山小屋を経営していても、とても生計を立てていける稼ぎをたたき出せる訳がないと思われる。
おそらく彼は、このような事が出来る蓄えを持っている人物と思われる。
この小屋を経営するのは、舞山という名の70歳ほどの年齢の老人であった。
どうも、彼は医術の心得があるらしい。
山で食料も調達する術も持っている様子であった。
たった一人で、この山小屋を切り盛りしているのである。
もう数年も彼は、特に刺激とはほど遠い日常を送っていたのであった。
もはや、この舞山という男は仙人に極めて近い状態である。
他人の視点から見て、彼は実際このまま自身の人生を終えるつもりである様に映る。
しかし、老人が自ら望んで経過している時間に、割り込んでくるモノが突如として姿を現してきた。
その朝、舞山という男はいつも通りに朝早く起きて、玄関の戸を開けた。
すぐに、彼は異変に気がついた。
(・・・・・・・・・・・・・・。)
この状況に対して、老人は思考を張り巡らせる事を一瞬ためらった。
しかし、舞山は本来の自分の姿を取り戻した。
言い換えれば、己の医者としての使命感であった。
彼の足下には、全身が血まみれの少女が倒れていた・・・・。




