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西園さんちの双子。  作者: さくらもち
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〇 ぱぱ、唐突すぎるよ!

「はあ、緊張するなあ…。」

「美乃。大丈夫だよ。学校は半人前の半人前が行くところなんだから。美乃が周りより劣ることはないよ。」

「そういうことじゃなくって…!同い年の子がいっぱいいるんだよ!?はじめてじゃん!!大人以外の人に囲まれるの。」

「落ち着いて。美乃なら大丈夫。僕を信じて。」

「うん…。ありがとう、よしくん。」





さかのぼること一週間前。




「来週から日本へ行くぞ!!」




その言葉は私たち双子の平和な日常を、簡単に壊した。




私、西園 美乃(にしぞの よしの)と双子の兄、西園 美希(にしぞの よしき)は両親に過保護に育てられた。どれくらい過保護だったかというと、四分の三日本人の私たちをフランスのお屋敷に連れていき、15年間そのお屋敷の中で過ごさせた。まあ、私もよしくんもお屋敷での生活に満足していたし、充実している生活だったかも。っていうのも、実は私たち、手に職を持っているというか…。って、それよりも!!



「どういうこと!?ぱぱ、私たち、仕事も入ってるんだよっ!?」

「そうだよ父さん。僕たち、お屋敷から出るつもりないよ。そもそも父さんたちがここに連れてきたんじゃないか。」

「そうだよ!!それに、私、よしくんと一緒にいれればそれでいいし!」

「僕だってっ!!」

「はっはっはっ。」



よしくんの言葉を遮って、ぱぱは笑った。ちなみにちょっと怖い。



「それだよ、それ。美希も美乃も互いに依存しすぎなんだよ。ぱぱもままも二人を危険な目に合わせたくなくてここへ連れてきたけど。二人ともおっきくなったし、日本の学校で普通の高校生として青春を過ごしてほしいっていうか、ね?」



…正直いまさら学校とか言われてもあんまりピンとこないんだよね。よしくんがいれば私は満足だし、多分よしくんもそう。なんのために行くのか



「なんのために行くのかわからないっていう顔をしているね?」

「ぱぱ、なんでわかったの!?」

「ぱぱだって役者だ。表情には人一倍敏感な自負はあるよ。それより、なんのために行くか、だ。今のままじゃ、二人は大人の世界に浸かり切ってしまう。まだそれには早いんだ。もっともっといろんなことを経験して、感じて、視野を広げて欲しい。仕事が大事なんだろ?なら、仕事のためと思って、学校に行くんだ。」



真面目な顔をしたぱぱはふざけない。私たちの表情も自然と真剣になる。



「実はもう学校に編入手続きをしてあるんだ。美希は【私立鈴城芸術学校高等部美術専攻】、美乃は【私立森ヶ丘音楽学校総合学科】だ。二人の素性は学校長にだけ話してある。病気のことも。だから安心して行っておいで。」



私たちは、うん、としか返事ができなかった。よしくんと学校が別々なのを咎めるのを忘れるくらいぱぱは悲しそうな目をしていたから。

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