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冤罪で処刑された侯爵令嬢は今世ではもふ神様と穏やかに過ごしたい【WEB版】  作者: 雪野みゆ
第二部 魔法属性判定編

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68.侯爵令嬢はもふ神様と夜間飛行を楽しむ

 グランドール侯爵領内に入る頃には、すっかり夜になっていた。まだ冬の気配が残る空は寒々としているが、空気が澄んでいて心地が良い。

  レオンとフレア様の競争は結局、勝負がつかなかった。諦めた二柱の神様はグランドール侯爵領に入ってからは、飛行速度を落とした。真っ直ぐ帰らず、フィンダリア王国の上空内で競争していたのだから、それは疲れただろう。途中で幻獣や聖獣に乗ったテイマーに遭遇しなかったのが、せめてもの救いだ。


 私はレオンのもふもふに埋もれて、うたた寝してしまったから疲れてはいない。振り落とされなかったのは、レオンがしっかり守ってくれたのだろう。


「リオ、空を見上げてみるとよい」


 レオンに促されて空を見上げると、満天の星空だった。星々が煌めき、まるで宝石のようだ。


「わあ! きれい!」


「冬の空は空気が澄んでおるから、星が美しいのじゃ!」


 星たちは一つ一つが自分を主張しているように輝いている。しかも今夜は満月なので月も美しい。月明りに照らされたフレア様とレオンもきれいだ。この美しい光景をもう少し眺めていたかったが、グランドール侯爵家の領主館が目の前に見えてきた。



 領主館に直接降りるわけには行かないので、一旦、森に着地してから屋敷へ戻った。


 エントランスの前ではマリーが帰りを待っていてくれた。


「お帰りなさいませ、お嬢様。今日は帰りが遅かったのですね。どちらまでお出かけだったのですか?」


「ただいま、マリー。ちょっと遠くまで行っていたの。でも、おかげでとてもいいものが見られたわ」


 大好きな神様たちとの夜間飛行は一生忘れられない思い出となるだろう。


「そうですか。よろしゅうございました。お嬢様が楽しそうで何よりです」


「後で話すわね」


「はい! 楽しみにしております」


 マリーの影からダーク様が顔を出し、よおと手を挙げる。


「リオ、レオン、おかえり。姉ちゃんは?」


「フレア様でしたら、先に私の部屋に行っているかと思います」


 ダーク様は「そうか」と頷いて、再び影に潜った。たぶんフレア様の元に行くのだろう。


「お嬢様、良いお知らせです。トージューロー様たちが五日後にこちらに帰ってくるそうですよ」


「そうなの! クリスもまた遊びにくるのかしら?」


 にこやかにマリーは頷く。


「はい。クリスティーナ王女殿下もご一緒ですよ」


『サンドリヨン』に鱗の加工をお願いした翌日、トージューローさんとキクノ様は我が国と国交したいというヒノシマ国の要望を伝えに王都に旅立ったのだ。国王陛下への謁見の手続きはキクノ様がすでに申し込んであったらしい。


 国主代理として渋るトージューローさんを引きずっていったのは言うまでもない。


 たまには両親に顔を見せに行くと言って、クリスもともに旅立ったのだ。


 クリスもまたここに来るのが嬉しい! また来るとは言っていたが、そうはいっても国王陛下が長い間離れていた王女を、すぐに王都から出すとは思わなかったのだ。


 国王陛下はクリスを溺愛している。たった一人の王女だからだ。たぶん王妃殿下から「可愛い子には旅をさせろと言いますわ」と説得されたのだろう。前世でもそう言っていたような気がする。


「良かったな、リオ。またクリスとともに学び、修行できるではないか」


「そうね。鬼師匠のトージューローさんにしごかれて、クリスと一緒に厳しい稽古をすることになるわね」



 長かった冬がそろそろ終わりを告げようとしている。街道の雪が融けはじめ、雪化粧をしていた我が家の庭も春の訪れを告げるように、植物が顔を出し始めていた。


「リオ! 打ち合い稽古を始めるよ!」


 庭に出たお兄様に呼ばれる。トージューローさんが帰ってくるまでは、お兄様に打ち合い稽古をつけてもらっているのだ。お兄様はそろそろ『風の剣聖』の免許皆伝になるらしい。


「はい! お兄様。今行くわ!」


 お兄様は冬の間も熱心にトージューローさんの稽古を受け、めきめきと腕を上げていった。私とクリスも体力がつき、剣の腕も上がったが、まだ免許皆伝にはほど遠い。


「リオ、腕が上がったね。十歳の女の子とは思えないよ」


「え? 本当に?」


 庭でお兄様と打ち合い稽古をしながら、会話をしても息があがらない。

最初の頃は基礎の体力づくりの後で打ち合い稽古をしていると、すぐ息が切れて師匠の喝が入ったものだ。


「このまま成人するまで稽古を続ければ、騎士団に入れるくらいの腕前になれるんじゃないかな」


「女性騎士か。うん! 格好いいかもしれない」


 我が国の騎士団には少ないが女性騎士が何人かいるのだ。


 ちなみレオンは、ガーデンテーブルの上に寝そべりながら、横目で私たちの打ち合い稽古を眺めている。穏やかな日差しに照らされて毛並が白銀に光っていた。


「そろそろ稽古は終わりにしようか?」


「ええ。ありがとう、お兄様」


 マリーがタオルとレモン水を持ってきてくれたので、ガーデンテーブル席にお兄様と向かい合って座り、休憩をする。


「お兄様。今日お時間は空いているかしら?」


「今日は授業がないから、空いているよ」


 レモン水を飲みながら、にっこりと微笑むお兄様にお願いポーズをする。


「手伝ってほしいことがあるの」


「いいよ。何を手伝うのかな?」


 まもなく花が咲く時期だものね。森のガーデンをそろそろ整えたい。お兄様にも手伝ってもらうのだ。決して力仕事要員としてではない。

ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] 赤子のまま前世の記憶を持っているかもしれない 妹のメイことメアリーアンちゃんは どう過ごしているのでしょう? 取り敢えずのところ、以前同様に赤ん坊として 可愛がられてるのでしょうかね?
[一言] リオは女騎士になるのか…クリスとラブラブするのね(笑)
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