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僕の日常物語  作者: todayone
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第8話 町の特徴

 僕達は今、町の中央に位置する広場にいる。


 この町は中央の広場から十字に大通りが広がっており、東西南北それぞれに町の入り口がある。


 ちなみに牧場から来るときはザックさんのいる東の入り口から来ている。


 広場ではベンチで休憩している人もいれば、暖かい陽気のため寝ている人の姿もちらほら見られる。


 又、いたるところで住人同士が井戸端会議をしており、笑い声が聞こえてくる。


 (のどかな町だなぁ)


 ぼーっとそんなことを考えていると


「どうしたんですか?」


 心配したカレンが僕の顔を覗き込んできた。


 顔の近さにドキッとしてしまう。


「い、いえ。町の皆さんが楽しそうで、いい町だなと思って」


「いい町ですよ! よかったら、ケントさんもこの町を気にいってくれると嬉しいです。」


 カレンは僕の発言が嬉しかったのか、にこやかに笑いかけてくる。


 そして思い出したかのように手を叩き


「そうだ! 見せたいものがあるのですが、こちらに来ていただけますか?」




「なんです? 見せたいものって?」


 カレンに案内され広場の中を移動する。


「これなんですけど」


 広場の一角には大きな掲示板があり色々なチラシが貼ってある。


 なになに。


『春の感謝祭』『 花見祭り』といったチラシが貼ってあり、それぞれに日付けが書いてある。


「これは?」


「この町で近いうちに行われる行事が書いてあります。良ければケントさんにも出てもらいたくて。いろんな人が参加しますし、ぜひケントさんにもこの町を好きになってもらいたいんです」


 そんなことを言われると嬉しさが込み上げてくる。


 (絶対参加しよう)


 そう心へと誓う。


 ふと視線をずらすと、掲示板の一角に依頼板とかかれている箇所があり、そこにも複数の紙が貼ってあった。


「こっちはなんですか?」


 カレンに、尋ねてみる。


「これは町の住人からのちょっとした頼みごと等が書かれているんですよ」


「頼み事ですか?」


「えぇ。町の住人達が助けあっていくことが町の活性化につながると町長のブライアンさんの意向なんです。基本、モンスター討伐の依頼はクエストとしてギルドが請け負いますので、それ以外の内容になりますね。内容によっては目的の過程で町の外に行く可能性もありますので自己判断になりますが」


「なるほど。内容をしっかり確認する必要がありますけど、町の人で助け合うなんてとても良い試みですね」


「この町らしくて私は好きなんです」


 依頼板をみると『料理の試作に付き合ってくれ アーロン・ブルーム』『鉄鉱石を集めてきてほしい チェスター・ガルド』


 といったような依頼が目についた。


 なるほど、こうゆう依頼なら気軽に受けられていいかもしれない。


「面白そうですね。町の人と打ち解けられるよういろいろと受けてみることにします」


「ええ! よろしくお願いしますね!」


 カレンは嬉しそうにしていた。



「そろそろ病院に行きましょうか。お父さんとの待ち合わせ時間が近づいていますし」


 太陽が西へ傾き始めたため、僕達は病院へと足を運ぶ。


『ベストオブライフ』


『ベストオブフレンド』


 前者が人間用の病院。


 後者が動物&モンスターの病院だ。


 同じ作りの二つの建物が連なって建っている。


 僕達はワンダーの入院しているベストオブフレンド側に入っていく。


「こんにちは〜」


 病院内ではゲージに入った動物達をベラさんと若い男性が診ており、その隣でセシリーと同じくらいの男の子が動物と遊んでいるところだった。


「カレンちゃん、いらっしゃい。ワンダーなら奥のゲージで点滴をしているわ。そっちの君はこないだワンダーを運んでくれた子ね。あの時はロクに挨拶できなかったわね。私はベラ・ワグナー。この町で獣医をしているわ」


「自分は息子のアレックス・ワグナー。よろしく」


「はじめまして、ケント・スタインです。これからお願いします」


 隣にいた男の子も動物と遊ぶのを止めて、こちらを向いてくる。


「ぼくはダリウス・ワグナー。お兄ちゃん、よろしくね!」


 同じ苗字のため家族の様だ。


 アレックスは茶色の髪を短髪にしており歳は僕より年上にみえる。


 ダリウスも同じ髪色をしており、アレックスをそのまま小さくして髪型を少し変えた感じだ。


 挨拶を終え、ワンダーを見に行く。

 

 ワンダーはカレンの姿を見ると嬉しそうに尻尾を振っている。


 その足には包帯とギプスをしており、身体には点滴の針が刺さっている。


 流石に痛みからか、身体を動かすことができないようで、その場を動くことはない。


「ワンダー! 大丈夫? 私のせいで大怪我させちゃってごめんね。助けてくれてありがとう」


 そう言って申し訳なさそうにゲージの隙間からワンダーの頭を撫でる。


 ワンダーは満足気に撫でられている。


 カレンが撫で終えたところで今度は僕が手を伸ばす。


「大丈夫かい?」


 助けられたこともあり僕に対して警戒をしていないようで、伸ばした手を舐めてくる。


 ワンダーを撫でると、その毛はふわっとしておりなんとも撫で心地が良い。


 その手触りを堪能していると


「やぁ2人とも。早かったんだね」


 クリフさんがやってきた。


 クリフさんはワンダーの様子を見てからベラさんと話を始めた。


 話を聴くと少なくとも2ヶ月から3ヶ月ほどは、リハビリも含めて入院させたいとのことだった。


 僕達はワンダーに別れをつげ、今日はこのまま牧場に戻ることにした。




「みんなお帰りなさい。夕食の準備はできているわ」


「お帰りなさい~」


 ランさんとセシリーが出迎えてくれ、セシリーがカレンに抱きつく。


 本当に仲の良い姉妹だ。

 

「「ただいま」」


 カレンとクリフさんが挨拶を返す。


 そして


「ケントお兄ちゃんもお帰りなさい」


「ただいま」


 僕は心が温まるのを感じた。




 みんなで夕食を囲んでいる。


 僕はカレンに案内してもらった場所や出会った人達のことを話した。


「ケント君はBランクの冒険者だったんだね。タスクボアを倒せるから強いとは思っていたけどね。それにディックさんは腕がいいから武器を研いでもらうと切れ味がだいぶ変わるよ」


 クリフさんが教えてくれる。


「セシリーはね~、町へ行ったときにはよくダリウス君と遊んでるんだよ~」


 その一言でクリフさんの動きがぎこちなくなる。


 何かを言いたそうに口をもごもごしているが、何も言わずにセシリーを見ている。


 心配だが娘には強く言えないらしい。


 葛藤が伺える。


 そんなクリフさんをセシリーは気付かず、ランさんは敢えて気付かないように話しかけてくる。


「明日は町への出荷がないからケントさんは自由にしていいですよ。牧場にいるも、町へ行くのもどちらでもいいですから」


そう言われるのだった。

次から町の人との交流を増やしていく予定です。


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