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僕の日常物語  作者: todayone
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第6話 町の住人達

 ギルドを後にし、町を案内してくれるカレンの後をついて行く。


 カレンが案内してくれたのは雑貨屋『パフェ』というお店だった。


 少し大きめで洒落た外観をしている。


「こんにちわ」


 そう言ってカレンが店内へ入っていくため一緒に入る。


 店内を見ると、食料品から日常用品まで一通りのものが揃っているようだった。


 店内には品出しをしている夫婦と思われる2人。


 客商売する側とあって、こちらに顔を向けながらにこやかに笑い


「いらっしゃい!」


 とハキハキした声で挨拶をしてくる。


 そしてカウンターにはカレンと同年代と見られる女性が座っている。


 金髪の長い髪をポニーテールにし、動きやすそうな服を着ている。


 活発という言葉がよく似合う女性だった。


「あら、カレンじゃない? 今日は何を買いに来たの? それとその人は誰?」


 女の子がカレンに話しかけている。


「今日は買い物じゃないのよ。こちらはケントさんといって、今、町を案内しているところなの」


 話が振られたので自己紹介をする。


「はじめまして、ケント・スタインといいます。しばらくはカレンさんの牧場でお世話になりながらこの町で冒険者をしていくつもりです」


「あら、そう。私はカレンの親友で、エイミー・バッカスよ。うちは見ての通り雑貨屋で日用品から食品の仕入れと販売、何か入り用だったら取り寄せとかもできるから遠慮せずに言ってね」


 そう言ってウインクをしてくる。


「と・こ・ろ・で・ぇ〜。今、と〜っても気になることを言っていなかったかしら? カレンの牧場でお世話になっているとか? 一体どうゆうこと?」


 エイミーは興味しんしんっといった様子だ。


 僕たちは昨日の一件をエイミーへ説明する。




「なるほどねぇ。私はてっきりカレンに恋人が出来たのかと思ったわよ」


 エイミーはクスリと笑った。


「もぉ、エイミーったら変なこと言わないでよね」


 恥ずかしさからか、カレンの顔が赤くなる。


「そうよねぇ。あのがクリフさんが許すわけないもんね」


「許すもなにも、そんなのじゃないわ。ケントさんにも失礼でしょ?」


「ただの冗談よ。ごめんね」

 

「ケントさん? ここの案内は終わりですから。次の場所に行きましょうか。エイミー、またね」


 カレンは心なしか早足で店を出る。


「また来てね〜」


「では、僕もこれで。これからよろしくお願いしますね」


 エイミーに挨拶をし、ドアに向かおうと向きを変えたところで


「あ、ちょっと待って!」


「はい?」


「これあげるわ。後でカレンと食べてね」


 エイミーはそう言ってカウンター横に置いたあった店の商品であるビスケットを渡してくる。


「これは?」


「私の親友を助けてくれてありがとね。これはそのお礼よ」


「そういうことなら、ありがたく頂きます」


 エイミーから受け取ったビスケットをリュックに閉まった。


「食べて美味しかったら、次は買ってね!」


 とウインクをしてくる。




「次はどこへ向かうのですか?」


「そうですね〜。鍛冶屋などはどうでしょう? 武器や防具なんかを扱っていますし、ケントさんはギルドに登録したわけですから、これからお世話になるんじゃないですか?」


 僕のことを考えて案内してくれているので、とても助かる。


 カレンからの提案を受け、僕達は鍛冶屋へと向かう。




 石造りの建物が見えてきた。


 看板には『メオトーデ』と書かれている。


 扉を開け中に入ると怒鳴り声が聞こえてきた。


「何度言ったら分かるんじゃ! ほれ、もう一度やり直しじゃい!」


「すみません、師匠!」


 かまどの前で汗だくになりながらそんなやりとりをする2人の男性がいた。


 師匠と呼ばれた方は、白髪頭に白い髭を生やした気難しそうな老人。


 怒鳴られている方は、僕と同じくらいの若い男性で、頭にタオルを巻いている。


「あの〜、お邪魔でしたか?」


 カレンが恐る恐る声をかける。


 2人はこちらに気づいたようだ。


「いや、すまんな。見苦しいところを見せたわい。何用かな?」


「ディックさん、チェスター、こんにちわ。今日は、新しくこの町の冒険者になった、こちらにいるケントさんに町を案内をしているんです」


 僕は一歩前にすすみ挨拶をする。


「はじめまして、ケント・スタインです。これからこの町でお世話になりますのでよろしくお願いします」


「ああ、ワシはディック・スミス。鍛冶師をしておる。自分で言うのもなんじゃが、なかなかの腕じゃわい。で、こっちは半人前の弟子じゃな」


 そして半人前と呼ばれた男性が頭のタオルを取りながら挨拶をしてくる。


 銀髪の髪を短く切りそろえているようだ。


「師匠は厳しいなぁ。半人前のチェスター・ガルドです。『メオトーデ』で修行しています。同じ町に住む者同士、仲良くしましょう!」


 右手を差し出してくるため、僕も右手を差し出しそれに応える。


「よろしくお願いします」


「あれ? ケントさんは二刀流なんですか? 珍しいですね」


 チェスターは視線を落とし、僕の腰の2本の剣をみて尋ねてくる。


「そうですね。1本でも良いのですが2本の方が何かと使い勝手が良くて。モンスターに周りを囲まれてしまった場合、手数が多い方がいいですし、万が一剣が折れてしまった場合でももう1本が予備になりますから」


「なるほど。相手によって戦法が変えられたり、武器の予備があるのは大きなメリットになりますね。ただ、片手で扱うために軽く作られているようだし、耐久性が心配ですね」


「町に滞在している時などは定期的に見てもらってはいるんですけどね」


「では今度、一度その剣を見せてみなさい。ワシが見てやろう。今後贔屓にしてもらうためにも最初は格安で引き受けてやるわい!」


 ディックはそう言って胸を叩いた。




「私とエイミーとチェスターは小さい頃からの幼馴染みなんですよ。チェスターは私達より一つ年上なんですけどね」


 メオトーデを出るとそんなことを教えてくれた。

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