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僕の日常物語  作者: todayone
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第4話 再び町へ

会話シーンは打っていて楽しいですね。自己満ですが。

 ガラガラガラガラ。


 外からの物音で目が覚める。


「ふぁ〜〜」


 大きく背伸びをし重い瞼を開けると見慣れない景色が視界に入ってきた。


(そうだ。昨日夕食をご馳走になって、そのままこの牧場でお世話になることになったんだった)


 窓へと視線を移すとまだ薄暗いが、人の気配がする。


 すぐさま洗面台で顔を洗い身支度を整える。


 軽く体操をし、身体を温めると同時に意識を覚醒させ、音がする外へと向かう。




「おはようございます」


 外ではすでにセシリーを除いた3人が忙しそうに動き回っていた。


 そんな3人に向けて僕は挨拶をかわした。


「ケントさん、おはよう」


「ケントさん、おはようございます」


「ケント君、おはよう。もしかして起こしてしまったかい?」


「気にしないでください。旅の途中ではいつモンスターに襲われるか分からないから物音には敏感なんです。むしろ久しぶりの布団だったからよく眠れましたよ」


「それでもまだ休んでいて下さって良いんですよ? 町へ出荷物を運ぶにはまだ時間がありますから」


 カレンがそういって気を使ってくれている。


「いえ、それよりも牧場の仕事を見学してもいいですか? せっかく牧場に住まわせていただいていますし、興味があるので」


 僕がそう伝えると


「そうかい? まぁ君がそういうのなら……カレン。ケント君に朝食の時間まで色々と案内してあげてくれないかい?」


「いいですよ。ではケントさん、こちらへどうぞ」



 

 仕事は大きく分けて動物たちの世話と農作物の世話。


 それと町への出荷作業だ。


 まずは牛小屋の見学にむかう。


「ここでは乳牛を育てています。することは小屋の清掃、餌やり、放牧、ブラッシング、搾乳等ですね」


 カレンはそう説明してくれた。


 小屋の中には20頭ほどの牛がおり、柵で2つに分かれている。


「牛たちが2つに分かれているのは何か理由があるんですか?」


「それはですね、片方のグループは通常の餌を、もう片方には餌に魔石を粉末にしたものを混ぜて与えているんです」


 餌に魔石を?


「ふふふ、なんでって顔をしていますね」


 カレンは楽しそうに笑っている。


 そして理由を教えてくれる。


「魔石はモンスターの魔力の塊なのはご存知ですよね。それを砕いて動物たち餌に混ぜることで通常の動物でも一時的に体内に多くの魔力を保つことができるんです。それにより畜産物の品質が良くなるんですよ。あとは畑に肥料と一緒に蒔けば作物の成長が早まったり大きく育つんです。まぁ、魔石は高いですし、定期的にあげないといけないので動物全てにとはいかないんですよね。それこそうちみたいな個人ではなく大手の牧場とかなら可能でしょうけど」


 といった説明をしてくれた。


「魔石にそんな使い方があったんですね。武器や防具とかに使われているのは知っていましたが、酪農にも使えたとは」


 いつもギルドで提出していたがそんな幅広い用途があったとは知らなかった。


 ということは


「たとえば昨日タスクボアから手に入れた魔石も使えるんですか?」


「もちろん使えますよ。ただ、使う魔物の魔石によっても味や品質が変わるので良い結果が出るかは分かりませんが。うちではキラービーという蜂型モンスターの魔石を使用しています。蜂型モンスターの魔石を使うと甘味が増すんです。ちょっと待っていてください」


 そう言ってカレンはその場を離れていった。


 待っている間僕は牛を撫でて待つ。


 よく見ると愛嬌のある顔をしている。




「お待たせしました。これを」


 カレンが両手を出してきた。


 その手にはそれぞれ牛乳の入ったコップを持っていた。


「これは?」


「普通の餌を食べている牛の牛乳と魔石入りの餌を食べている牛の牛乳です。飲み比べてみてください」


 僕は2つの牛乳を受け取りそれぞれ飲んでみる。


 まずは普通の牛乳だ。


「うん、美味しい」


 これだけでも濃厚で充分美味しいが……


 もう一つの牛乳を口にする。


「これは…………!」


 先程よりも明らかに甘味を増している。まるで蜂蜜を入れたような甘さだ。


「こんなに変わるものなんですね。驚きましたよ」


 そんな僕の反応をみてカレンは嬉しそうにしている。


「同じ蜂型のモンスターでも、例えばクイーンビーやキングビー、ハニービーなんかの魔石にするとまた違った味になります。その分魔石の値段もあがりますが」


 そんな話をしながら牛小屋を後にする。


 その後は鶏小屋や羊小屋、畑の様子を見せてもらった。


 やはり鳥や羊にもモンスターの魔石を餌に混ぜていた。




 一通りの案内が終わった頃、朝食に呼ばれた。


 取れたばかりの牛乳や卵を使ったオムレツが出たのでありがたくいただいた。


「早速だけど町まで一緒に行ってもらえるかい?」


 食事が済むとクリフさんにそう言われた。


「えぇ、もちろんです。そのために僕はいるのですから!」


 僕は元気よく返事した。


 荷物を積んだ馬車に僕とカレンが乗り込み、クリフさんが馬の手綱を引く。


「さぁ、町へ向かうよ。もしモンスターが出たときは頼むからね」


 馬車はゆっくりと町へ向かって走り出した。

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