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僕の日常物語  作者: todayone
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第2話 スノーファミリー

 病院へワンダーを預けて、今は2人でストーリーの街中を歩いている。


 ちなみに僕たちを乗せてきてくれた馬車には着いた時点で帰ってもらってある。


「もし良かったらうちで夕食を食べませんか?」


 僕の顔を覗きこみながらカレンが聴いてくる。


「いいんですか?」


「もちろんですよ。それぐらいでは助けていただいたお礼にはならないでしょうけれど、せめてものお返しに。それに汚れてしまった洋服も洗わないとですし」


 そう言ってカレンはワンダーの血で汚れた僕の服を見てくる。


 正直有り難い申し出だった。


 話を聞くとカレンの家は町外れで牧場を経営しているそうだ。


 先程は町へ向かう途中にモンスターに襲われたらしい。


「ではせっかくなのでお言葉に甘えさせていただきます」


 断る理由もないため僕は招待を受けることにした。




 町の入り口へ着くと先程のザックさんを見つけた。


「ザックさ〜ん」


 僕は手を振りながらザックさんに呼びかける。


 ザックさんはこちらに気付きゆっくりと歩いてくる。


「おお、その様子だと大丈夫だったみたいだな。はっはっは!」


 豪快な笑い方だ。


 カレンが一歩前へ出て


「先程は馬車をありがとうございまいた。おかげ様ですぐにベラさんに診ていただけました」


「いいってことよ。あの人に任せれば安心だな」


 そう言ってザックさんは再び笑い出した。


「ところで……お前の名前聞いてなかったな」


「僕はケント・スタインと申します。いろんな町を回りながら冒険者をしています」


「ほう、冒険者なのか? もしこの町でも依頼を受けるつもりなら、今からギルドまで案内してやるが?」


「大変ありがたいのですが、今日はこれからカレンさんと牧場へ向かうので……。すみません」


「おお、そうか! まぁ、気にしないでくれ。またなんかあったらいつでも訪ねてくれよな。そうそう、先程パトロール行ったが、とりあえずは危険は無さそうだったから安心してくれ」


 そう言ってニカっと笑っている。




「じゃあな、気をつけていけよ。ケントは嬢ちゃんをしっかり守ってやんな。モンスターはいなくとも何があるかわからないからな」


 ザックさんはそう言って僕達を見送ってくれた。


 ザックさんは見た目は怖いが気さくで話しやすい人だった。




 町を出て30分ほど歩くと 広い牧草地が見えてきた。


 広大な緑が一面に広がりその周りを背の高い柵と堀で囲っている。


 一箇所フェンスの中に続く道がありそこから中に入る。


 やがて住居らしきものが見えてきた。


「あれが私の家ですよ」


 カレンの家に着いたようだ。


 木造でできた趣のある家だった。


 ガチャ。


「ただいま」


 ガタンッ!ダッダッダッダ!


「やっと帰ってきたか、カレン! ずいぶん遅くて心配したんだぞ!」


 カレンの父親であろうか。


 優しい目つきだが、心配からか、焦りの表情を浮かべている。


「ごめんなさい、お父さん。いろいろと事情があって」


「いいんだ。お前が無事なら」


 と優しく微笑む。


 するとようやく僕がいることに気付いたようだ。


「誰だね、君は? それにワンダーがいないようだが……」


 先程のカレンに向けた笑顔から打って変わり、疑心の眼差しで僕を見据えてくる。


 すると


「はいはい! 立ち話はそこらへんにして、みんな中へいらっしゃい。あなた、そちらの方もカレンが連れてきたってことは悪い人じゃないってことでしょ。詳しくはお茶を飲みながらでも話しましょう。ただその汚れた格好をどうにかしてからね」


 家の中からカレンに良く似た女性が現れ僕たちに向けてそう言った。


 その後ろには小さな女の子が隠れるようにくっついていた。




「僕はケント・スタインといいます」


 カレンが一連の説明を終え、僕は改めて挨拶をする。


 お風呂を貸してもらい、身体の汚れを落としてから服を着替えた。


 汚れた服は僕がお風呂に入っている間に洗ってもらい庭に干してもらっている。


 晴れた日差しのためすぐに乾きそうだ。


 ここにいるのはカレンのご両親と妹さん。


「僕はクリフ・スノー。ケント君、娘とワンダーを助けてくれてありがとう。君が助けに入ってくれなければどうなっていたことか……。それに先ほどは疑ってすまなかった。あまりにも心配だったものでつい」


 そう言ってクリフさんは僕に頭を下げてきた。


「いや、そんなことしないでください!」


 僕は慌てて手を横に振り、クリフさんを制止する。


 大事な娘がなかなか帰ってこず、やっと帰ってきたら知らない男を連れてきたのだ……しかも血まみれの。


 親として心配するのは当然だと思う。


「私はラン・スノー。今日の夕食は腕によりをかけて作るからたくさん食べてくださいね」


「わたしはセシリー。お姉ちゃんを助けてくれてありがとう、お兄ちゃん! お母さんのお料理、とってもおいしいから楽しみにしてね」


 互いに自己紹介を終え、夕食に臨むのであった。

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