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僕の日常物語  作者: todayone
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第12話 Bランククエスト

 僕は今、ストーリーギルド受付でフレイさんと会話をしている。


「お待たせしていたBランククエストが決定されました。」


 先日のグラトニーキャタピラーの討伐クエストから2日後、僕はフレイさんからそう言われた。


「分かりました。クエスト内容を教えていただけますか?」


「今回、ケント様に討伐していただくモンスターは『ハングリーベア』になります」


「ハングリーベアですか?」


 名前は聞いたことがあるが見たことはない。


 そんな僕にフレイさんはさらに説明をしてくれる。


「ハングリーベアはその名の通り常にお腹を空かしている熊型のモンスターです。一度エサと定めたものを見つけると、どこまでも追いかけてきます。現在冬眠から目覚め、活動を開始し始めたとの報告が上がっております。目覚めたばかりで、力が通常時より衰えていると考えられますので、今回のBランククエストにと判断させていただきました。ハングリーベアの特徴としては牙が鋭く噛み付く顎の力が強いということです。お気をつけ下さい」


 僕はフレイさんに丁寧に見送られギルドを出た。


 そして町の西にある山へと向かう。


 この山には所々に横穴が空いており、モンスターが生息するには絶好の場所だ。


 ハングリーベアもこの横穴で冬眠していたに違いない。


 僕は慎重に山道を進む。


(こうして歩いているとただの綺麗な山なんだけどな〜)


 現在新芽が芽生えている山の木々を見ながらそう思う。


(と、集中しなきゃ)


 自分の頬を両手で叩き、自分に気合を入れてさらに山道を突き進む。


(おや、これは?)


 山道を進んでいると、木々がなぎ倒されている場所に出た。


 見るとところどころ血痕が残っている。


(ハングリーベアが獲物を仕留める際に暴れたのか? なんにせよ近くにいるのは間違いないな)


 僕はさらに山の奥へと入る。


 すると突然


「ズドーーン!!」


 地響きが鳴り響いた!


 そして……!!


『グォォォォォ!!!!!!!』


 大きな咆哮が聞こえた!


「これはまさか!?」


 僕は咆哮が聞こえた方へと道無き道を慎重に進む。


 前方に気配を感じたため、ゆっくりと茂みをかき分けると巨大な黒い影が視界に入ってきた。

 

「あれは……」


 そこでは全長3mになろうかという熊のモンスターが、倒れているタスクボアに噛み付いているところだった。


 発達した爪と強靭な顎がなんでも容易く砕いてしまいそうだ。


 冬眠から目覚めたばかりであるため通常よりも痩せているはずだが、ところどころがタスクボアの血で染まり圧倒的な存在感を放っている。


 その迫力に思わず後ずさってしまう。


ガサッ

  

 その音でハングリーベアが僕に気づき眼が合ってしまった。


『グォォォォォ!!!!!!!』


 ハングリーベアは僕をエサと認めたのか、タスクボアから口を離し、こちらに向かって咆哮を放つ。


 タスクボアはその場で四肢を広げうつ伏せに倒れ、動く気配がない。


 ハングリーベアが地面を蹴り僕に突進してきたため間一髪それを交わす。


 一旦、距離を取るためハングリーベアの動きを警戒しながらその場を離れる。


 攻撃が直線的なためギリギリ交わすことができているが、このままでは拉致があかない。


(まずいな。地の利は向こうにある)


 周りには山の木々が生えているため、ここでは剣を思うように振れず、また近づく余裕がない。


 ハングリーベアの方はというとパワーに物を言わせ木々ごと僕に噛みつこうとしてくる。

 

 僕が避けるとその勢いで木に噛みつき幹を噛み砕く。


ズドーン!


 メキメキという音と共に木が倒れた。


(この必至さはなんだ? 本当に空腹だけなのか?)


 飢えているはずのハングリーベアが仕留めたはずのタスクボアを放り出し僕を狙っていることに違和感を覚える。


 そしてこの凶暴性。


(まるでハングリーベアというよりもアングリーベアだ)


 そんなことを考えながらなんとか攻撃を避け続けていると、ハングリーベアが僕が避けた後ろの岩に顔をぶつけた。


 木々の幹には噛みつけても岩には嚙み付けなかったらしい。


 が、すぐ体勢を立て直し雄叫びをあげる。


『グォォォォォ!!!!!!!』


 さらに怒らせてしまったようだが……今ので作戦が浮かんだ!


 今のハングリーベアは怒りで我を忘れており周りが見えていないようだった。


 攻撃も威力は高いが単調で直線的にかしてこない。


 僕はハングリーベアを引きつけながら場所を移動することにした。


「僕はこっちだぞ!」


「グォォォ!!」


 ハングリーベアが追いかけてける。


 おちょくられていると思っているようで、さらに怒りのゲージをあげている。


 僕はハングリーベアの猛攻を右へ左へ避けながら目的の場所へ誘導する。


 そしてある場所で立ち止まり振り返る。


 ハングリーベアがすぐそこまで迫っている。


 そして僕を目掛けて飛び込んできた。


 僕はハングリーベアが飛んだ瞬間、大地に伏せる!


 僕の背中のすぐ上をハングリーベアが通り過ぎていく。


 そして


 僕の後ろには…………先程ハングリーベアが放置したタスクボアの死体と、前方に向かって伸びた強力な牙がそびえ立っていた。


『ズシャーーー!!』


『グガァァァァ』


 ハングリーベアがタスクボアの牙に向かって飛び込んだため、その牙が脳天に突き刺さる。


 僕はすぐに態勢を立て直すとともに剣を2本引き抜き、そのままハングリーベアの背後に突き刺す。 


 肉の鎧の前では深くは刺さらないが十分だ。


 バックステップで距離を取り、剣に向かって手の平を突き出し魔力を込める。


「ライトニング!」


 手から雷光が生まれ電光石火の速さで剣へたどり着く。


『グォォォォォォォォォォォォォォォォォ』


 外面だけでなく、刀身を伝わり体内からも電撃で焼かれたハングリーベアが断末魔の叫びをあげて消沈した。

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