No.5~ランキングと厄介事の予感
「さてさて、今日は昨日のダンジョンに再挑戦だ!」
俺は昨日武器が壊れてしまったため、中断してしまったダンジョン攻略の再開の為に、アイテムボックスの中を確認しているとボイスチャットが来た。
名前を確認するとヘルシャフトだ、っていうか、今のところヘルシャフト以外とフレンド登録をしていないからボイスチャットがきたらヘルシャフト確定なんだけどな。
「もしもし」
「ユウヤ!大変大変!」
電話に出たらヘルシャフトが大変しか言わない、何か慌ててるみたいなので少し落ち着くように言う。
「何が大変なんだ?少しは落ち着いて喋れよ」
「スーハースーハー…よし!」
ヘルシャフトが落ち着いたのは通話が始まって5分位が経過した頃だった。
「ユウヤ今何処にいるの?」
「いま?、今は宿屋に居るけど」
ユグドラシルオンライン内でログアウトするとアバターはその場で動かなくなる。
なのでプレイヤーはログアウトする時は宿屋に泊まって居ないと他のプレイヤーに腕をもたれ、勝手にフレンド交換をしてから、アイテムを送って、フレンド登録を解除する事で、アイテムを盗まれる事がある。
「じゃあ今すぐ広場の噴水前に来て!早く!」
「分かった!分かったからもう少し声のトーンを下げてくれ、」
ヘルシャフトがまた興奮しはじめている、興奮が高まる前に広場に行かなければ。
「ゴメン、じゃあ噴水の前で待ってるから急いで来て」
噴水前に行くとヘルシャフトが此方に気付いて走ってきた。
「ユウヤ、ランキング見て!早く」
「ランキング?何それ?」
ランキング?そんな機能は無かった筈だが?
「運営から今日メッセージが届いたんだよ!」
「運営からのメッセージ…あった」
メッセージボックスを見てみると確かに『運営からのお知らせ』というメッセージがきていた。
運営からのお知らせ
ユグドラシルオンラインをプレイしている皆様、私達ユグドラシルオンラインの運営からお知らせです。
ユグドラシルオンラインの運営から1日が経ちました、そこでいくつかの事をお知らせします。
1ランキング機能の実装
今回実装したランキングは表と裏のランキングがあります。
表のランキングは犯罪行為をしていないプレイヤーのレベルが高い順から1~50位までのプレイヤー名と職業、レベルが表示されます。
ランキングは1日毎に更新され、一週間毎に上位10名のプレイヤーに特典が配布されます。
裏のランキングは犯罪行為をしたプレイヤー名とレベルが高い順から1~50位まで表示され、1日毎に更新され、一週間毎にアイテムが配布されて、配布されるアイテムは順位によって変わります。
裏のランキングは犯罪行為をしたプレイヤーのみ見ることができます。
2犯罪行為について
ユグドラシルオンラインで犯罪行為をしたプレイヤーには犯罪マーカーが付きます。
オレンジマーカー
街中での器物破損、PVP、イベント以外でのプレイヤーに対する攻撃行為をするとオレンジプレイヤーになります。
オレンジマーカーを消す為に門で衛兵に罰金を払い、教会でクエストを受ける必要があります。
オレンジマーカーが付いているプレイヤーはNPCの評価が下がり、正当な取引が難しくなります。
レッドマーカー
プレイヤー、NPCを殺害するとレッドマーカーが付きます。
レッドマーカーが付くと門の前で専用クエストが発生し、そのクエストをクリアすると特定の方法で街に入ることが出来る様になります。
専用クエストで教えられた方法以外での街に入ろうとするとガーディアンが攻撃してきます。
専用クエストを進めるとレッドプレイヤー専用スキルでレッドマーカーを隠す事ができるようになります。
レッドプレイヤーは頭上に赤いマーカーが付きます。
3賞金首システム
賞金首システムとはレッドプレイヤー側はランキングにランクインしているプレイヤーを倒す事、プレイヤーはレッドプレイヤーを倒す事で賞金を得られます。
賞金についてはプレイヤーはレッドプレイヤーが今までしてきた犯罪行為を調べ、レベルと犯罪行為の重さ、ランクインしているレッドプレイヤーだとランキングの順位で報酬が上がります。
レッドプレイヤーがプレイヤーを倒すとレベルとランキング順位、どれくらいレッドプレイヤーを倒していたかで報酬が上がります。
レッドプレイヤーには攻撃してもマーカーが変化する事はありません、一定数PKまたはPKKをすると称号を手に入れることができます。
「中々面白そうじゃん…で、何が大変なんだ?」
他のプレイヤーのレベルが見えるのは嬉しいよな。
「ランキング見てみれば分かるよ」
「はいはい、分かったよ」
ヘルシャフトに言われてランキングを見てみると
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ランキング
順位
『1』ユウヤ 剣士 レベル20
『2』シュヴァイン 剣士 レベル15
『3』小次郎 剣士 レベル12
『4』ヘルシャフト シーフ レベル11
『4』クロネコ 魔法使いレベル11
『4』シロネコ 僧侶 レベル11
『7』ガイヤ 騎士 レベル10
『8』ニート 魔法使い レベル8
『9』アイリス 魔法使い レベル7
『10』†ハヤテ† 戦士 レベル6
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「へぇ~ヘルシャフトもランキング4位とかやるじゃん!」
「ありがとう!じゃなくて!レベル20ってどうゆうこと!」
「いや~ちょっとな」
ゲーム開始して適正レベル25のダンジョンのモンスターとか、普通はあり得ないしな、でも何が大変なんだろう?
「で、何が大変なんだ?」
「ユウヤ、ランキングにシュヴァインってプレイヤーがいたでしょ」
「あぁ2位の奴か、それが?」
シュヴァイン、ドイツ語で豚という意味が有るが分かって使っているのだろうか?
「そいつってさ、βテストで有名だった奴で、Psは有るけど性格がちょっとアレだって話なんだよ、だから自分が1位じゃないからってユウヤに何かあるまえに忠告しとこうと思って」
「おう!了解、シュヴァインって奴には気をつけとくよ」
明らかにめんどくさそうなプレイヤーだな、注意しておかないと
「じゃあ私もパーティーメンバーと合流するからじゃあね!」
ヘルシャフトと別れてから自分の頭上を見てみると金色のマーカーに1と書いてあり自分がランキング1なのがまるわかりだ。
回りに小さいが人だかりもできはじめてる、急いで退散しようとしていると
「おい!そこのチーター止まれ!」
どうしよう、すっげぇ嫌な予感がするんだけど、振り向くと一人の男がこちらに向かって来ている。
男の頭上には銀のマーカーに2という数字が浮かんでいる。
(ヘルシャフトよお前の忠告は意味が無かったぞ)
俺はまた面倒なことになりそうだと思いつつ男を無視してその場を去ろうとした。