No.84~PVPイベント14
最強プレイヤー決定戦(技術部門)の十回戦はオレガノが勝利した。
オレガノが勝利した事により準々決勝に進出する4名のプレイヤーが決定した。
俺、ユウ、オレガノ、アイリスこの四人で最強プレイヤーの座を賭けて戦う。
準々決勝の最初のカードはユウヤ対アイリス、つまり俺とアイリスの戦いだ。
準々決勝に負けると決勝の後で3位決定戦を行う事になる。
試合の開始少し前には闘技場に強制転移され、戦闘の準備をする事になる。
といってもアイテムの使用は出来ないし、使用武器の変更も出来ないから単なる心の準備をする時間になる訳だけど。
目の前に居る俺の対戦相手であるアイリスを見る。
アイリスはまさかここまで勝ち上がると思っていなかったのかアイリスの顔は緊張で強ばっている。
俺はアイリスに向かって声を掛ける事にした。
「なぁ、君」
「は、はぃ~」
アイリスはいきなり声を掛けられた事で身体をビクッ!と揺らしながら返事をする。
「あの~私に何か有るんですか?」
おそるおそると言った様子で俺に聞いてくるアイリス。
「うん、せっかく準々決勝で戦うんだ、挨拶でもしておこうと思ってね」
そう伝えるとホッと息をついて安心した様子で返事をしてくる。
「そうなんですか…今回はよろしくお願いいたしますね、多分勝てないと思いますけど、精一杯がんばるので」
「勝てない?何で?」
俺が聞くとアイリスは両手を前に突き出して手を振りながら答える。
「だって、ユウヤさんはランキングが始まった時から一位ですし、それに他のプレイヤーの皆さんを置いて一人だけレベルが200も飛び抜けて高いですし、私なんかがユウヤさんに勝てるなんて考えるだけでもおこがましいです」
「そんな事は無いと思うけど、今回の試合にステータスの差は殆どないから勝てないって事は無いよ」
それにっと付け加えてアイリスに話す。
「前回の試合で見せた風の魔法を武器に纏わせるあれ、良いアイデアだと思ったしね、あれは今度参考にさせてもらう」
そう伝えるとアイリスはえへへ、と笑って答える。
「ユウヤさん私の試合を見てくれていたんですか?それにユウヤさんにそう言って貰えると嬉しいです!」
「それに俺も自分が負けると思っている相手に負ける気は無いよ。
それにさ、考えてみなよ、皆この大会に自分こそが最強のプレイヤーだって
思って参加してるんだよ、そのプレイヤー達を倒してここまで来たんだ、自身を持って、絶対に勝つって考えないと」
その事を伝えるとアイリスは少し考えてから喋り出す。
「そう、ですね、皆さんに勝ってここまで来たんです、全力で勝ちに行かないと失礼ですよね」
「そうそう、この際俺がランキングの一位だとか強いとか置いといてさ、かかってきなよ全力でさ」
そうに言うとアイリスは笑顔で返事をする。
「はい!ユウヤさん、私、負けません、皆さんの為にも!」
「それで良い、その気持ちだよ、それじゃあもう始まるみたいだ、俺も遊びは無しだよ、全力で倒しに行く」
試合が始まるカウントダウンが目の前に表示される。
数字は10から一秒毎に減っている。
アイリスは杖を前に構えて俺を迎え撃とうとしている。
俺は刀を鞘に押さえた状態で柄を持って居合い切りをする時の様に腰だめに刀を構える。
カウントダウンが0になった瞬間、俺はアイリスに向かって駆け出す。
アイリスは俺に魔法を撃ってきて行動を阻害しようとしている。
俺は最低限の動きで魔法を避け、遂にアイリスの前に着く。
アイリスは咄嗟に杖で攻撃をしようとするが…遅い。
アイリスが杖を振る前に俺は刀を振り抜く。
狙いは首。
このゲームは攻撃をする時に走って勢いをつけるとダメージが上がる。
それにしたに振り下ろす攻撃は通常の攻撃よりダメージをくらう事が分かっている。
だからこそ俺はこのステータスで出せる全力の速度でアイリスに近づき、勢いを一切逃さない様に攻撃した。
勢いを全て乗せた攻撃を弱点である首に当てられたアイリスはたった一撃でHPを0にする。
第十一回戦、ユウヤ対アイリスの試合は試合開始僅か5秒で幕を閉じた