No.67~お正月
ユグドラシルオンラインではクリスマスイベントが終了して一週間も経たずに新イベントの開催が発表された。
メールで発表されたイベントタイトルは『目指せ最強!~PVP最強決定戦』だった。
メールではイベントタイトル以外の詳しいルール発表等は当日に発表するらしい。
開催日は1月1日、ユグドラシルオンラインが発売してから7ヶ月とちょっと、新年の開始と共に現状の最強プレイヤーを決めようってことだな。
他にも新年でガチャの更新がされた。
お年玉ガチャというのが追加されて、無料で10連ガチャが3回引けるガチャが追加された。
排出アイテムはゲーム内通貨であるGやYコインが出たり、料理アイテムであるおせちや、男性専用衣装の『袴』や女性専用衣装の『和服』が出るガチャになっている。
そしてこの『袴』や『和服』は装備する時に色々な柄や組み合わせを自分で決めることができ、自分だけのオリジナルの和服を作ることが出来るので、女性プレイヤーには人気のアイテムとなっており、自分で作った着物を来ている自分をカメラモードで撮影して、ネットに上げる、なんて事もしているプレイヤーも多いらしい。
俺がお年玉ガチャを引いた所、良いものが『袴』とおせち、そこまで必要では無いのがGとYコインや自分で作れるアイテムだな。
「お~い、ユウヤ~」
後ろから声が聞こえたので振り返るとそこにはヘル達がこちらに向かって来ていた。
もう俺以外は途中で合流していたのか皆揃ってる。
「あけおめ~今年もヨロシク」
「おう、よろしくな、皆も明けましておめでとう、これからもよろしくな」
「おう、よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
「ユウヤさん、明けましておめでとうございます」
「今年もよろしく~」
皆と新年の挨拶をする、皆の格好を見るとヘル、シュウ、ユイの三人が和服を着ていて、レンとユウは馬乗袴を着ていた。
そうそう、シュウはクリスマスのイベントで俺に女だって事を伝えた次の日からアバターが女性のアバターに変わっている。
シュウに聞いた所アバター自体は女性のアバターだったが、女性と分からない様に他のプレイヤーには性別が男に見える様にしていたらしい。
何かシュウの変装というアナザースキルらしく相手に違和感を感じさせ難くさせるスキルらしい。
それは置いておいて、女性3人はともかく、レンとユウはこういうイベントの時でも着なさそうなのに。
「なぁ、なんでレンとユウもそんな格好してるんだ?」
「あぁ、これはユイに着ろって言われたからな、せっかくのアイテムだ、使わないのも何か可哀想だろ」
とレンが言って、
「俺は皆装備してたからね、お年玉ガチャで俺も出てたし、ちょうど良いかなって」
「そうか、じゃあ俺も装備するか」
「おお~良いじゃん良いじゃん、ほら、早速装備してみなよ」
ヘルに言われたので装備欄から紋付羽織袴を選択する。
装備をするを選ぶと2つの選択肢が出てきた。
馬乗袴と行灯袴の2つのだ。
中が二股に分かれているのが馬乗り袴で、これは江戸時代に武士の乗馬用の袴として着用されたもので、馬に乗りやすいよう設計されている袴だ。
中が完全に筒状になっているのが行灯袴だ。
中仕切りがなく、主に女性用として使われていたが、現在では男性用もあるみたいだな。
まぁおれは動きやすい馬乗り袴を選ぶけどな。
「おお~カッコいいじゃん!」
「これは、凄いですね…」
「か、カッコいいですぅ~」
「すげぇな、俺たちと同じ年の筈なのに」
「凄く似合ってるじゃん」
皆褒めてくれたみたいで良かった。
これで似合わないなんて言われたらショックだよなぁ、
ヘルとシュウは素直に褒めてくれたがユイは男慣れしていないのか顔を赤くしている。
「ほらなにしてんの?行くよ~」
ヘルは俺達を急かして先に歩く。
イベントの説明が有るのは1時から、今俺達が向かっているのは神社だ。
1月1日~3日までは期間限定で神社が出現して、神社ではおみくじやお参りをすることで、一時的に運が上昇したり取得経験値が増えたり、レアドロップが増えたり等の良い効果が付くことが有るらしい。