No.53~強化合宿4
「お疲れ様、皆、良く動けてたし、連携も悪く無い。」
俺は三人にアドバイスを伝える。
シュウは少しバフに頼りすぎな感じがする。
ゲーム内ではステータスが高ければどんなに技術が無くてもダメージは通るが、デバフを掛けられた時の為にクリティカルを狙って出せる様に首や目を狙う様に言った。
レンは集中力は凄いが1つの事に集中していると周りが見えなくなっている、なので魔法を多方向から撃つと捌ききれていない。
なので魔力感知のスキルを取得する事で周りに展開される魔力を瞬時に感知し、自分に当たる前に処理出来るように言っておいた。
ユイはやっぱり魔法特化のステータスをしているから今まで近接戦闘をしてこなかったんだろうな、距離を詰められると途端に慌てて対処が甘くなる。
なのでSTRを極限まで下げた分身体と戦わせる事で攻撃をちゃんと見極められる様にする。
昼飯を食べる時を除いて3人とも倒れる寸前まで模擬戦を続けさせた。
そのお陰か模擬戦の後、少し休憩させてからシュウにモンスターと戦わせたら10発中7発はクリティカルを出せる様になったし、レンは魔力感知のスキルのLVが大幅に上がり、魔法攻撃を自分から近い順に処理を出来るようになったし、ユイは攻撃を目を閉じない様になり、ステータスを分割しているとしても俺の攻撃をある程度の攻撃は凌げる様になった。
時間も経ったし、そろそろ戻るか。
「おーし、じゃあ3人とも拠点に戻るぞ、って…まだ動けそうにないか」
まだ体力が回復しきって無いようなのでフェニを呼んで3人を運ばせる。
拠点に着いた所で一旦晩飯の為にログアウトをして解散。
少しの休憩を挟んでログインした。
「さて、皆お疲れ様、今日だけで皆は技術面で強くなった訳だ」
ヤヨイと修羅に成果を聞くとヘルもユウもいい感じに成長したみたいだ。
「そこで、明日は朝からこの山でLVを上げる為にモンスターと戦って貰う。
この山のモンスターは平均LVが160位なので、皆ならパーティーを組んで連携をすれば苦戦しないで倒せる様になっている筈だ。
なので今から明日のレベリングの為に精神の休憩、もといこの山で見つけた温泉に入りに行くぞ!」
「温泉なんか有るの?凄い!ゲーム内でお風呂、しかも温泉に入れるなんて」
「温泉ですか、良いですね」
「風呂か…現実の体は疲れて無いけど精神的に疲れが取れるよな」
「ゲーム内の温泉…どこまで再現されているのか楽しみだな」
「皆さんと温泉なんて楽しみです」
うん、皆も喜んでいるみたいで良かった。
早速皆を乗せてフェニに温泉まで飛んで貰う。
「さて、皆~着いたぞ」
「「「うわ~」」」
「「すげぇ~」」
温泉に入る前に皆に遠くに行き過ぎない様に言って自由行動に入る。
その後は特にハプニングも無く終わると思われていた。
「ふぅ~1日の疲れが取れるな~」
「うんうん、今日の修行って普通にモンスターを狩るより全然疲れるよな」
「分かるわ~自分の苦手なことを直すのって凄く疲れる…けど、自分がだんだん強くなっていってるって分かるからすげぇ楽しかった」
皆も楽しめてるみたいで良かった。
こう言う感想を聞くと今回の強化合宿を決めて良かったって思うよな。
「そう言えばシュウってどこ行ったんだ?見掛けないけど」
「もしかしたら女湯を覗きに行ってたりしてな」
「いやいやあり得ないだろ、シュウってどう見ても女何かよりユウヤの方が好きだろ」
「ああ~それ分かる気がする」
その後はリアルで好きな人いるのか?とかそんな話になった。
するといきなり悲鳴が聞こえた。
急いで悲鳴の聞こえた所に行くと大きな黒光りするフォルムを持った口にするのも恐ろしい昆虫、『G』が居た。
俺は時空間魔法で結界を作りGを圧殺した。
「お前たちだいじょうぶ…か」
二人の無事を確認するために振り返ると装備を完全に外した時になるタオルを巻いただけのあられもない姿のヘルとユイが居た。
「ゴメン!」
「気にしなくて良いよ、わざとじゃないんだから」
ゲームの中とは言え現実の体をトレースしているのでアバターは殆ど自分の体と言っても過言ではない。
なので相応の罰は受けるべきだと伝えるとヘルたちは「じゃあ1つ貸しね」と言ってきたので了承する。
その後、温泉から出た俺たちは拠点に戻り強化合宿1日目は終了した。