No.51~強化合宿2
皆が部屋を決めて、リビングにきたのを確認した俺は皆に向かって言う。
「さて、皆も準備が出来たようだし、先ずは朝食を取ろうか」
テーブルに座るように促すと皆が順番に座っていく。
ヤヨイは皆が座っている場所に料理を置いていく、今回ヤヨイが朝食として作ったのはパンケーキだ。
ヤヨイは俺と一緒にフィールドに行っている時以外は自由に過ごしているらしい、今回のパンケーキも、街で良い素材を自分で集めて作ってるらしい、街の人たちはヤヨイと歩いていると皆笑顔で話しかけてくる。
それをみるとヤヨイは街の人たちに好かれてるんだなと思う。
朝食を取り終わった所で早速修行を始めよう。
「それじゃあ早速修行を始めるぞ~」
「はいはーい!修行て何するの?やっぱりメンバー同士で模擬戦とか?」
「あ~それも良いな、じゃあそれ採用で、最後にそれをやろう」
ヘルから出た模擬戦という発想は余り考えて無かったけど、最後にメンバー同士で戦うことで自分たちの成長をしっかりと感じられるから採用だな。
「じゃあこれからの予定を言うぞ、先ずはヘル」
「なになに?」
「ヘルは暗殺や不意討ちで最初に大ダメージを与えるプレイが主体だったよな?」
「うん、そうだよ」
「だったらヤヨイと一緒に動物を狩って食材集めをしてくれ、ゲーム内とは言え野生の動物だ、殺気や気配に関しては少しでも出したら逃げられるからな、」
ヤヨイはテイムイベントで狩りをしてたからな、気配を消したり殺気を消したりするのは教えられるだろう。
「オッケー」
「よし、じゃあ次はユウな」
「おう」
「ユウは銃をメインでサブが剣だから修羅との模擬戦で距離を詰められた場合にどう対処すれば良いか、と近距離戦闘の強化をしておいてくれ」
「了解っと、他の皆はどうすんだ?」
銃をメインにしてると距離を詰められた時に対処出来なくなるらしいし、殆ど近距離戦闘がメインでサブに魔法を使う修羅と模擬戦をすれば良いだろう。
「じゃあ私達はどうするんです?」
「残りのシュウ、レン、ユイは晩飯位まで俺との模擬戦をして貰う」
シュウは俺と戦闘スタイルが似てるし、レンも殆ど剣での近接戦闘がメイン、ユイも魔法をメインに設定してるから皆教えることができるからな。
分身を使えば三人同時に教えることが出来るし
「三人同時ですか?」
シュウが聞いてきたので答える。
「いや、一人一人やるぞ、人数の問題は無いしな」
俺は分身を使って見せる。
その後、スキルの説明をして、皆修行を開始する。
「では始めますよ」
「は~い」
「良いですか、動物は気配に敏感です、なので気配を消すことで動物に気づかれないようにします。
ここで、プレイヤーの皆様は気配遮断等のスキルを覚える訳ですが、スキルを発動していても物音をたてたりすると気づかれます」
「成る程~」
「しかも気配感知等のスキルを持っているモンスターには気配遮断の効果が打ち消されてしまうので実際に気配の消し方や殺気の消し方を学んでおくとスキルを使用して無くても効果は有りますし、スキルを使用しているときは相乗効果も期待できます。」
「続いて、殺気についてですね、殺気とは人や動物が攻撃や敵対行動をする時に無意識に発します、それを感知出来る人は意外といます。
ケンカが強い人は大抵殺気を無意識に感じているんです」
「へぇ~」
二人は会話をしながら動物を狩っていく。
秀麗なエルフの女性が放った弓は正確にウサギの頭を貫く。
桃髪の少女は冷静に獲物を観察し、手に持った短剣を正確に首に刺す。
両者に共通している事は殺されているウサギは刺されるまで自分に近づいている者に気づいていなかった事だ。
場所は変わって拠点近くの広場、二人の男が戦っていた。
1人はゲームの世界観にそぐわない金属バットを持った男、その男には頭に立派な角を生やしている。
もう1人は
「ユウ様、もっと視野を広く、相手の動きを予想して進行先に撃つのです」
「はい、やってみます」
角の生えた男、修羅は進行先に撃たれた弾丸を避けながら距離を詰める。
「ほら、距離を詰められたら慌てない、落ち着いて相手の攻撃を対処して」
「はい!」
「良いです!その調子ですよ」
修羅はユウの成長を見ながら鍛練を続けるのであった。