No.164~ダンジョン解放前イベント38
さて、74階層に転移してきた俺たちだが、基本的には73階層と変わらない。
俺たちの前には大勢の吸血鬼がいて、俺たちを殺そうとしてくる。
俺たちは先ずレンとシュウ、シフォンや俺と言った前衛が前に出て敵と真っ正面から先頭を開始する。
この時にヘルは気配を消して魔法を使うモンスターを暗殺しに行く。
そしてユウとユイが俺らの後ろから魔法と銃で俺たちと戦っているモンスターの牽制や狙撃、俺らに対するフォローに回るって言うのが基本的な俺たちの戦闘スタイルだ。
ここで俺が皆のフォローに回ったりヘルが他のメンバーが戦っている敵の後ろから攻撃をしたりと状況によって行動が変わるが大体こんな感じの戦闘になる。
俺もステータスを同じぐらいに調整して皆と模擬戦をする時には注意しないといけないからな。
一番厄介なのはシュウとヘルの二人が連携している時だ。
シュウは技量があってかつ目立つからな、ヘルが気配を消して隠れ蓑にした時は殆どのプレイヤーが気づかないんじゃ無いか?
そしてレンとユイは兄妹なだけあって息の合った連携が凄まじい。
レンが敵に切り込みながらレンの体に向かって魔法を撃ってそれをレンが紙一重で避けたりするからレンの体で隠れた魔法が相手にクリーンヒットするっていう戦法なのだが、これはタイミングが一瞬でもずれたらレンに魔法が当たりかねないという危険な戦法だ。
その戦法を一回もミスした所を見たことが無いという所で二人の絆の深さが見えるようだよな。
そしてレンとシフォンの連携も凄いと思う。
シフォンが常にレンが動きやすい様に行動しているためレンの危機を事前に回避させて、かつそれを自分達の攻撃に繋げると言った事を打ち合わせをしたわけでも無いのにやるからな。
まぁこれは連携とかでは無くシフォンの愛の成せる技と言った方が良いのだが…まぁそこは置いておこう。
皆一定の練度の連携を取ることが出来るが、さっき言ったペアでの連携がすごく合っているって事だな。
まぁ今回の俺は基本的に皆のサポートに徹するという事で敵のヘイトを稼いだりデバフを掛けて弱体化させる様にしていた。
まぁこんな状況でピンチになることも無く吸血鬼地帯、80階層まで攻略し終えた。
80階層を攻略した時点で皆のレベルはヘルが782、シュウが784、ユウが791、レンが783、ユイが787、シフォンが779になった。
こうして見てみると遠距離攻撃をスムーズに当て続ける事ができるユウや魔法をガンガン撃てるユイがモンスターの討伐数が多い事が予想される。
パーティを組んでの戦闘では貢献度に対して貰える経験値の量が変わるため、単純にモンスターの撃破数が多いユイとユウが経験値を多目に貰えたという訳だ。
80階層を攻略した俺たちは吸血鬼用に装備していた銀製の武器を外し、本来の装備に付け替える。
そして81階層はたしかゴブリンの軍勢と戦うステージだったよな。
俺は皆を集合させ、81階層の情報を教える。
「っという訳で、81階層のゴブリンは下級種族に成る程ステータスに補正が掛かるから最初は指揮官のゴブリンを倒す方が良い。」
「へ~じゃあ今回は私の出番って訳だね」
「まぁそう言う事になる。
それで、皆はいつも通り行動して良いが補正がフルに掛かっているゴブリンはさっきまでの吸血鬼より全然ステータスが高くなっているからな、1つだけ言うと決して防御をしないことだな、一発でも大分HPが削られる筈だ」
「分かりました、私たちはヘルが気づかれない様に目立ちながら攻撃を食らわない様に互いを気にしてれば良いってことですね」
「ああ、まぁピンチになったら俺がバフとデバフを掛けるからそこまで気にしなくてもいいんだがな」
俺はシュウの問いに答えてからそこまで心配しなくても良いと伝える。
さて、皆はあのゴブリンの軍勢をどう捌くのかな。