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No.141~ダンジョン解放前イベント15

「食え」


いきなり言われた事に俺は一瞬思考を停止させ、だが直ぐに起動した


「ちょ、ちょっと待て、えーと、アルンは死んでいると思われる奥さんや子供に会うために死にたい、それで死ぬ方法が吸血鬼の力を誰かに譲渡しなければいけない、ここまでは合ってるな」


「ああ、その通りだ」


「じゃあ何で俺はそんなにグロテスクな物を食べさせられそうになってるんだ!」


流石の俺もアルンの体内に有ったグロい玉をいきなり食えって言われても理解できない。


そう伝えるとアルンはお前は分かってないな見たいな顔をしてため息をついた。


「ユウヤよ、話の流れで分かるだろう、これは我の吸血鬼の力を凝縮した物なのだよ、簡単に言うと吸血鬼の力の根幹だ」


そう言うとアルンはそれについて話始める。


「吸血鬼に噛まれると吸血鬼になるという話があるだろう。

あれば規模の小さい吸血鬼の力の譲渡なのだよ、両者の同意の元に吸血行動を行うことで吸血鬼としての力を少し譲渡するといった感じにな」


「この力は爵位が上がる毎に強くなり、力や吸血鬼としての能力、治癒速度や範囲まで変化する、だから爵位の高い者に噛まれて吸血鬼になったものは強いのだよ、力が1000の者から10貰うのと100の者から1貰う様にな」


成る程、納得できるな。


「そして、この力は同族から吸血する事で奪うことも出来る、つまり共食いをすることで力が増えるので、中には同族を狙って殺す輩が出たりもした、基本的には爵位の高い者が勝つし、自分より弱い奴から吸血しても対して強くならないから無差別に殺すって訳でもなかったのだがな」


自分より弱い者を吸血しても対して強くならず、逆に自分より強い者を吸血すると大幅に強くなる…か、なんだが経験値みたいだ。


「そしてこの吸血鬼の根幹と言える力を失った者は必ず死ぬという訳だ。

ユウヤは吸血鬼では無いから吸血による力の譲渡は不可能、そして一度我が吸血してユウヤを吸血鬼にしてからの吸血も出来ない」


「なんでだ?」


俺は疑問に思ったことを質問する。


「簡単に言うと噛まれた事で吸血鬼になった者が吸血鬼にしてくれた者を吸血してもあまり力が譲渡されないのだ」


親殺しをすると力が手に入らないのか、普通なら考えられないが、この世界は神が作った設定が組み込まれてるからな、身内を殺しても経験値は余り手に入らないように設定をしたのか?


「そこで我は自分の体からこの力を結晶化させ、すべての力を譲渡するという考えに至った」


「それで、なんでそれを食うって考えになんだよ」


「それはだな…我らの力は体内に入る事で定着するのだ、だから結晶化させた力を譲渡するにはユウヤに食べてもらうしかないのだ」


納得は出来るが流石にこれを食べるのはなぁ…自分の本来の体じゃ無いのは分かっているが抵抗感がヤバイ。


現実とほぼ変わりのない事による弊害を発見してしまったぞ…得られる物は多いのにグロい物を食べるのに躊躇してしまうという物が。


(仕方ない、覚悟を決めるしかないか)


俺はアルンから赤黒い玉、もとい力の結晶を受けとる。


アルンの体内から取り出したそれは血に濡れていてヌメヌメする。


このまま口に入れる事は出来ないので水魔法を使って力の結晶をきれいに洗う。


ヌメヌメは取れたがまだ抵抗感が拭えない。


(よし、あれをやろう)


俺は時空魔法を発動させ、力の結晶の周りに空間を発生させ、結晶を閉じ込める。


そして俺は空間ごと力の結晶を丸のみする。


幸い俺はゲームのアバターなので苦しいけれど窒息するなんて事は無い。


喉を通っていき、胃に結晶がいったのを確認した俺は時空魔法を解除する。


「ユウヤ、ありがとう…これで妻の元に逝ける、本当に感謝してる」


アルンは足元から光となって消えていく中、俺に礼を言う。


「ああ、俺も少しの間だったけど楽しかったぜ、あっちで奥さんに会えるといいな」


そう伝えるとアルンは「うむ、妻に会ったらユウヤの事を伝えておこう、じゃあな」と言って笑顔で消えていった。


アルンが消えた後、城の窓から光が差し込む。


俺にはそれが何かを祝福している様に見えた。

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