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ねこ
「あなたって、猫みたいね」
彼女の膝枕でまどろんでいると、
そんな言葉が降ってきた。
昼下がりのリビング。
そこへ差し込む日差しと
同じくらいの柔らかさを伴って。
「気まぐれだけど、
素っ気ないわけじゃないよ。
恥ずかしいだけなんだ」
「そういうわりに、膝枕とは大胆ね」
「今日は勇気を出したんだ。
もうヘトヘトだよ」
「スタミナ、なさ過ぎ」
君の笑い声は耳に心地いい。
僕の髪を撫でる細い指先。
その感触も堪らなく好きだ。
「君のことは好きだよ。
でも僕は、自分の気持ちを
正直にさらけ出すのが
なんだか恥ずかしいんだ」
「変なの。もっと大胆に来てよ」
僕の顔を覗き込む君。
その白い喉元に興奮を覚えた。
「そういえば、
猫って肉食動物だったね」
角掛みなみ様がYou Tubeにて展開されている「サカイメの書架」。
六月の応募作品です。





