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300文字の物語  作者: 帆ノ風ヒロ / Honoka Hiro
300文字の物語 〜Third Season〜

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「酒は飲んでも飲まれるな……」


 テーブルの上で両腕を重ねる。

 そこに顎を載せながら、

 窓の外をぼんやりと見ていた。


 いつもと変わらない風景。

 けれどここに、

 あなただけがいない。


 あなたが好きだったお酒を飲んでも

 悲しみだけが込み上げて、

 少しも酔うことができない。


 グラスの中を滑る氷が

 微かな音を立てた。


 不意に笑みが零れる。


 私の心へ寄り添ってくれている

 つもりなのだろうか。


 グラスの縁を指先でなぞる。


 湾曲したその形が

 月のように丸い円を描いた。


 くるりと回って、巡り巡って、

 あなたも私の下へ

 戻ってきてくれたらいいのに。


「どうか今夜だけは……」


 そう願わずにはいられない。


 もう一度だけでいいから。

 せめて夢の中で微笑んで欲しい。


角掛みなみ様がYou Tubeにて展開されている「サカイメの書架」。

五月の応募作品です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 物思いが月のイメージと重なり、再び「あなた」の記憶へと繋がって行ったのは、ほんの僅かな時間の出来事だと思いますが、その心の動きをスローモーションで辿っているような気がしました。 微かな氷の…
[良い点] 切ないですね。 せめて夢の中だけでも再会できることを願わざるを得ません。 [一言] 情緒あふれる、素敵な作品でした。
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